第18-6話 バトル?
「やっぱりそうですよね……」
「うん。だから和泉ちゃんとはライバルになるね」
これから私と和泉ちゃんはライバルになる。
同じ人を好きになってしまった以上これは避けられないこと。
しかし、ライバルになるとは言っても私たちはライバルになる以前に友達だ。
これから紅をめぐって衝突する場面が出てくるかもしれないが、それが原因で友達としての私たちの関係が終わってしまうような自体だけは避けたい。
「私、蔦原さんはまだライバルじゃないと思っています」
え、それは要するに私に魅力が無さすぎてライバルにもならないという意味だよね?
私は可愛くて奥ゆかしくて清楚で女の子らしい和泉ちゃんのことをすぐにライバルだって認めたんだけど、言ってくれるね和泉ちゃん……。
自分を魅力的だとは思っているわけではないが、面と向かって魅力が無いと言われると癪に障る。
和泉ちゃんは見かけによらず恋愛になるとかなり強気になるようだ。
「そ、そうなんだ。それならまずはライバルって認めてもらえるよう--」
「私は染谷君が賀川君たちにいじめられてた時、何もできませんでした」
私が和泉ちゃんと喧嘩にならないよう当たり障りのない返答をしようとしていると和泉ちゃんが話し始めた。
「……え?」
「でも蔦原さんは染谷君のため、自分がいじめられる可能性なんて考えずに助けに入ってましたよね。それに、学校に復帰して来れたのも蔦原さんと染谷君が2人で頑張ったからなんですよね?」
「そ、それはまあそうだけど」
「それに比べたら私なんてただ少しだけ会話したことがあるだけの、好きな人がいじめられていても何もできないだけのクズ人間です。だからまず私は蔦原さんのライバルになれるように頑張ります」
和泉ちゃんが『ライバルじゃない』と言ったのは、私がライバルに値しないというわけではなく、自分自身が私のライバルには相応しくないという意味での発言だったようだ。
恋愛になると急に強気になるのかと思っていたが、和泉ちゃんらしい奥ゆかしさのある発言に私は胸をなでおろす。
「私からしたら和泉ちゃんんはもう無視することのできない強敵で、ライバルだけどね」
「そう言ってもらえて嬉しいです」
一時はどうなることかと思っがなんとか丸く収まってくれた。
「ふぅ……。よかったぁ。上手く話が纏まったみたいで」
「みぃちゃんごめんね。いつも迷惑かけて」
「迷惑なんてそんな。私も助けられることばかりだから」
「みぃちゃんは紅のこと好きにならないでね」
「な、ならないよ!?」
「いや、まだ好きじゃなくてもなる可能性はある」
「だよねっ。ここに2人も紅のことを好きな女の子がいるんだから」
「大丈夫だって言ってるでしょ!」
ここに紅のことを好きな友達が2人もいるのだから、紅のことをまだ好きではないみぃちゃんは好きにならないように紅と関わるだろうしまあ大丈夫だろう。
こうして私と和泉ちゃんはライバルになり、戦いの火ぶたが切って落とされたのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます