第26話

最初のダンナと離婚したアタシは、つばきちゃんが暮らしている名古屋へ行った。


来た翌日に、アタシは新規オープンのナイトクラブの面接を受けに行った。


しかし、来て早々に面接官から『だれが面接に来てもいいと言った!?』と凄まれた。


だからアタシは、面接官とドカバキの大ゲンカを起こした。


その後、アタシは再び関西へ引き返した。


アタシは、大阪・神戸の飲食店やコンビニやデリヘル店などを中心に生きていくために働いた。


最初のダンナと離婚したアタシは、この3年6ヶ月の間に男ぎらいの度合いをさらに高めた。


ところ変わって、大阪城公園の広場にて…


アタシは、ひとりで広場にやって来た。


この時、腕を組んで歩いているカップルさんを見かけた。


幸せいっぱいのカップルさんを見たアタシは、くすんくすんと泣きじゃくった。


恋することはあきらめた…


結婚もあきらめた…


赤ちゃんを産んで育てることもあきらめた…


女の幸せは…


みーんなあきらめた…


アタシは、くすんくすんと泣きながら大沢桃子さんの作詞の歌で『恋し浜』を繰り返して歌った。


恋し浜は、釜石と大船渡の間にある小さな漁町みなとまちである。


アタシがかつて暮らしていた町だった。


2008年に発生した秋葉原の通り魔事件で逮捕起訴後に死刑となった死刑囚の男の身内と父がドカバキの大ゲンカを起こした事件が原因で父と不仲になった。


この時、アタシは再び養護施設に送られた。


そこで約2ヶ月近くに渡って不便な生活を強いられた。


その時に父が『新しいお母さんが見つかったよ…』と電話でアタシに伝えた。


父は、2008年7月に大船渡市内に移って新生活の準備を整えた。


父親が新しいお母さんと再婚したと同時に、アタシはさかりの中学校へ転校した。


しかし、父は新しいお母さんとソリが合わなかった。


それが原因で、父は新しいお母さんに対してDVを加えた。


それがまた原因で、また家出した。


三陸鉄道の恋し浜駅に降り立った時、アタシは遠くに見える海をながめながら『アタシの本当のお母さんはどこに行ってしまったのかな…本当のお母さんはどこにいるのかな…』とつぶやいた。


その後、夕暮れの海を見ながらくすんくすんと泣きじゃくった。


家出してから10日後に、アタシは釜石の魚市場の近くの通りで警察官に保護された。


そしてまた、アタシは施設に送られた。


あの日…


恋し浜の駅からながめた海の風景は…


波静かで、おだやかだったわ…


あの時見た恋し浜の駅の風景と東日本大震災さきのだいしんさいの時、灼熱の巨大津波にのまれてゆく気仙沼の市街地の様子を思い出た。


アタシは、泣きながら『恋し浜』の歌を繰り返して歌った。


恋するよろこびをなくしたアタシは、知らないうちに男がらみのトラブルを繰り返すようになった。


2019年6月頃だった。


アタシは、ホストを私物化したことが原因できついはずかしめを受けてボロボロに傷ついた。


その上に、ホストクラブの店長から『1000万円を払え!!』とすごまれた。


どうすることもできなくなったアタシは、丸亀で暮らしている親類縁者の家に助けを求めた。


問題は、親類縁者の家の人の知人の弁護士さんが間に入る形で解決した。


アタシは、親類縁者の人に恩返しするためにまた再婚することになった。


アタシの再婚相手は、弁護士さんの知り合いの次男さんで年金機構の職員のあきよしさんであった。


アタシは、仕方なくあきよしさん…いえ、あいつと再婚した…


それでまた、再婚して早々に大きくつまずいた。


ここから、3度目の悲劇が始まった。

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