業績 『ガチャを引いてみよう』
『業績 「 ガチャを引いてみよう」を達成しました』
『報酬がプレゼントボックスに追加されました』
途方に暮れていると目の前にゲームのウィンドウのようなものが現れ、俺が業績とやらを達成したことが告げられた。
なんだこれ、あれだ。小説家になろうなどの異世界を舞台にした小説なんかに出てくる、ステータスウィンドウとかいうやつだ。
さて、業績とは。一体。
右上にヘルプマークがあるので押してみると、ガチャの引き方、用語一覧の項目があった。というかその二つしかなかった。用語一覧も『ガチャ』と『業績』、『プレゼントボックス』の三つしかなかった。なんだこれ、開発者ふざけてんのか。ちゃんと仕事しろ。
業績を押してみると説明が表示された。
『業績』
システム使用者が過去に達成した成果が記録されたもの。達成すると報酬が運営により与えられる。
業績一覧より達成した業績を確認できます。
運営?やはり俺は金持ちの道楽目的で監禁されたのか。その説の可能性が高まった。
まあ運営のことなんてあとから考えればいい。
業績項目から用語一覧の項目に戻る。
するとそこには、『運営』の項目が追加されていた。
『運営』
運営はこのシステム及びガチャの運営、ガチャの景品の提供、管理などを行っております。
…いや、ええ。もっと情報が欲しいんだが。というか、さっきまでこの項目なかったよな。
もしかして、俺が視認したものや単語が用語一覧に追加されるのか?
ほんと、不親切だな。
「おーーーい、あんたらさぁ、もうちょっと何かないの?映画のデスゲームでもあんたらよりも説明してるよ?」
応答はない。
しってたけどね。
さて、業績一覧。それはすぐに見つかった。というか、このシステムにはヘルプとプレゼントボックス、達成業績一覧の三つしかない。もうちょっと充実させようよ。呆れながら確認する。
『業績 ガチャを引いてみよう』
ガチャを一回引いたユーザーに与えられる業績。臆せずにガチャを回したあなたの勇気を称えます。
報酬
システムの一部開放(自動付与)
十連ガチャコイン
システムの開放。今使っているシステムのことだろうか。一部開放ということは、これから少しずつ開放していくのか?思えばゲームでも最初からすべて開放されるということはない。少しずつ、ゲームを進めることで機能が解放されていくのだ。
それよりも報酬だ。報酬。赤い箱に黄色いリボンで包まれたアイコンをタップし開くと確かにそこには『10連ガチャコイン』があった。それをタップする。
十連ガチャコインを受け取りますか?
はい いいえ
受け取るを押すと、目の前の空間が光に包まれ、どこからか光の粒子が集まっていく。光が収まるころには、青いコインがふわふわと浮いていた。
いまさらだが、なんだこれは。システムといい、今の演出といい。この技術レベルの高さは。異常だ。
だが異常といっても、俺にはこのガチャを回す以外することがないし、やるしかないのだ。
ふわふわと重力を無視して浮くコインを手に取りガチャに向き合う。するとガチャの上部、本来なら何が中に入っているのが書かれている場所にディスプレイが取り付けられていた。
あれ!?さっきまでディスプレイなんかなかったじゃん、どうなってるんだ。
本格的に訳が分からなくなった。しかし考えても意味がない。
ため息を吐きながら、コインをガチャの硬貨投入口に入れ、レバーを回す。
ガタンッ
次から次へと、ポンポンと排出口からカプセルが排出される。
ディスプレイには文字が表示されていた。
C 折り鶴
C 犬小屋
C ダルマ
C ポケットティッシュ
C ティーカップ
UC 簿記三級問題集
C 伊達メガネ
C 熱冷まシート
UC 花粉症治療薬
C みかん
う、うーん。今手に入れても、というか普段手に入れてもなんの役にもたたない物ばかりだ。
こんなもの手に入れてどうしろっていうんだ。
そう考えていると、ディスプレイの表示が変わった。
『10連ガチャを引くと、一回おまけでガチャをひくことができます。さらにR以上が確定で排出されます』
ガタンッ
R トイレ
ああああああ、トイレ来たっ。トイレだっ。
目が覚めてからずっとトイレに行きたかったんだ。俺は急いで排出された青いカプセルを開く。
そこにはトイレと書かれた紙が入っていた。
ゴンッ
音が出た方を見ると、木製の扉が先ほどまで壁だった場所に取り付けられていた。急いで扉に向かい、ドアノブを回し中に入る。
すっきりした。
中のトイレは洋式の大便器一つ。トイレットペーパー2ロール。ドアは木製。
トイレットペーパーの残りは気を付けて使っていかないといけない。
C 折り鶴
C 犬小屋
C ダルマ
C ポケットティッシュ
C ティーカップ
UC 簿記三級問題集
C 伊達メガネ
C 熱さまシート
UC 花粉症治療薬
C みかん
以上の十個はなんの役にもたたないガラクタだった。
突如告げられた通告。
最初は皆、幻聴かと考えた。しかしこの声を自分だけではなく、周りの人間、いや世界中の人間が聴いていたという事実が知れ渡る。
皆が混乱する中、国連事務総長は緊急記者会見を行った。
『先ほどの声は幻聴ではありません。すべてが嘘偽りのない事実です』
『人類はこのままでは滅亡します。これは、人類よりも上位に位置する知的生命体が導き出した結論です』
『その結果、我々指導者に人類を支配し導く資格なしと判断され、地球の支配権は剝奪されました』
『この支配権は、通告にもあった競争の勝者に与えられます』
この会見の後、アメリカ、日本、ロシア、イギリスなども同様の記者会見を行った。
そして地球上のあらゆる空に映像が映し出され、その映像には混乱する人々が映し出されていた。
それと同時にインターネットに一つのサイトが公開された。そこには、選ばれた千人の人間の情報、そして彼らの現状が動画で配信されていた。
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