つまらぬ者を斬ってしまった…

食糧自給率という数字がある。


簡単に言えばどれだけ国内で食べ物を生産できているかという数値であり、これが低いともし輸入が途絶えた時国内の食事事情が悲惨なことになってしまう。


今の我が王国の食糧自給率はかなり低いと思われる。

我が国で生産されている食糧はベーコンキャベツとみかんジュース。他にも色々作ってはいるが、微々たる量だ。




農業ロボ猪鹿蝶にも言われたが、確かに農業は大切だ。



今でこそ植物成長剤によるベーコンキャベツの異常成長と掲示板による取引でどうにかなっているが、もしかしたらいつかそれがなくなる時が来るかもしれない。



それに、これからどんどんホムンクルスを生産していく予定だ。最終的に何百万ものホムンクルスを生産する。

今の輸入に頼ったままではいつか限界がやってくる。


自分で食糧を生産しなくてはならないのだ。




そんなわけで、俺は農業を始めた。



肥沃な土地は有り余っている。水だって魔法でいくらでも生成できる。


ホムンクルスと農業ロボ猪鹿蝶に命じて、もう既に多くの土地を耕している。


植えているのは小麦、米、ジャガイモなどの主食となるものからトマトやキャベツなどの野菜類。


農業に関して何の知識もない俺たちは取引で手に入れた学術書と農業ロボの適切な指導の下、拙い技術で土地を耕していく。


生産が得意なホムンクルスたちもビニールハウスなどを作り、惑星開拓本部所属の人員は一丸となって土地を耕す。


収穫の時期が楽しみだ。




…シームルグの作ったよくわからない種は隔離して育てている。何が育つか予想ができないからだ。











今日のログインボーナスはユニット確定ガチャコイン!



ガタンッ









HR『人質』



犯罪者が自身の要求を通すために拘束された人のこと。または約束を守る保証のために敵国などに送られた人。

戦国から江戸時代の日本ではお互いを信用できず約束を守らせるため、人質を送りあった。

徳川家康も幼少期人質だった。








出現したのは縛られたアンドロイドだった。


半分機械のサイボーグホムンクルスとは違う、全身が機械のアンドロイド。生身の部位が一つもない。


…そんなアンドロイドが、これでもかというぐらいに縛られていた。


手錠と足枷、体を縛る拘束服。その他もろもろ。


俺とホムンクルスは助けてと叫ぶアンドロイドを面倒だと思いながら解放した。




「人間。お前が私を解放したことは感謝している。だが下等生物である人間に従うつもりはない」


何だこいつ。恩人に向かって何だそこ口の聞き方は。スクラップにしてシンオオサカニウムと混ぜてやろうか。


などと考えたが、辞めた。





俺は、このアンドロイドに見覚えがあったからだ。


ずいぶん昔にガチャから排出された応援ポスター。名前PDEHSMAKEN。政党は神学機械党。

公約は第十二の使徒の建設。


意味不明な応援ポスター。そのポスターに貼られていた写真のアンドロイドと目の前のアンドロイドが瓜二つなのだ。


いやいや、同じタイプの見た目なだけで別人だろう?


俺はこのポスターに書かれている名前と政党、公約について聞き込む。




「なぜ私の名前を知っている?神学?使徒?馬鹿げたことを。神などと言うありもしない幻想を信じ込むのは愚かな人間だけだ。機械である私がそのようなことはしない」


こいつ応援ポスターのアンドロイド本人かよ。

だがどうも神学のことなどは知らないらしい。どういうことだ?同姓同名の別人なのか?



そう考えていると、農業ロボの蝶がこちらに向かって着陸してきた。


『山田様。指定された第4区域の開墾作業完了しました」


「よし、計画に従い、次の区域の開墾を始めよ」


『はっ』


そうして蝶は飛び去っていった。


俺はアンドロイドに視線を戻すと、アンドロイドは空を飛ぶ蝶を見て呆然としていた。




「そうか…所詮我々アンドロイドなど人間と同じ…」



「いや、何でもない。ところであれは?ガチャより出した?なるほど…ガチャも一種の機械と言えるのか」



アンドロイドは一人でぶつぶつと独り言を話し始めた。


俺は知っている。この顔はマッドサイエンティストが自分の世界に入って深く考えごとをしている時の顔だ。そしてこの状態に邪魔が入ると烈火の如く怒り出すのだ。そしてその後、とんでもない発想で俺を驚かせ役に立ってくれる。



俺はアンドロイドを一旦放置することにした。後で何を考えていたのか聞いておこう。









その後、アンドロイドは運命教会に入信した。


どういうことだ!さっきと言ってることが違うぞ!











それでは、今日の無料ガチャ。






ガタンッ










UC『ハニートラップ』







イギリス人小説家ジョン・ル・カレの造語。1974年に出版された『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』に初登場。


基本的に女性の工作員が重要情報を知る男性を誘惑し、懐柔するまたは脅迫し、機密情報を要求する。


イメージでは女性がスパイ側だが、ハニートラップを仕掛ける男性スパイも存在する。











出現したのは、黄金色に輝く小さな池だった。


池の周りは花々が咲き誇り、黄金色の泉からは甘ったるい匂いが放たれている。


そう、この池はただの黄金色に輝く水ではない。花の蜜である。


もしこの辺りに虫がいたら、すぐに池に群がっただろう。






鑑定!


●ハニートラップ


蜜の精霊エレンシア。異世界の妖精です。蜜の泉の主人であり甘い香りに誘われた動物や人間を溺死させ養分とする恐ろしい妖精。


蜜の妖精はユニットではありません。生命体ではありますが罠アイテムに近い存在であり、山田様にも攻撃してくるので、注意が必要です。





なるほど、敵か?敵だな!



俺は花畑を踏み、池へと進みだす。


特に何の攻撃もなく、すぐに池までたどり着いた。



…まだか。俺は泉に触れる。ベタベタして気持ち悪いな。



うまっ!何だこれ⁈すっごい美味しい。ホットケーキにかけて食べたら美味しいだろうなぁ。



俺が蜜に夢中になっていると、突如として女性が泉の中から現れ、俺の手を掴もうとする。


俺はすぐに後方に飛び、剣を構えた。





「ワタシノイズミニフレルナォォァァァァァァ!」



「五月蝿い!邪魔だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」




「グワァーーーッ!」






梅花剣法 第七招式  


『霜染梅枝』





俺は一歩踏み込み、凍りついた冬の梅枝のように、素早く剣を振り相手を真っ二つに切り裂く。



冬の寒さを表した鋭い剣戟の前に妖精はなす術もなく倒れた。





「違う!こんなものじゃない。師匠の剣はもっと冷たく、鋭かった!」



師匠…拳銃の第七招式は鋭過ぎて本当に凍るのだ。そしてもっと繊細に、冷たく固い冬の剣。



もっと鍛錬しなくては。俺は泉を飲みながらそう思った。美味い!







その後、妖精は首なしの手によりアンデッドとして蘇生、念入りに洗われてから泉に戻された。


哀れ、今では意志のない蜜を汲み取るだけの作業員である。




















●第32層司令官 粛清王  ユリウスが撃破されました。

報酬として処刑確定ガチャコインがプレゼントボックスに追加されます。


●第50層司令官 魔拳闘士 マクシミリアンが撃破されました。

報酬として戦闘型ユニット確定ガチャコインがプレゼントボックスに追加されます。


●第55層司令官 魔龍賢者 ミュラーが撃破されました。

報酬としてドラゴン確定ガチャコインがプレゼントボックスに追加されます。



●第82司令官 魔人王  ヴォルガノフが撃破されました。

報酬として権力確定ガチャコインがプレゼントボックスに追加されます。


●第93層司令官 大監獄長  ジェラルドが撃破されました。

報酬として監獄確定ガチャコインがプレゼントボックスに追加されました。







――――――――――――――――――――─


●第32層司令官 粛清王 ユリウス

親ダンジョンマスター派。文字が汚いことで有名。

昔ダンジョンマスターより褒美として第1層から第29層までの魔物を殺すことを許可され、数多くの上層司令官を仲間ともに殺してきた。


第61層への攻撃命令には喜んで参加し、少数の仲間と共に暗黒魔術師狩りを楽しんでいたが側近に化けたスライムにより暗殺された。


上層司令官達にとって恐怖の象徴は去った。反乱へのハードル低下。


 



●第50層司令官 魔拳闘士 マクシミリアン


中立派。ペットはイノシシと鷹。

戦いがあれば何処へでも向かう拳闘士たち。戦いが大好き過ぎて数百年前勝手に敵対陣営のダンジョンを攻め落とし、しかしそのダンジョンはシュラハトのスパイだった。罰としてダンジョン外の勢力に対する命令なき攻撃は禁止された。


今回の中層暗黒魔術師団殲滅命令には喜んで向かった。


拠点であるキャンプにてスライムが化けた料理を食べようとしたが直感で異常に気づきテーブルをひっくり返す。唖然とする幹部を無視してつまみ食いをした幹部の腹を直感で殴り嘔吐させる。

しかし2割の仲間がスライム料理を食べ侵食されてしまった。

拳で戦う拳闘士はスライム相手に相性が悪い。

彼は生き残った仲間を逃すため殿として孤軍奮闘した。


だが仲間思いの彼は、仲間の姿をしたスライムを殺すことができず、最後は死亡。


ダンジョンマスターは最強の一角を失い、拳闘士の怒りは暗黒魔術師団とダンジョンマスターへ。



 

●第55層司令官 魔龍賢者 ミュラー

反ダンジョンマスター派の中でも穏健派に位置する老龍。最近腰痛がひどい。

第61層への遠征は望まない攻撃命令により死んでいく中層暗黒魔術師団の保護のために向かったが、対龍装備のホムンクルス2500名に奇襲され死亡。


反ダンジョンマスター派はブレーキを失った。





 

●第82層司令官 魔人王  ヴォルガノフ  

親ダンジョンマスター派筆頭 好物はアロエとミートパイ。


中層暗黒魔術師団殲滅のために軍勢を率いて向かうが、ゲリラ兵4人とスナイパー、カワウソ偵察兵による観測、アリクイ火炎放射器兵の空気操作能力による超ロングレンジ狙撃により五発の弾丸を叩き込まれ死亡。


親ダンジョンマスター派筆頭格の死亡、そしてその後の82層司令官を決める権力争いにより82層は火の海と化すだろう。



●第93層司令官 大監獄長  ジェラルド

親ダンジョンマスター派。趣味は拷問とバラの育成。

魔のダンジョンマスターに敗北したダンジョンマスターやその配下、生き残りを収監する大監獄の長。


中層暗黒魔術師団長を捕らえようと61層に向かおうとしたが、反乱を起こされて死亡。


第93層という下層エリアが陥落、大規模なレジスタンスが結成された。












  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る