あっちの世界
「それで、体調はもう大丈夫なの?」
あかりにそう聞かれて、私はもう大丈夫だよと答えると、良かったと言って微笑みかけてくれた。
それから、二人で色んな話をした。
あの世界であった事とか、魔法の事とか沢山話した。
そして、気がつけば外は暗くなり始めていた。
私は、そろそろ帰らないとと言うとあかりは寂しそうな表情をする。
そんなあかりに私は言った。
また明日来るよ、と。
すると、あかりは笑顔になってくれた。
そして、私はあかりに別れを告げて家に帰った。
「あ、話しするの忘れてた……」
あかりに会えたのがうれしくて、あっちに行く為の魔法の事の話を
するのを忘れていた……まぁ、明日も会うんだし大丈夫だろうと思い
ながら家へと帰った。
そして、次の日。
私は朝早くからあかりの家へと向かった。
昨日の今日だし、流石に寝てるかなと思ったけど、あかりはまだ起きていた。
私がおはようと言ったら、あかりは眠そうにしながらもちゃんと返事を返してくれて、それが凄く嬉しいかった。
それから、私はあかりの家であかりと一緒に朝食を食べて、食べ終わった後、私は話を切り出した。
「あのさ、あっちに行く為の魔法の事覚える?」
「うん、覚えるよ」
「良かった、それでその魔法を試してみたいんだけど……」
「うん、大丈夫だよ!早く皆に会いたいもんね、今日にでも試してみる?」
あかりにそう言われて、少しだけ悩んだ後、そうだねと答えた。だって、早く会いたいから。そして、その日の夕方
私たちは、家の近くにある小さな公園に来ていた。
誰もいない静かなこの場所で、早速準備を始めた。
あっちの世界で読んだ本に書いてあった魔法陣を地面に描く。
そして、準備した手鏡を魔法陣の中に設置して、私達二人は
魔法陣の中にへと入った。
「緊張してる……?」
「うん、ちょっと……」
「大丈夫だよ、私が一緒だから……」
そう言って、あかりは私の手をギュっと握った。
私もそれに答えるように手を握り返して、そっと目を閉じた。
すると、あの時感じた、体がふわっと浮くような感覚に襲われて、意識が遠のいていった……。
*****
「…………も……百………!」
「………………ん、ぅ」
「百!」
「あかり……?」
「良かった~目が覚めた?」
「うん……ここは?」
「多分、あの世界だと思うんだけど……」
「………森?」
目を覚ましてまず目に入ったのが、辺り一面に広がる緑豊かな木々。
次に目についたのは、私の名前を呼ぶあかりだった。
どうやら、私達は無事にあの世界へと来れたらしいけれど
周りは見たこともない森……本当にあの世界に来れているのだろうか……
そんな事を考えていると、後ろから誰かの声が聞こえた。
振り返ってみると、そこには懐かしい姿が。
だけど、その声は震えていて今にも泣き出しそうな顔でこちらを見つめている。
私は思わず駆け出して、その人の胸に飛び込んだ。
「…………っ玲央様……!」
「百……?本当に百……!?」
「会いたかったです……!!」
私が玲央様に抱きつきながらそういうと、玲央様は強く抱きしめてくれた。そして、玲央様は涙声で僕もだよって呟いた。
そして、玲央様はゆっくりと体を離すと真剣な眼差しで見てきた。
「こっちの森で変な光があったと報告を受けたから来てみたんだ……そしたら……」
「私達がいた……」
そう言うと、あかりは私達の傍までやって来た。
あかりは、玲央様や奏を見て嬉しそうに笑っている。
その姿を見て、私もつられて笑顔になる。
そして、三人は私を見て優しく微笑んでくれた。
その姿を見て私は、やっと帰ってこれたんだと実感した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます