第2話 俺が悪い

気が付くと俺はベッドで寝ていた。


どうやら、あの後で気を失ったようだ。


我ながら情けない。


小さい頃からいつも一緒。


いつも5人で過ごしていた。


だから、同年代の知り合いはあいつら4人だけ。


もし、4人が四職(勇者、聖女、賢者、剣聖)にならなければ...恐らくはあの3人のうちの誰かが俺の嫁だったかもしれない。


此処を出れば多分俺は幸せになれる。


だが…小さい頃から過ごした15年間の思い出が『それが嫌だ』と言っている。


さっき、ショックから頭痛が起き…前世の記憶を思い出した。


どうやら俺は転生者だったようだ。


尤もこの世界偶に転生者が生まれるからそう珍しくもない。


何か凄い知識があれば別だが、今考えた感じではもう他の転生者が伝えた後…まったく意味がない。


だが、一つ今回の追放で思った事がある。


それは『全部俺が悪い』そういう事だ。


さっき迄は、何処かで『自分は悪くない』そう思っていたが…


『全部俺が悪い』


よく考えたら…幼馴染とはいえ立場が違う。


前世の記憶を取り戻した俺にはそれがはっきりと解った。


◆◆◆


聖女は、前世で言うなら、女医みたいなものだ。


しかも、世界有数の実力がある、そう考えたら、『凄腕の女医』なのだ。これは、凄い高嶺の花だよな。


俺の前世で言うなら、医者の男と結婚する為に婚活でどれ程女性が努力するのか考えたら、今の俺が馬鹿にされるのも納得いくもんだ。


賢者は、前世で言うなら研究者みたいな物だよな。


魔王と戦うから忘れがちだが、アカデミー所属で魔法の研究職に将来はなる可能性が高い。


今は卵だが将来、教授になる事が確定しているエリートみたいな者だ。


つまり『最低でも大学教授の椅子が約束された人物』と考えられるし場合によってはその機関の長や、学院長になる可能性もある。


女で最低でも教授、もしかしたら何処かの研究所の所長、場合によっては東大か京大の学院長…スーパーエリートじゃないか?


剣聖は、今一価値は解らない。


前世では平和な世界だったからな。


だが、剣術をフェンシングと考えたら、オリンピックの金メダル確定の選手位と考えれば良いのかも知れない。 前世では剣の時代は終わってしまっていたから今一解らない。だが、時代が時代なら剣豪として、歴史に名を遺す可能性がある人物という事だ。

もし、戦国時代に生きたなら沢山の石高で召し抱えられただろう。

かっこよく言うなら『女宮本武蔵』『女柳生十兵衛』そんな所かも知れない。


勇者は、男に興味は無いし口説きたいとは思わないが、魔王討伐後は貴族、もしくは王族に連なる存在と考えたら、政治家候補生か、旧華族の人間を嫁に貰える人物。そういう事じゃ無いか? いや、領地を持った人物は前世には居ないから、それ以上かも知れない。


つまり、俺の傍に居るのは『一流の女医』に『大学教授の椅子を約束された女性』『オリンピック金メダリスト確定のアスリート女子』『政治家候補生』だ…


そう考えたら今の俺が下に見られるのは仕方が無い…当たり前の事だ。


◆◆◆


超一流の女…


そんな女を誘うのには当たり前だがルールがある。


前世で言うなら


まず、高級車 スーパーカー 外国の車なら最低 BMWかアウディ。


国産車なら、マークⅡが最低、可能ならソアラかスープラ以上に乗ること。


歩きや公共の乗り物なんてもっての他だ。


食事なら、最低でも高級イタ飯やフレンチが当たり前だ。


費用にしてランチでも2人で2万円以下は無い。


ディナーともなれば2人で7万円以上使うことは必衰。


宿はスィートルーム1泊7万円以上は確定、可能なら10万円以上。


服はDCブランドで決める。


『女を楽しませてこそ男』


俺が彼らに届かないのは当たり前だ。


幼馴染は全員、スーパーエリートなんだからな。



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