第18話 ダンジョンに入るヒカル

マウンテンリバーの世界にはダンジョンが存在する。ラノベでよくあるアレだ。


ダンジョンは不思議空間である。魔物はいるが、倒すと消えてしまい魔石とドロップアイテムを落とす。魔石はダンジョンからしか手に入れる事ができないので、ダンジョンに行く冒険者は多い。


(ダンジョンか〜。魔物を倒しても解体しなくていいのは楽だよな〜。魔石だけならけっこうな数持って帰れるだろうし半年ぐらいはダンジョンをメインにしてもいいな。)


「ヒカル。早く早く。早くしないと宝箱取られちゃうよ。」


(いやいやメイリさんや。俺達みたいな低ランク冒険者が宝箱とか難しいと思いますよ。泊まりでいける訳じゃないから深い所まで行ける訳じゃないし・・・)


ヒカルとメイリーンは、駆け足でダンジョンに向かった。ダンジョンの入り口にはゾロゾロと冒険者が列をなしていた。


その周りでは屋台で食べ物を売ったり、パーティーメンバーを募集したりと賑わっていた。


「すごい!人がいっぱいだよ。」


「ああ。」


(なるほどなるほど。荷物持ちとかを雇ってダンジョンに行く人もいるのか。確かに荷物が多いと戦闘も大変だもんな。)


「メイリ。ダンジョンの地図が売ってるみたいだ。念の為買っておこう。」


そう言って、ヒカルはダンジョンの1階から3階までの地図を買い、ダンジョンへと入っていった。


大勢の冒険者がいて絡まれるかも?と思ったヒカルだが、なんだかんだでエベレスで半年以上活動していたので、知ってる冒険者もいたりしたので、問題なくダンジョンに入る事ができた。


(道に迷ったら大変だからな。出られなくなったら命に関わるしこの出費はしょうがないだろ。誰も言ってはくれないけど、ここは命を大事に!だ。)


「倒したら消えちゃうのは不思議だね。」


「そうだな。でもまあ魔石を残してくれるし解体する手間を考えたらありがたいけどな。」


「でもゴブリンはやっぱりゴブリンだね。こんな腰蓑ドロップしても全然うれしくないよ。」


「たしかに。臭くて手に取りたくないし、燃やすしかないもんな。使い道のないドロップアイテムなんて嫌がらせもいいとこだな。」


ダンジョンに入ったヒカルとメイリーンは出てくる魔物を倒していた。1階に出てくる魔物はゴブリンだった。強さは森で戦った時と変わりなく、メイリーンの剣と、ダンジョン内なら火魔法を使っても周りに被害がないので、ヒカルの火魔法で一撃だった。


事前の情報通りゴブリンは死ぬと、その場で消えて行った。そしてビー玉ぐらいの小さな魔石を残した。更に一定確率でドロップアイテムを落とす。ゴブリンの場合は腰蓑だ。だが腰蓑はギルドで買い取ってもらえない。放置しておく事もできないで、ドロップアイテムを落とす度に、ヒカルの火魔法で燃やしていた。


その後もヒカルとメイリーンはダンジョンの魔物を倒しては魔石を集め、腰蓑を燃やし続けた。


「とりあえず今日の所はここまでにしようか。魔石はまだまだ袋に入りそうだけどMPがきつくなってきた。」


「わかった。MPポーション飲むのもったいないもんね。」


(ビー玉サイズの魔石ならまだまだ入るけど、ゴブリンの腰蓑は予想外だったな。あれの処理で無駄に火魔法を使わなかったらまだまだ金稼ぎできるんだけど・・・これはちょっと考えないとな。)


ダンジョンを出たヒカルとメイリーンはその足でギルドに向かい魔石を売却した。その日の稼ぎは過去一番となり、ヒカルとメイリーンは大いに喜んだ。もちろん御祝い事だ。いつものように宿の食事じゃなく、小料理屋で豪勢な食事を楽しんだのは言うまでもない。


その後もヒカルとメイリーンは毎日ダンジョンに行き続けた。毎日といっても休みなく行くわけではない。ダンジョン、ダンジョン、休み、ダンジョン、ダンジョン、休みという繰り返しだ。深い階にはいかずひたすら命を大事に作戦を続けていたため、レベルは思うように上がらなかったが、半年で、金貨50枚貯める事に成功した。


もちろん、エベレス辺境伯からもらった金貨50枚にも手を付けていないので合計金貨100枚だ。


ヒカル

レベル12


HP120 MP400

筋力 114

魔力 210

敏捷 114

耐久 114

精神 140


恩恵:異世界言語・全魔法適正・成長補正極大

適正:全属性


メイリーン

レベル12


HP60 MP150

筋力 60

魔力 80

敏捷 50

耐久 52

精神 70


適正:水・光



(レベルは思った程上がらなかったけど、ゴブリンとかコボルトばっかり倒してたからしょうがないか・・・死にたくないもんな。金貨は100枚貯まったし40枚の入学資金を払っても60枚残る。寮は食事付きで月5枚だから2人でも半年はなんとかなるな。学校に入ったら今までのように冒険者で金を稼ぐのは難しくなるだろうから王都でどうやってお金を稼ぐか考えないとな。)


(とりあえず魔法学校に入学すればアイテムボックスが使えるようになるから、それをうまく使ってなんとかするしかないな。勇者も探さないといけないしまだまだやる事はたくさんあるな。まずは早めに行って王都を見てみないと。まあ今日は100枚貯まった記念だ。オーク肉祭りだな。)


目標を達成したヒカルは、エベレスを離れる事を決めるのだった。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る