第9話 刹那の風景5:メイキング対談:表紙1と題名とプロローグ
――このメイキング対談は、薄浅黄が企画しました。DVDなどを買うと特典でついてくる、監督などが映像を見ながらコメントをしていくというものを、小説でもやってみようという企画です。折角二人で作っているので、対談形式で面白くというのが狙いだったのですが、緑青は語るのが苦手で好きでもないので、辛口になっている点は、ご容赦ください。後、句読点の位置などは、録音したものをAIが自動的に文字起こししているので、変だったりするのも許していただけると幸いです。
――この読み物は、『小説家になろう』の『刹那の風景』シリーズ(以下、Web版)からどのようにして、『刹那の風景 5巻』を作成したかを語るものとなっており、なので読者層は、『刹那の風景 5巻』を読んだ方で、『小説家になろう』の『刹那の風景』シリーズを読んでいる方を想定します。書籍版に興味がない方や、『刹那の風景 5巻』のネタバレを気にする方はブラウザーの戻るボタンを押すことを推奨します。
――また、書籍化された『刹那の風景』しか読んでおらず、5巻以降の展開の話を望んでいない方もいると思いますが、その方々のために、先の物語の展開にかかわる個所は伏字にしておきます。
――なお、本の後書きから読むネタバレ派や、書籍を買うか迷っていてきっかけを探している方、書籍は買わないけどどういう観点でWeb版から書籍版を作っているのか気になる方が、この読み物だけを読むことに関しては、全然問題ありませんので、楽しんでいってください。
――以下、緑青を「緑」、薄浅黄を「薄」でお送りします。
――<表紙について1>
薄 : では、始めます。
薄 : どんなことを考えていたとか、どういう風な修正をしたとか、加筆をしたかっていうことを観点に、進めていこうと思います。
薄 : でまぁ、表紙が今回あって、
緑 : いや、いつもあるよ。それで、表紙でなんか感想ある?
薄 : まぁ、この電子データが手元にあるんですが、あれだよね、サイラスの顔が切れちゃってるよね。
薄 : 見本でもらった時あったのにね。
緑 : そうだね。
薄 : デザインでもらっているカバーの見本が来た時には、実は、まだサイラスの顔があったんだよね。まだね、目が見えてたんだよね。
緑 : いや違うと思うよ。見本のPDFの上の部分に、黒い線があるから、そこで切るという意味だったんじゃないかな。
薄 : あぁ、この線で切れるということなのか。
緑 : その黒い線と黒い線の間が表紙になりますよ。
薄 : じゃぁ、これ折れてる部分は折り込んで、このサイラスの目の部分は、袖のところに残ってるのかな。
緑 : 残ってないんじゃない?
薄 : 残ってないのかな。これだって折るって話じゃないの。
緑 : 削るって話なんじゃないの?見本が来たらわかるんじゃない?
薄 : まぁそうだね。もしかしたらここのサイラスの切れてる部分があるかもしれない。
――このサイラスの目の話は見本(作者に発売に前もって届く書籍の見本です)が後ほど届くので、そこで改めて触れます。
――<人物紹介>
薄 : で、ページをめくるとマップがあって、その後に人物紹介があります。今回、初めて書いたんだよね。で、この人物紹介はなかなか文章を書くの困ったよね。
緑 : 別に。人物紹介は、薄浅黄に任せて何も書いてないから。
薄 : ……。基本的に何が困ったかっていうと、4巻までの話なのかなと思ったら、5巻のキャラクターも書いてねっていうことでさ。
薄 : 雛型をいただいていたんだけど、それを見ると結構、あれ、このキャラクターいるの? みたいなのがあって、5巻で初登場のキャラクターがいるんだよね。
薄 : だから、5巻で初登場のキャラクターが3人ぐらいいるから。ネタバレが気になる人は見ないこと推奨みたいなね。
――対談時にはこういってますが、上記に書いたようにこれを読んでいる方にとっては、もうわかっていることなので、どうでもいい話でした(汗)
――<題名>
緑 : それはそうと、最初はタイトルからじゃないの?
薄 : そういえば……。じゃあ、タイトル。
薄 : タイトルを推敲してた時って、何を考えてタイトルつけたかって難しかったんだよね。結構な案がありました。
薄 : タイトル案が何個ぐらいあったんだろう?最終案含めて、8案ぐらいあるね。
薄 : で、候補としては、和解とか波乱とか物語の内容を表す単語を入れるか、2巻の時と同じで、3巻からの続きのタイトルにしてもいいかなという案もあったけど……。
緑 : 美しくないもんね。
薄 : 美しくないって感想は抽象的だから、もうちょっと詳細にお願い。
緑 : パッとタイトル案を見せられて、これは嫌だな、これも嫌かな、これも嫌、最終的に、68番目の元勇者と雪解けの宴か、68番目の元勇者と晩夏の宴か、どっちにする? となった。
薄 : いや、話が飛び過ぎ。まず、「波乱」、「和解」、「建国祭」、「食事会」の言葉を組み合わせる案が複数あって、でも正確に内容を伝えようとすると、長すぎる。だから、2巻の時の様に「68番目の元勇者」をとる案もあった。
緑 : 覚えてない。
薄 : ひどい。まあ、上の案を考えた後に、全部微妙だなってなった。長いのを解決するのに、建国祭も食事会も宴っていう言葉で一つに纏めればいいかとも考えついていたんだけど、一つの宴に「波乱と和解」があるのかっていう風に取られかねないから、それは案にすら上がらなかった。
薄 : それで、じゃあどうしようかって言った時に、和解から雪解けっていうことがまず出てきたんだよね。で、雪解けの宴もなんか変だよなって言った時に、ああ、別に状況を説明することにこだわらなくても、時期を表す言葉を入れて、情景を感じてもらうのもありかなと思って、初秋と晩夏って言葉が出てきたんだよね。
緑 : 全然違うことを思ってたけど。ラギのことを掛けてるのだと思ってたから。
薄 : それは、その後の話。初秋と晩夏とどっちが良かったかなって言った時に、ラギの人生が、今が最後の頂点の時期で、これからは陰ていく晩夏と一致するからということで、今回のタイトルが決まったという感じです。
――ちなみに、薄浅黄がプロット等の作業しているときには、緑青は『小説家になろう』の『刹那の風景』の執筆をしています。していると思います。しているといいな……。
――<プロローグ 5頁>
薄 : 知っている人は知っているかもしれないけれども、どういう風にWeb版をまとめようかと、プロットを考えるのは、決めるのは、薄浅黄の仕事なんだけど(書籍の緑青の袖の意味は、このことです)、それで、Web版の一話一話の内容を見て、コンセプトを明確にして加筆修正が必要だよねとか、書き下ろしが必要だよねとか、こういった話が足りないから、書下ろしが必要かなとか大まかな流れを作ります。
薄 : その後、二人で打ち合わせをして、さらに足りないところとか、不要な部分を相談して決めて、じゃあ後よろしくって言って、緑青に投げるわけです。
緑 : 薄浅黄にも、投げるけどね。
薄 : まぁ、そうだけど。二人のうちどちらが、どの個所を手掛けるかというのは、基本、その場で適当に決めます。
緑 : 他の小説家の人達って、どうやっているんだろうね。
薄 : 私達は二人でWeb版もあるから、こういう方法がやりやすいというのもあるけど、今書いたようなことを一人でするのは大変そうだよね。
緑 : 打合せがない分は、羨ましいかもしれない。
薄 : まぁ話を戻すと、いつも最初は、プロローグお願いって言うんだけど、実のところ、このプロローグって一番最初にあるけど、書籍化の作業が終盤にさしかからないと書けないって、緑青がいうんだよね。ああ、言い忘れてましたが、プロローグは緑青固定です。
緑 : その巻の中身に触れるところだから、全体が見切れる段階でないと、書き始めれないんだよ。
薄 : まぁ、そういう流れでプロローグは書き下ろされるんですが、今回、出来上がってきたものを読んだときに、純粋に妻のこととか息子のこととか、書いちゃうんだって思いました。Web版は、父も母も息子も出てなかったよね? 今回のところって。それで、まだこの執筆段階で、きっと母も息子も出てなかったと思うんだけど、このプロローグ書き始めた時にね。それで、どうして肉親とかを出そうって決めたのかなっていうのは、ちょっと気になっていました。
緑 : それはもう4巻の時点で決まってた。
薄 : そうなんだ。なんで出そうって決めたの? あと、肉親だけでなく。
緑 : 2人の親友のことも?
薄 : そう。
緑 : ラギーが大切にしているものは何なのかっていうのを、最初に書いておいた方が、見せておいた方がいいのかなって思ったのが、4巻書いてる途中かな。4巻書いてる途中で、5巻のプロローグはもうラギだっていうことは、ほぼ決まってたから。で、アルトとのことを持ってくるか、セツナとのことを持ってくるか、どんなふうにするか、色々パターンを考えてたんだけど、しっくりこなかった。
薄 : セツナがプロローグではない2巻と3巻では、主人公二人は、最後に少し登場して、プロローグの語り手に出会ったという形になっているよね。
緑 : ラストの文章、そうだね、まずプロローグの語り手にとって、誰が一番大事かを考えて登場人物を決めて、そして一番最後の文章を考えるね。
薄 : まあそうすると、ラギの話では、家族や親友しかないんだろうね。
緑 : それとあと『〇〇の〇』(伏せました。以降伏せるときは〇を使います)を出したかったんだよ。
薄 : なるほど。確かに、ラギにとって大事な存在だよね。
緑 : そうそう。で、2巻は、トゥーリだからやっぱり、家族のことが出てきて、3巻はリヴァイルで、弟妹や友人のこととかを語る。そういうことを考えるとやっぱり、ラギの時も自分の過去をこう振り返って誰が出てるかっていうことをやると、やっぱり家族なのか。
薄 : 結局その人の人物史だから、友人とか息子とかが出てくるのは当然という流れなんだろうね。
緑 : そうだね。
薄 : それでちょっと話を戻すんだけど、そもそもなんで5巻のプロローグがラギなのかって話なんだよね。
緑 : 4巻が、ラギではなかったから。
薄 : 4巻で誰にするかってところは、悩んだんだよね。ラギも出てくるし、サイラスも出てくるし、ノリスも出てくるし、ジョルジュも出てくるから、結局誰にしたらいいんだっていうことに悩んで、最終的にはセツナにしたんだよ。
薄 : で、ラギはじゃあどこなんだって言ったら、やっぱり5巻しかないよねって言って、5巻になったわけだよね。だからラギを出すタイミングが、どちらかというと4巻じゃなかったから5巻になったってところが正しいような配置の仕方になっています。
緑 : そうね。ラギは重要人物だから、どうしてもプロローグに登場させたかったし、5巻に出るのは必然。
薄 : じゃぁ、6巻は誰なのとなると、そこはお楽しみということで。すでに、私達の中では決めています。
――登場人物が多いといえば3巻もなんですが、3巻は2巻の続きという意識があり、トゥーリと対になるリヴァイルで、すんなり決まっています。
――こんな感じで、約10時間ばかり話していたものを、編集して上げていきたいと思います。宜しければ、最後までお付き合いください。
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