キョウテキアンラッキー

おんぷりん

強敵アンラッキーセブン

「そういうわけで、この情報は私が社長ボスに引き渡すわ」

 深夜の廃ビルにて、手に持ったUSBメモリをクルクルと回し、平然と告げる少女……コードネーム、ミス7。中学二年生にして、裏社会に名を馳せる超有名一流スパイ会社2Yroyalツーワイロイヤルのエージェントである。

 たった一人で二十人を超える敵を前に、肩をすくめてにっこり笑う。

「まあ、私が来てよかったじゃない。感謝しなさい、世界一の美少女に生で会えたんだから。それにもしこれが社長ボスだったら、情報奪われたくらいじゃ終わらないわよ。他のエージェントだったにしても、目撃者はみ~んな知能か記憶か命を奪われる運命だし」

 本人は世界一の美少女と言っているが、真っ赤な嘘だ。もはや真っ赤も越えて、完熟トマトのジュースを熟れた林檎にかけたような嘘だ。

 整った顔立ちをしてはいるし、笑う顔も「天使のよう」と修飾語がつくくらいには可愛らしいが、世界レベルには及ばないだろう。

 しかも敵を前にして、

「あなたの人生で一番の幸運ラッキーは、私と出会ったことね」

 こんなに残酷な表情ができるのだから。

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