エッセイ3本、投稿しました

エッセイを3本投稿しました。

「ときめき」をテーマにしたのと

家族をテーマにしたのと

旅行記をテーマにしたのと。


今回は、2000文字程度になる

長文のエッセイを、こちらに流します。


  今日も元気にコケてます


 わたしを乗せて自転車がガチャンと踏切内でコケたのは、春先のことだった。同時に鳴りだした警報の音が心臓の音と共に、死へのラッパを鳴らしている。ドクンドクンと鳴る警報の音に、わたしの背筋は凍った。のしかかる自転車を放りだそうとして暴れたが、自転車はまるで接着剤でくっつけたみたいに身体に貼り付いている。


 なんということ。このままわたしは電車に轢かれるのだろうか。残された家族が損害賠償に追われる事を思うと、死んでも死にきれなかった。わたしはか細い声で叫んだ。

「だれか、助けて」

 その時だった。

「大丈夫ですか!」

 なんと、たおやかな美女が現れた。軽々と自転車を持ち上げ、踏切から押し出すと、わたしの腕を取って踏切の外へ引っぱってくれたのだ。その直後、すごいスピードで電車が通っていった。わたしは、間一髪たすかったのだ。


 美女にお礼を言うと、美女は笑っていた。

 それにしても、こんなやせっぽちなのに。まるでスーパーウーマン。

 わたしは驚いてしまった。


この踏切は、地蔵さまがいることでもわかるように、事故が多発する場所なのである。今回は、美女が助けてくれたから良かったが、ヘタすりゃ死ぬところだ。

美女には感謝しかない。お礼を受け取ることもなく、颯爽と去って行った美女の姿は、わたしには天使のように見えた。


 わたしはよくコケる。踏切内のことでも、自転車を押して通ればコケることもなかった。それに気づいたので、それ以降は自転車を押して踏切を渡っている。


それから数ヶ月後。明けそうで明けない梅雨の蒸し暑い晴れ間である。ディスカウントストアのダイレックスで巻き寿司を買って帰るとき、車道から歩道へあがろうと足を上げた。


 すると汗にまみれた足がチノパンの裏にからみつき、足があがらない。そのまま歩道のヘリに足の甲がぶつかった。しまった、と思ったときにはもうコケていた。強烈な痛みの直後、右手が血みどろになり、ズボンの右膝はちぎれて右膝はすりむいている。買い物はめちゃめちゃだった。血みどろのまま家に帰ると、道や廊下に点々と血のあとが残っていた。


自転車でこりているはずなのに、相変わらずコケる。ジンジンと手のケガが痛くてたまらない。マンションの管理人から、「あなたの部屋まで血がしたたってましたよ」って言われてわたしは自分が情けなくなった。


 汗でズボンが絡まったとは言え、もうちょっと慎重に歩けば、ケガもしなくて済んだはずなのである。今回は車道から歩道に渡ろうとしていた。ヘタすりゃ自動車事故にもつながりかねない。注意散漫なのは生まれつきだが、いつか年を取ってそのせいで寝たきりになったらどうしようと、いまからブルーになっている。

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