拒絶少女[リジェクトガール]

夢の中、懐かしい感覚。耳鳴りが問いかけてきた。


「今のあなたに、望みはありますか?」


私は今まで失敗してきた。

一度は迷い、一度は失い、一度は自分を奪われて、最後には一人取り残されて。私達には大きすぎた力。それをまた手に入れるなんて。そんな勇気、私にはない。


「私には...ない」


耳鳴りは沈黙を保ったまま。ただ静寂だけが広がる。


「私はもうあんなものに頼らない。私のやりたいことは、私だけでやる」


何者かになりたい。限界がなんて無い方がいい。それでも、身に余る力は自分を滅ぼすことになる。だったら、そんな物は必要じゃない。

それに、どんなことだって自分の力で達成したほうが、充実するじゃない。


「だから...さよなら」


それだけ言って、私は意識を現実に向ける。

本当は小さい頃夢見たように、魔法が使ってみたかった。でもこれで良かったんだ。あんな風に、空は飛べない。

だから、これから何度生まれ変わったって、私は私の人生を生きる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る