02

「あ゛?」


ゆるい浮遊感にうっすら目を開けると、世界を超える前に見た白い部屋の中にいた。

映写機がない代わり、今度は天球儀のようなものがまわっている。

───ああ…なんだ、この景色はまたクソ神か…。

考えなくても解る、ここに自分を呼んだのはあの胡散臭い金髪野郎だろう。

一体、何の用で呼び出したのだか…。まあ、言いたいことは山積みなのでワケは直接本人に聞くとしよう。


「…何の用? いま凄く眠いんだけど」


《いやー…どうしているかと思ってね》


なはははと金髪頭を撫でながら苦笑いをする、自称神。

相変わらず金髪で、天使のような格好をしている。

でも、その中身なんてたかが知れている。

蓋を開けてみれば人一人の人生を不注意で終わらせるようなロクデナシだ。


「どうするもこうするも……アンタが場所考えずに落としたりするから、汚い泥水の中に落ちちゃってさぁ…」


《あ、ホント? 悪い悪い、ちょっと力入れすぎちゃったみたいだ。許しておくれよ☆》


────ぶつーんっ!


「ふっざけんなやクソ神ぃい!! 人を汚い泥水ン中に落としやがって、初っ端からカゼひいちまったじゃねーかあぁ!」


その無神経な素振りにも、能天気そうに笑う笑顔にも腹が立って…気が付けば自称神にドロップキックを食らわせていた。


《へぶうううう…ひどいーっ!!》


「非道いのはアンタだろうがーっ!!」


手違いで人生を終わらされた次には世界を渡らされて、おまけに嵐で濁って汚い川の中に落されれば、誰だって怒りもしよう。

泥まみれな上に、熱まで出してしまった。

なので、神にドロップキックを食らわせた私は悪くない。


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