魔族と世界
「おはようございます、遅くなってしまって申し訳ありません」
「大丈夫だよ、瀬名さんもよく眠れたかい?」
「は、はい…!」
「それは、よかった」
お父様は、にっこりとほほ笑みながらこちらを見た。
お兄様も同じような表情をしながら私達二人を見つめていて
何か変な事でもしちゃったのかな、なんて考えていたら
お母さまがニコニコしながら口を開いた。
「百ちゃんと瀬名さんはすっごく仲良しなのねぇ~おてて繋いで百ちゃんの
お洋服を着て…ふふっ」
「わぁ!?あかりごめんなさいっ、手繋いだままで…」
「大丈夫だよぉ~」
慌ててあかりの手を離すと、あかりはクスッと笑い 私達はその後五人で食事をとった。
朝ごはんを食べ終えた私達は、早速調べ物をする為に町に来ていた。
この町の図書館はとても広くて、本の種類も豊富だった。
そして、そこに住む人たちからも何かヒントが得られるかもしれない
とあかりが言ったので、私はそれに従う事にした。まず最初に目に付いたのはこの国の歴史ついて書かれている本が置いてあるコーナーだ。
学園でも歴史の勉強はするし、家でも本は読んだけれどまだまだ、知らないことがたくさんある。
あかりも同じようで、二人で一緒に本を読んでいく。
暫くすると、あかりが声を上げた。
どうやら何か気になる事が書かれていたようだ。
そのページを覗き込むと、そこには学園で習うような王族の歴史ではなく
平民達の歴史と、魔族の歴史が書かれていた。
「魔族って…………平民と関係あるの……?」
「分からない、とりあえず読んでみよう」
その本によると、遠い昔…………
魔族がこの世界に現れ、人間を襲い始めた。
人間は武器を手に取り戦ったが、数では勝っていてもその力の差は歴然であり 徐々に追い詰められていった。
ここまでは、学園で習ったままの歴史だ。
学園で習ったのは、そこで貴族が魔法を使い魔族を倒した。
そして、魔族はその力に怯え人間と仲良くすることを決めた…
しかしその本に書かれた歴史はこうだ。
不思議な力を持つ平民と貴族の女の子が、魔族の邪悪な心を浄化し平和を取り戻し、和解したというものだ。
その二人の力は 王家の血を引くものだけが使える力で、それ以降その力が発現するものは現れなかった。
だが、私はその話を聞いて一つだけ疑問に思ったことがあった。
「これ……私達に似てない?」
「百もそう思った?平民と貴族の女の子…不思議な力…」
そう、この本の内容は私達の状況にそっくりなのだ。
だけど、私達にそんな力があるとは思えない。
それに、魔族の心を救ったというのはどういう事なんだろうか。
私達が魔族と戦ったというのならば分かるけど、そんな記憶はない。
「過去にも私達みたいに転生した人がいた……?」
「うーん……でも、このゲーム私が作ったやつだからそれはありえないんだよね
百と私以外にいるはずがない……」
「え!?あかりが作ったって!?」
「あれ?言うの忘れてたっけ?このゲームは私が百と私をモデルに作ったって」
「聞いて無いよ……!!ゲームやってて気づいたら……とは聞いたけど!!」
確かにあかりは前世の記憶を持っていると言っていたが、まさかそんな事をしていたなんて知らなかった。
じゃあ、これは私がモデルになっているのか……。
だから、あかりも私も見た目もそっくりだったわけで…なるほど…
「でも、それだったらなんで私をヒロインにしなかったの?」
「それは……ゲームの中とはいえ、百を取られたくなかったから…だから
悪役令嬢にしたの」
「へぇ……攻略対象があかりに対して意地悪なのは?」
「あーそこらへん適当だったからなぁ~本命ルートは悪役令嬢とヒロインがくっつくルートだから」
「そ、そっか…………それで、そのゲームに魔族って」
「出てないんだよねぇ……私たちがゲームの中に転生したことでかなり
変わっちゃったのかなって考えてる」
「んー……じゃあ、私達以外に転生者がいても……」
「おかしく……ない……?」
あかりは少し考え込むように顎に手を当てて俯いた。
私達のせいでこの世界が変わってきている……?
だめだ、考えれば考えるほど分からなくなってくる…
そんな時、私の後ろから声が聞こえた。
「あれ?小鳥遊……百……さん?」
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