勘弁してよ
あのお茶会以来、私は学園でも王女に絡まれるようになった。
「あら、ごめんなさいね。こんなところにいらっしゃるとは思いませんでしたわ」
王女に突き飛ばされた私は学園の噴水に落ちてしまった。
びしょ濡れになった私を見て、王女と取り巻きはケラケラ笑う。
「水浸しなのがよく似合っていらっしゃるわね」
「身の程を弁えなさい」
「王女様のおっしゃることを聞かないからだわ」
「私は何もしておりませんわよ。こんなところにいるあなたがいけないのよ」
王女は取り巻きの方々を従え高笑いをしながら消えていった。
「ベル、大丈夫?」
「うん。大丈夫よ」
「早く着替えた方がいいわ。風邪ひいちゃうわよ」
「そうする」
「悔しいけど相手が王女では何も言えないわね。ノバック卿は何と言っているの?」
ナディアは苛立っているようだ。
「なんだか忙しいらしくて全く連絡がつかないの。次の恒例のお茶会は会えるみたいなんだけどね。その時に婚約解消の話をするつもり」
「解消するの?」
「うん。だって、別に恋愛感情はないし、我が身可愛いもん。こんなことで怪我したり、死んだりするのはいやだわ」
私の言葉にナディアはため息をついた。
王女はジェフリー様が自分のものにならないのは私のせいだと思っているようだった。
私がジェフリー様にしがみついて離れないと。
私は別に婚約を解消しても一向に構わないのに。
「お父様、王女様に嫌がらせをされるからジェフリー様との婚約を解消してほしいの」
私は家に帰るなり父に懇願した。父は困った顔をしている。
「ノバック家の方が爵位が上だから、うちからは婚約を解消してほしいとは言えないんだよ。しばらく学園を休むか王女が卒業するまで他国に留学するのはどうだ?」
留学か。それもいいかもしれないな。
それにしてもなんで婚約を解消してくれないんだろう?
王女はジェフリー様にも圧力をかけているはずだろう。
確かにうちは裕福でお金のある侯爵家だが、別にノバック公爵家はうちから援助が必要と言うわけでもない。
それなら侯爵令嬢より王女様と結婚する方が高待遇になるに決まっている。
ジェフリー様は王太子殿下の側近でノバック公爵は王妃派だから敵対する側妃様の娘は嫌なのかな?
まぁ、ジェフリー様もいくら家のためとはいえあんな人と結婚するのは嫌なのだろう。
他人に嫌がらせをするような人を好む訳がない。
王女様は本当にジェフリー様が好きなのかな?
それならもっときちんと話をすればいいのにね。
私を排除するより、ジェフリー様と向き合うべきだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます