第34話 七頭のルール

「私の目的はこの世界を滅ぼすことだ」


「なっ!?」


「驚くことはない。それがこの世界の理なのだからな」


「どういうことだ」


「この世界は滅びに向かって進んでいる。この世界の人間は自らの欲望のままに生き、他の生き物の命を奪い続けている。そして、争いが生まれ、憎しみが連鎖していく。このままではいずれこの地は血にまみれた大地となる。それを食い止めるにはこの世界そのものを終わらせるしかないのだ」


「……」


「この世界が滅べばまた新たな世界が構築される。その繰り返しだ。このゲームになんの意味があるというのだ? 私には三角のお考えが分からんのだ」


「ちょっと待ってくれ。その三角と言うのはいったい何者なんだ?」


「さぁ、私も詳しくは知らない。知っているのはその方々が神だということだけだ。神に選ばれたものだけが神の力の一端を使うことができるらしい。まぁ、それもどうでもいい話か。さて、そろそろいいか?」


「すまん、もう一つ。このゲームと言ったがこれまでにもゲームはあったのだろうか?」


「うむ。これまで幾度も繰り返されてきた。そのたびにこの世界はリセットされ、始めからやり直すのだ」


「ふむ。ではネロはずっとそれを繰り返してきたという訳か。しかし、ここに来る前にイナゴが襲ってきたのは?」


「あれは王の眷属だ。お前に王としての資質がなければイナゴに食い殺されておったわ」


「それでなんだ? 適合者? 適格者? になるということか」


「そういうことだ。まずは一つ目の試練として、まずあの穴からの脱出。その後の大量のイナゴ襲来。いままでのゲームではここまででやって来た者は全て帰っていった」


「それじゃあ私が初めてここまでこられているのか?」


「ああ、まあルールの変更があったからではあるがな」


「ルール変更?」


「うむ、今回はこれまでとは違い、我ら七頭がそれぞれの参加者に協力者(コラボレーター)として同行することになったからな」


「協力?」


「ああ、そうだ。私の役目はあくまで案内人で助言などは一切しないことになっているのだが、今回ばかりは例外であった」


「例外?」


「うむ、想定外の出来事が他の世界で起こっている」


「他の世界というのが分からないが」


「ふん、まあよかろう。私の他に六つの頭がおりそれぞれが世界を構築しているのだ」


「ということはこのゲームに、いや毎回参加しているのは七人、ということか?」


「そうだ。そしてその一つの世界で頭の号令を待たずゲームが始まってしまった」


「それはなにかまずいことなのだろうか?」


「先ほども言ったように世界を構築しているのは我ら七頭だ。我々七頭はお互いの世界への干渉は禁じられている」


「ということは誰かが他の頭の世界に干渉した、ということなのだろうか?」


「ああ。そうとしか考えられないな」

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