深き血の村

だんぞう

#0 プロローグ

 遠い記憶。

 子供のころ、よく海で遊んだ。

 いつのまにか仲間とはぐれ、たった一人となった幼き日の俺は洞窟へと足を踏み入れる。

 洞窟の中はひどく居心地が悪く、逃げようとするのに出口が見つからない。

 ようやく外の明りを見つけて安堵するも、つかの間。

 潮が満ち、次第に水位が増してくる。

 まとわりつく水と砂に足が取られ、なかなか前へ進めない。

 やがて、すぐ背後で波が大きくはじけ……。


 いつも、そこで、目が覚める。

 鼻の奥に潮の痛い香りが微かに残る。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る