第2話 ネメシスと交渉するヒカル

「何も力を与えられないとはどう言う事でしょうか?」


「・・・プルン。説明してあげて。」


「自分で説明すればよろしいのでは?」


「何?」


「いえいえ。わかりました。え〜とヒカルさんでしたね。私はネメシス様に仕えるプルンと申します。僭越ながら私がこの状況を説明させて頂きます。」


プルンの説明を受けて、光は選ばれてここにきたのではなく、偶然ここにきたのだと告げられるのだった。


(まじか〜。いやでもそれならサポートキャラクターってかなりのハズレスキルじゃね?どうやって勇者をサポートしろと?あれか。ここは○○の村です。って村人Aをすればいいのか?そんな事してサポートの意味・・・あれ?)


「ネメシス様。ふと思ったのですが勇者のサポートって必要なんですか?勇者ならサポートなんかしなくても普通に魔王を倒すと思うんですが?」


「無理なのよ。」


「無理?どうしてですか?」


「プルン!」


「はいはい。わかりました。」


光はプルンから今の魔王は歴代最強で49回挑戦したが勝つ事ができず、次が50回目の挑戦になる事。時を戻すのに力を使い果たした為、何もできない事を聞いた。


(まじか〜⁉︎もう詰んでるじゃん。やった事あるゲームの世界とかなら知識無双できるけど、そうじゃないし・・・)


「ネメシス様?本当に力を与える事ができないんですか?一つだけとかも無理なんですか?」


「無理ね。」


「どうやっても?」


「どうやっても。」


「ラッキーさん。ネメシス様は神力が今は0なので一般人の同じようなものです。」


(何か、何かないか。考えろ俺。このままだったら異世界行っても絶望の未来しかないぞ。営業サボってネカフェで読んだラノベの知識を思い出せ!懸賞サイトで1万円のクオカードを当てた運の良さを今こそ発揮しろ!)


光は今まで生きてきた経験の中で何か良い方法がないかひたすら考えた。


そして・・・



「ネメシス様!例えば私が何かを捧げとしてその代わりに力を授けて頂く事は可能でしょうか?」


「どうだったかしら・・・プルン?」


「タブレットにある十戒はどうでしょうか?」


「十戒、十戒、ああこれね。何々〜。なるほど。たしかにこれなら君に力を授けられるわね。」


「本当ですか?」


(やったぞ。希望が見えた!ありがとうラノベの皆さん。ありがとう漫画の皆さん。ありがとうアニメの皆さん。)


「でもこれ相当きついわよ。10個の制限なんてあったら生きづらそう。」


「どういう事ですか?」


「例えばお酒を飲むな。とか、女性に触れるな。とか、毎日教会にお祈りしろ。とか、そう言うのが10個あって守る代わりに力を得るってものよ。」


「・・・」


(それやばすぎだろ!?そんな制限10個もついたら何もできないし、守れる自信もないぞ。いや待て待て制限を自分で決めれるならまだ可能性はあるぞ。影響のないモノを10個選べばいいんだ。よし!ここは10年頑張った営業で学んだ交渉力で。)


「ネメシス様。その制限は自分で設定できるのでしょうか?」


「無理よ。何が選ばれるかは完全ランダムよ。」


(終わった・・・)


「・・・」


(いや、まだ何かあるはずだ。考えろ。考えるんだ俺。頼む!ラノベのみんな。オラに知識を分けてくれ!)


「ちなみに制限を破ったらどうなるのでしょうか?」


「死ぬわ。」


(終わった。)


「ネメシス様。適当な事を言わないで下さい。確かタイプは制限タイプと指令タイプが、罰則も難易度を選べたはずですよ。」


「そっ、そんな事わかってるわよ。え〜っと・・・」


(助かった・・・のか・・・)


「説明が細かいし、プルン。あなたが説明してあげなさい。」


「わかりました。では私が説明させて頂きます。」


光はプルンから十戒について説明を受けた。


十戒は制限タイプと指令タイプの二種類があり、制限タイプは10個の制限を受ける代わりに10個の力を手に入れる事ができる。


指令タイプは10個の指令。つまりミッションだ。ミッションをクリアすると、力を手に入れる事ができる。


罰則に関しては、罰則無し、力を失う、死亡の3段階から選べる。罰則無しの場合は得られる力が少なく、死亡の場合は得られる力が大きい。リスクとリターンのバランスが取れた仕様となっていた。


制限タイプの場合は、完全ランダムで10個の制限が決まる。影響の無いモノもあれば、大きく影響するモノもある。完全に運任せのガチャみたいなものだ。


指令タイプの指令はネメシスが内容を決める。もちろん指令内容は先に公開されてお互い納得の上できまる。


得られる力に関してはある程度は使用者が決める事が出来る。だがリスクとリターンのバランスが取れていないと難しい。罰則無しを選んで鑑定の力が欲しいと言っても無理と言う訳だ。



光は説明を聞いて希望を得た。


(これなら何とかなりそうだ。指令タイプならそうそう死ぬ事はないだろし、どの道勇者が魔王を倒さないと世界は滅びるんだ。ならやるしかない。後はどれだけ有利に進めれるかだな。ハワイに行った時にアロハ1枚15ドルを12ドルにしてもらった俺の交渉力にかけるしかない。)


すーっと息を吐いた光は・・・


「罰則死亡の指令タイプでお願いします。」


とネメシスに告げるのだった。


※※※


読んで頂きありがとうございます。

評価頂けるとモチベが上がるのでうれしいです。(泣いて飛び跳ねます。)

ブログで先行公開してるので、そちらもよろしくお願いします。

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