MADOKA -Core-

早坂 実

第1話 開国

日本国―。

 702年、遣唐使によって、中国(唐)に伝えられ、初めてその国号を得た。その昔、朝鮮半島は、百済、高句麗、伽耶、新羅という国が存在した。侵擾しあい、合従連衡した後、結果統一したのが新羅であるが、唐から冊封を受けていた。

 日本は、唐の臣属である新羅に対し、国号を受けることで、新羅より優位であることを示し、新羅を従属国として扱おうとする日本と度々緊張が走り、実現こそしなかったものの、新羅侵攻の計画も存在したとされる。

 一つの独立した国と認識され、大国に冊封を受けず、日本が国威を放つことができれば、外交をする上で、互恵が根底にある交渉も可能になるだろう。

 室町の朝貢形式の貿易、江戸末期、明治初期にかけての不平等条約は、互恵に欠けるものの日本の努力の末、第一次世界大戦後は、欧米諸国と共に、大国の一つとして数えられることになる。山東省の権益をドイツから引き継ぎ、国際連盟では発言力を強めることにより、その時アメリカは日本を危険視した。中国からの反発もあり、日本は国際的に孤立を深めることになるが、アメリカがワシントン会議を開き、国際協調路線を展開した。勿論、日本もそれに参加している。

しかし、この会議におけるワシントン海軍軍縮の一つの理由は、アメリカ、イギリスの国内の財政が逼迫していたからである。もし、逼迫していなかったら、どうだろうか。当時の日本の軍部は、それを見越してか、かなり反発をしていた。

外交は、いつの時も互恵が理想であるが、情勢によって、そうではないこともある。自国を優先しなければならない時もあり、牽制をしなければならない時もある。なぜなら、数万、数千万という人口を抱えているからに他ならない。そして、覇権の一つは握りたくなるというのが、人間だ。外交は、狡猾かつ、老獪でなければならない。

豊臣秀吉。織田信長のあと、日本を統一したうちの1人である。全国を統一した後、軍事的支配だけでなく、天皇と秀吉に忠誠を誓わせるなど、権力的支配も行った英邁な将軍である。秀吉は、当時の中国 明が衰退したのをきっかけに、日本を中心とする新しい国際秩序を作ることを決意し、アジアの数国に、入貢を求めた。

1587年、秀吉は、朝鮮出兵を開始する。結果、明の援軍、秀吉の死により、撤退を決し、凍傷、鳥目、飢餓という惨い結果になるが、これは、東アジア秩序形成という面の他、知行地獲得のため、領地を拡大するための侵略戦争という面ももっていたのだ。日本という国土面積が制限されている中、知行国制度には、限界がある。自国のためにも、侵略する必要性がこの時あったのだ。

 Susquehanna

江戸末期、弁才船(通称 千石船)のおよそ20倍の大きさを持ち、アメリカから4か月という期間を経て、日本の浦賀にやってきた黒船の名称である。1854年のことである。

 目的は、開国。アメリカがやってくる前に、最初、ロシアが日本に接近をしていたとされている。狙いは、植民地開発である。当時、アメリカ独立、フランス革命と市民社会になり、イギリスは産業革命をベースに、フランス、イギリスの両国は、より多くの国を植民地とすべく、領地拡大戦争を繰り広げていた。ロシアも、それに過ぎなかった。

 しかし、日本は、鎖国の真っ只中である。参勤交代に始まり、大名を統制すべく、スペイン船が来航できなくなり、そしてキリスト教を禁教、島原の乱をきっかけにして、鎖国へと踏み切る。当時の外国の事情は、オランダ風説書によって、伝えられた。かえって、鎖国状態の中の元禄文化は、日本独自の進化を遂げることになる。

 朱子学思想。尊王論の基礎ともいえる垂加神道なるものまで創造される。朱子学の理気二元論の影響からか、学問も同時に発達することになる。

 朱子学者、貝原益軒の本草学である「大和本草」。そして、江戸時代を代表する科学者


木内石亭の「雲根志」。


その中には、2023年以降の現代の最先端技術でも、非科学的かつ解明不能とされる石がそこには記されていた。

オランダ医師 シーボルトは、一万点以上の日本のコレクションを持ち帰り、ボン大学に日本学教授として招待されるという経歴を持つ。ライデンに留まることを決めたのだが、その時に、


「奇妙な石の存在がある……。」と一言呟いたという。

 

 シーボルトの「日本―日本記録集成」には、その石の記載もあった。アメリカのペリーもそれに興味を示し、開国を迫ろうとする。

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