35話 影狼衆の狼賢

「この呪いのことを忘れてんじゃないだろうな」

「わかってますって」

「ほんとかぁ……」


街中を歩く間、女アウトローはぐちぐち文句を言いながら、腕に刻まれた地図を見ていた。


「……たく」


突然、女アウトローは立ち止まる。


「お前……!!」

「どうしたんですか」


「その女は動かんぞ」と、一同の前にフードを被った男が現れた。ナトリウムが警戒の体勢を取る。


「誰だ……?」

「影狼衆頭目の1人、狼賢ろうけん。その女に幻術をかけた。今ごろは夢の中だろう。くくく、久しぶりだな、ヒルダよ」


ヒルダと呼ばれた女はなおも立ち尽くして、剣に手をかけていた。


「お前は……!! 黙れ!! 来るなら来い……」

「ヒルダさん……?」


尋常じゃない雰囲気を漂わせながら、冷汗をかくヒルダは何もないところで身をひるがえした。


シャノンが剣を抜く。


「下がって」


ヒルダも剣を抜いた。


「この!!」とヒルダが振りかぶり、剣を横になぐと同時にシャノンが剣を振ると、徒然たちの周囲の建物の壁が切断された。


「あ、あれ……」とヒルダは目を覚ますと剣を落とした。


「すまん……」

「問題ない。幻覚は晴れたか」

「ああ……」


「はははは。わしはいつでも仕掛けられる。いつでも殺せるぞ。女王からの言伝だ、命が惜しければ去れ」


そう言って、狼賢と名乗った男は消えた。

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