32話 盗人

「影狼衆……」


 ナトリウムは部屋のありさまを見渡してそうつぶやいた。


「わかるんですか」


 秋風ちえが訊く。


「蛇の道は蛇だ」

「あなたは……」

「かつて、影狼衆を裏切りアルミニウム伯の家来になった男さ」

「それって……」

「そんなことより剣、どうするんです」


 徒然とぜんは事態への対応を急ぐ。


「俺が買い求めてくる」


 部屋で待機するよう徒然たちに指示してから、ナトリウムはオーバーオールを着て下水道を上がっていった。


「よお……まさかこんなとこにいるとはな」


 ナトリウムは背後から声を掛けられて立ち止まる。かつての影狼衆の仲間の1人がにじり寄った。


「動くんじゃねえ……ずっと待ってたんだ。こいつはまたとないチャンスだ」

「殺すのか」

「黙れ。動くなと言ってる。今頃お前と一緒にいた連中も」


 かつての仲間、卑しい男は突然後頭部をしたたかに打たれたらしく、気絶してしまった。


「お前たち……」

「ここはどうやら安全じゃない。影狼衆の人間が僕たちのところに来ました。アルミニウム伯の手下どもにも伝わったらしい。じっとしていられないので一緒に行きますよ」

「剣が手に入るまでは」

「我々にも時間が無いのでね、影狼衆から取り返した方が早そうだ」

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