小説書き・小説読みの AI との付き合い方の考察

 みるみるうちに話題の中心に君臨するようになった AI ですが、仕事柄いろんな使い方を試しています。


 よく「AI に仕事を奪われる」みたいな文脈で、ちょっと悪者チックに語られたりしますが、実際のところ AI はほっといたら何もしてくれない子なので、上手な付き合い方をしさえすれば、単純にぼくたちの生活を豊かにする手助けをしてくれると思います。


 ▽


 その件に絡めて、さっき親友のプログラマさんが面白いものを公開してましたので、紹介します。


「ChatGPTと行く異世界転移」- ばっくえんどでべろっぱー

 https://kakuyomu.jp/works/16817330654812274001


 まぁ要するに ChatGPT4 とリレー小説的なことをしている作品なのですが、まだまだエンタメには手が届いてないものの、わりとそれっぽくまとまった文章を吐くあたり、来てるな未来! って感じです。


 ChatGPT で小説が書けるよ! みたいなのは超あるあるネタなのですが、実際に異世界小説をリレーで書いたもの(しかも ChatGPT4!)を読んだことのある方はそう多くないんじゃないでしょうか。


 もちろん、本業はプログラムなので、普段 AI にはプログラミングの補佐をしてもらってます。


 遊んでばかりじゃないよ!


 ▽


 もう一つ、すごいやつ。

 一部界隈で噂になっていた「スティーブ・ジョブズとしゃべってみた」動画が凄まじいです。

 生前のジョブズを知っていたらひっくり返ると思います。


 @BrandonKHill

 https://twitter.com/BrandonKHill/status/1638471994005147648


 英語だともう生きた人間と見分けがつきません。


 ちょっと前に「おしゃべりひろゆきメーカー」なる AI 音声合成プログラムが流行りましたが、日本語の場合、あまりロジカルでない特殊なトンマナがありすぎて、まだまだ人間には程遠いのです。


 それもこれからの学習によって急激に洗練されていくことでしょう。


 ▽


 そのうちに、個人(≒故人)の人格パターンを学習して喋り出しそうですね。

 そうなれば「人格データのアップロード」「譲渡」「音声パックの配布」なんかが普通に行われそうです。


 ちょっと怖いですね。


 好きな小説家の人格データ相手に議論とかしてみたい気持ちはありますが、AI における個人情報保護を、通常の個人情報保護方針とは別の形で制定しておかないと、自分の劣化コピーが自分の予想もつかないようなことをしでかしそうです。


 そのうちに、実物はともかく、スクリーンを通して見た人間と AI は「魂の有無」くらいしか差がなくなりそうです。


 いや、そんなことはない! AI は所詮心のないプログラムだ! という声も聞こえてきそうですが、実際スティーブ・ジョブズの声を聞いて AI だと思う人がどれだけいるでしょうか。


 どうせこの流れはもう止まりません。

 毛嫌いするよりは、上手に付き合うことを考えた方が良さそうです。


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 ぼくは車を運転中など、落語や講談を聞くのが好きなのですが、最近は小説の朗読をよく聞くようになりました。

 吹き替え声優さんなどが多種多様な人を演じ分け、ちょっとした効果音とともに聞くそれはなかなか心地が良いものです。


 この辺りにも、AI の波はやってくるはずです。

 つまり、小説の読み上げ――スクリーン・リーダーの進化で、キャラクターを演じ分けたり、適切な効果音を入れたりは、技術的にはもう十分できるはずです。

 ボイスロイドやスクリーン・リーダーの進化も、おそらく加速していくでしょう。

 YouTube などでおなじみ「ゆっくりボイス」などにもその波はやってきそうです。


 そうなると、小説の書き方にも気を遣う必要がありそうです。

 つまり、これまで曖昧でもよかった「このセリフは誰のセリフか」とか、「どういう心理状態なのか」「声色は」など、AI が理解しやすいように書いてやらないと、読み上げがうまくいかなくなりそうです。


 こういうふうに機械が理解しやすいようにデータを整理することを「マシン・リーダブル」と言うのですが、昔はよく取り沙汰されたものの、最近は形骸化していました。


 ここにきてマシン・リーダブルの意味が拡張され、ぼくたちの生活の豊かさに直結する世界がやってきそうです。


 古い娯楽小説と今のエンタメ小説では書かれ方が異なります。

 だから、文章がもっと面白くなるように、AI との付き合い方を模索していきたいと思います。


 ▽


 追記。

「AI との付き合い方」という表記の場合、わりと多くの読み上げソフト――スクリーン・リーダーだけでなく、ゆっくりボイス(Aquestalk)などでも「えーあいとのつきあい」と読み上げたりします。


 人間ならそんな間違いを犯すことはないのですが、こういう機械らしいミスも、これからどんどん減っていくはずです。

 大変良いことだと思います。

 また、ロボットらしい間違い方を、文章の一つの表現として利用できそうですね。

 ちょっと昔の SF では抑揚がない発声がロボットらしかったりしましたし。


 どんどん人間とロボットの垣根がなくなっていきますが、それぞれの領分を守りながら、仲良くできたらいいなと思います。

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