第31話 風景画家に言葉は無用

オジチャン口調でしゃべるオバチャン現る

2023年02月19日(SUN)八木沼潤 活動報告

書斎の前の土地、隣家が今年3月に完成を迎える予定だ。

カシューナッツを書いていた頃は、奥まった駐車場が見え

夫婦で交代しながら散歩する家族の様子や

母校に向かう生徒の姿も、ありありと見えた。

 今は、新居の縁側が視界を封じている。立派な掃き出し窓とフローリング

堂々の完成の日は本当に近い。

 この活動報告が仮に5年後に読まれたとして、この完成間近だった日の事を

ありありと思い出すことは出来るだろうか?

 記憶に挑み、記録を試す。そんな立ち位置でここに情報を刻む。

 観察すると、屋根は未だ完成していない模様だ。

この微妙なグラデーションこそが現代建築?

そんなことはあり得ない。綺麗に整えて、完成と言って欲しい。

(足場が組まれた状態と言うことは、屋上に上がって作業するのは必然)。


 誰か住み(本当は目星が付いている)、近所付き合いも始まれば

視界封じをされた以上に、入居者が決まって良かったと思えるだろうが

今は無言の佇まいである。凪。

否、寧ろ、工事の音に、執筆を妨害される日もある。


 風景描写なんて嫌いだった。見た物を自分でしか表現出来ない

言葉を使って表す。過去に思っていたように、

それは本当に無意味な行為なのかも知れない。

 筆者は正解を見て、かなり正確に描写しているし

でも、読者には届かない描写であることの方が多い。


 なんなら、オジチャンと思っていた登場人物が

予想を裏切りオバチャンだったなんてことが最近あった。

ビューリmeets百瀬由一のことじゃない、それは基本的に間違えない。

 そう言う間違えは、読書の仕方が横着だったり

会話口調が逆の性別を連想させることがあったり

「オメエも気を付けるこったな」←男性性? 否、女性性。

「ふざけんのもたいがいにしろ」←男性性? 否、女性性。

 確実に新居は完成する。書斎からの風景が安寧でありますように。

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