【習作】物語の切れ端(つまりは練習作品)

ふじみ がく

物語の切れ端(つまり練習)0001

「よし。時計着けた?ティッシュにハンカチは?オッケー、 じゃあ行ってきますのハグ」

「ねえ、これ毎日やるの?」

「あたりまえでしょ、ほら早く」


ニヤニヤしている姉さんと呆れた顔をでハグをして二人そろって家を出た。


姉さんは基本いつも浮かれているけど、今日は特別ヒドイ。浮き上がりすぎて、天まで届きそうだ。どこかへ飛んでいかないように、何かに縛り付けて置くべきかもしれない。


僕が姉さんを縛り付けるのに相応しいものはないか探そうとすると、姉さんにドアの前に立つように言われた。なるほど、ドアノブに縛り付けて欲しいということか。これで後は手頃なロープを見つけるだけ。なんてことはなく、姉さんは僕の隣に並んで一枚写真を撮った。


「いい感じ、いい感じ」という呟きともにSNSを通じて両親に共有された写真には、天野と書かれた表札の隣でにっこり笑ったスカートにブレザーの女の子と、見るからに新品の制服を着てうっすら笑みを浮かべた男の子が写っていた。


何とも可愛らしい顔をした女の子の方が、僕の姉さん天野陽波で、新品の制服に見事に着られてしまったちょっと情けない男の子が僕、天野陽翔。


そして今日は僕の新しい高校生活が本格的に始まる記念すべき日だ。

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