キングコレクション

ショッピングモール内でGPの流通が始まったわけだが、公衆電話で料理を注文できるデリバリーサービスもGPを扱い始めた。


最初はみんなメニューを見てやべえよこれ………みたいな顔をして比較的まともそうな料理を注文していたが、アナスタシア王女殿下が少年Aに対してスライムのモツ煮を注文し食べるようにお願いしたのだ。


これに対して少年Aは顔にすごい量の汗を流しながら頷き、注文した。

届いたのはいい匂いのする鍋に、白い何かが茹でられたモツ煮。


俺たちが見守る中、少年Aがそれを一口食べ、そして驚いた顔をして次々と口の中に運ぶ。


非常に美味とのことだった。アナスタシア王女殿下と俺たちはモツ煮を注文し、モツ煮パーティとなったのだ。





そしてそれは起こった。

首無しが寿司屋や俺たちの残飯、唐揚げの骨や鍋の汁、小さな食べ残しなどから、なんと人魚と同じように『蘇りなさい』と唱えたのだ。



そうして大量のアンデッドが誕生してしまった。しかし人魚とは違ってすべて骨だけであり、肉はない、それどころか意思もない。ただの操り人形だ。


首無しは人魚の時は彼女の夢を叶えることが目的だったので、意思や記憶、人格、肉体を生前と同じように作ったとのこと。


そしてこれらは使い捨ての軍隊として生産したのだと。

このアンデッド軍団を俺にくれた。造幣局のホムンクルスがボーナスとしていくらか払っていた。


とりあえずショッピングモールの隅っこに詰めておく。怖いし、キモい。






さて。




今日のログインボーナスは『学校関連アイテム確定ガチャコイン』だった。



学校関連アイテムねえ。

やっぱり文房具とかが排出されるのかな。でも今別に欲しくないんだよなぁ。


いやもしかしたら教師や生徒などのユニットが出てくるのかもしれない。その場合はホムンクルスの教育を任せよう。


あっ、大学なんかも出てくるかもしれない。教育施設が出てきたら領土の拡張もできるからな。




よーし、少し期待できそうだ。



レッツ、ガチャ!







ガタンッ









R『二宮ダイヤモンド治郎』





二宮金治郎、本名二宮尊徳は江戸時代後期、1787年に生まれた農政家だ。

この人が何をしたかというと、天保の大飢饉により飢えに苦しむ多くの荒廃した村や町を復興させたのだ。

さらに荒れ地の開墾、藩の財政の再建などを成功させた。そんな彼をまつる二宮神社が存在する。


二宮金治郎の銅像は薪を背負いながら本を読んで歩く姿であり、この姿は「負薪読書図」と呼ばれ、報徳記に記述されている。

勝海舟と面識があり、正直な人と語っている。




そんな二宮金治郎の像が出現したのだ。学校にあるような、しかしダイヤモンドでできた、二宮金治郎の像が。


いや、そもそもこれは二宮金治郎なのか?カプセルの中の紙には二宮ダイヤモンド治郎と書いてあるし、この像にもダイヤモンド治郎と刻まれている。


金がダイヤモンドに進化しているのか、だじゃれかよ。くだらない親父ギャグだ。


そういえば、ダイヤモンドなんて初めて見たな。結構綺麗だ。加工されたダイヤモンドの多くの面がキラキラと光が反射して、美しいと感じてしまう。




ただ、一つだけ言わせてくれ。


学校にダイヤモンドの二宮金次郎像はない!






今日の無料ガチャ!







ガタンッ







R『玉座』



玉座。皇帝や王などの君主がすわる椅子。



出現したのはイベントスペースだった。イベントスペースのステージ横に設置されていた。


玉座と一緒に出現したのか、何段かの壇の上に設置されてあり、玉座までの壇上の道を赤いカーペットが敷かれている。


それは大きく豪華で、威厳があった。


金で出来た玉座には様々な装飾が施されている。鳥や獣の形をした彫刻、宝石や貴金属で作られた装飾品が飾られており、これらの装飾品は王の権力や富、高貴さを表現をしているかのようだ。


玉座には赤いクッションが設置されており、質のいい布を使っているのか長時間座っても疲れなさそうだ。


俺はクッションに触れる。ふかふかだ、手触りもいい。




システムウィンドウが展開された。



ん?



『コレクションアイテム!覇王の財宝シリーズのコンプリートを目指そう!現在の収集状況1/1000』








あのな、ガチャからは何が出るのかわからないんだよ。


1000個も集められるか、運営のクソやろう!こんなコレクションシステム設計してる暇があったらもっと他のことしとけ!








明日で俺が監禁されてから30日になる。

30日目、ゲームならログインボーナスとして何か特別な物が配布されるはずだ。


………現状を変える物が排出されることを願う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る