特殊文字の読み上げと表示についての研究
カイエ
よもやま話
スクリーン・リーダーでの読み上げについて
みなさんは、ご自分の小説がスクリーン・リーダーでどう読み上げられるかに興味はあるでしょうか。
ご存じないかたのために簡単に説明しますと、スクリーン・リーダーとは、画面の文章を読み上げてくれたり、画面を見ずに操作する手助けをしてくれるソフトウェアです。
視覚障碍者はこれを非常に巧みに使いこなし、晴眼者とほとんど変わりないウェブ・ブラウジングを行います。
大企業や公的機関、行政機関、教育機関などは、スクリーン・リーダーでの読み上げが、画面表示と等価な情報を提供できるかに非常に気を遣っています。
また、晴眼者でもスクリーン・リーダーを用いて画面を読み上げることで得られるメリットがあります。
最近では読み上げ精度が非常に向上しており、車を運転しながら小説を読み上げたり、小説を聴きながら眠るなんて人もいるようです。
Google アシスタントや Alexa、Siri などのアシスタント・ロボットとの付き合いが当たり前になり、検索も AI とチャットする昨今、スクリーン・リーダーの出番はますます増えてくるのではないかと思います。
▽
拙作「物理法則のアップデートに失敗しました」には、特殊文字が頻出します。
他の作家さんの作品を見てみても「どこから持ってきたんだろう?」と思うような文字が出てきたりして、とても効果的に物語を盛り上げてくれています。
これってスクリーン・リーダーで読み上げたらどうなるんだろう?
と、Web アクセシビリティ 関係の仕事をしている関係で、ちょっと気になったので、実際に読み上げてみました。
使用したのは、PC-Talker、NVDA、VoiceOver の三つです。
日本だと、この三つが主流です。
それぞれのシェアは、
# PC-Talker : シェア92.45%/Windows 中
日本のスクリーン・リーダーのシェアのほとんどがこの PC-Talker です。
結構お高いソフト(38,000円!)なのにこのシェア。ということは、それだけユーザーに寄り添った良いソフトであるということです。
ちなみにブラウザシェアも、PC-Talker に付属する NetReader が約42%と最多で、二位の Google Chrome(29%) を大きく引き離す結果となっています。
なお、ぼくは ver.10 1.29 を使ってチェックしています。
最新版の PC-Talker Neo だとまた違った結果が出るかもしれません。
# NVDA : シェア4.72%/Windows 中
NVDA は海外のソフトウェアですが、無料で使えるため、そこそこシェアが高いです。
Windows ユーザーでスクリーン・リーダーに興味があるかたは、まずこの NVDA から試されると良いでしょう。
ドキュメントも非常に豊富なので、使うのに迷うことはないと思います。
# VoiceOver : macOS ではほぼ100%
macOS に初めから組み込まれたスクリーン・リーダーです。
スクリーン・リーダーを常用する人たちの macOS ユーザーがそもそも1.54%しかおらず、Windows と併用している人ですら12.65%と非常に少ないため、実はあまり調査する意味はありません。
しかし、一番売れているパソコンは Mac であるのも事実です。
また、iOS にもVoiceOver はあるため、表に出てきていないヘビーユーザーもいるはずだということで、ちゃんと調査することにしました。
なお、JAWS for Windows は普段テストで使っていないため除外しました。
娯楽小説のような専門用語をあまり必要としない作品の読み上げの場合、JAWS はオーバースペックであると判断したからです。
だいたい JAWS はめちゃくちゃ高いんですよ(18万円くらいします)……それでも専門的な読み上げにめっぽう強いため、6.48%という根強いシェアを持っています。
▽
なお、スクリーン・リーダーは自分用にカスタマイズすることも可能です。
精通者になるとほとんどの場合カスタムして利用するのが普通です。
(例として、「!」を「感嘆符」と呼ぶか呼ばないか、やアスキーアートをスキップする技などがあるようです)
しかし、テストはインストールした直後のデフォルトの状態で行なっています。
全ての環境で同じように読み上げられるわけでないことにご留意ください。
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