第23話 露天風呂と肉弾戦、囚われるボクら

 ハンナちゃんの頼みとあって、この村名物の露天風呂への道中、源泉へ立ち寄って、おやしろの中に不穏な物があるのを見つけつつ、見なかったことにするボク。


 お社へのお祈りのあと、村の人を先頭に、源泉から温泉施設まで階段を下りていくボクら。

 「では、ごゆるりと」と送り出されて、ぼったくりどころか案外良心的な入湯料を払って、ボクとハンナちゃんの名前を紙に書いて、服を脱いで、温泉に入る。

 温泉は、体を綺麗にしてから入るんだって。


 それで、洗いっこしてて、ハンナちゃんの感度が、いつもより良くて、いやに艶めかしくて露天風呂に入る前に一発……。

 夕陽に照らされた露天風呂の中でも、ハンナちゃんの中に出させられて……。


 ハンナちゃんのホールドが強すぎて、力ずくでも逃げるのが厳しそうだから、時間停止からの瞬間移動テレポートで脱出して、

 ボクが気を失う以上の事態にならない限り破れないバリアを張って、時間停止を解除して、お湯を流しながら温泉の成分と、この大気中の成分を魔法で解析する。


 ……やっぱり。健全な温泉にあるまじき、催淫成分とか幻覚成分とかが高濃度で入ってる……。

 軽い虫除け魔法の他に、一定濃度までの毒なら分解・無毒化できる魔法を常中してなかったら、あそこでハンナちゃんを殺してたかもなんて……!


「ロリアス?」

 !? なんで、ここでエカテリーナの声が、しかもボクの本名を……? いや、幻覚成分の影響!

 ボクらが入ってきた入口から、あの声がする。

 大丈夫、エカテリーナは、もう死んでる。

 この手でエカテリーナを死なせて、それで死にに来たんだ、最初のボクは。


 今から、ここに来るのは偽物。

 出会い頭に幻覚チェックと、万が一の目潰しを兼ねて、ただのお湯を撃って、ボクだけでも一度脱出する!

 それで、この村を滅ぼしてでも必ずハンナちゃんを取り返す!


 入口の引き戸を開けて見せた幻覚エカテリーナめがけて、有言実行そのいちぃ!

 ……って、お湯が貫通しない?! 実体持ち?!

 いや、今は逃げるが勝ち! と、お湯で少しは滑る床を利用して、スライディング脱出を図るけど、体の一部を掴まれて、阻まれる。


「ダメでしょ、ロリアス。お風呂で遊んじゃ」

 エカテリーナは、そんなこと言わない!

 エカテリーナは、マットプレイ大好きだし、お客さんから評判いいって言ってたし、なにより、ボクの脱出を阻まない!


「悪い子には、お・仕・置・き♡」

 ガワはエカテリーナ、中身は偽物!

 だから容赦しない! ボクを掴んでる片腕、いや、脚から上を消し飛ばす!


 水気を拭いて服を着て、出口のドアノブに手をかけながら、ボクはこう誓う。

 エカテリーナ、じゃない、ハンナちゃん! 今は置いてくけど、必ずキミを迎えに――



 うう……旅行先で、殺したはずの偽エカテリーナに、上の口と下の口、ダブルでいっぱい搾られた……。

 おまけに、ボクとの赤ちゃんがいっぱい欲しいなんて……エカテリーナが絶対言うはずないのに……抵抗もろくにできなくって……「おい! いつまで寝てやがる!」


 ダンダン! と床に何か強く叩きつける音で、ボクは現実に引き戻される。

 太めのこん棒を持って、自分の手に軽くペチペチしてる大柄なゴブリンが、部屋の出入り口に立っている。

 ボクは、最悪の目覚めをもたらした奴を数瞬睨みつけ、周りと同じように大人しく身支度をする。


 ハンナちゃんとの新婚旅行で村に来てから、かれこれ二週間近く。

 ボクは、この村で強制労働をさせられている。

 あるときは農作業、あるときは家畜の世話や屠殺、あるときは温泉周りの掃除、あるときは村の子どもに計算や生物や保健の、教育補助……。


 王都で囚人をやらされてたときと違って、一日を長時間労働に割くのではなく、短時間労働をたくさんやらされている。

 食事や睡眠も含めた休憩時間は一応あるけど、食事以外の娯楽が少ないのもあってか、みんな所構わず、種族や性別も問わず、セックスするから全然気が休まらない……!


 なんなら、食事ですら、たまに女体盛りが出るし……。

 当然、病人や妊婦も少なからず出て、一回、故郷で医者やってたって言って、治療とかに参加したら、まあまあ頻繁に呼ばれちゃうし……。


 この村での、村の外から来た女の子や雌の家畜の扱いから考えると……ハンナちゃんは、絶対ボクよりひどいことになってる……!

 大概のことは怖くないボクでも、恐ろしい・おぞましいと言いたくなる想像しか浮かばないレベル!

 でも、強制労働や休憩の最中、ハンナちゃんの姿を見たこと無いんだよな……。

 ああ……村のどこにいるの、村のどこで何してるの、ハンナちゃん……!

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