アンラッキー7。
Y.T
鯱狗オサム
(ちょっと息抜きでもするかな)
深夜であるにも関わらず明るいオフィス。パソコンから目を離した私はワイヤレスイヤホンを耳につけ、スマホを観る。そこには最近お気に入りのアイドルグループが映っていた。
アンラッキー
私の最推しは
早くに両親が他界し、妹と弟を大学に行かせるためにブラック企業に勤めながらアイドル活動をしているのだ。
ただ両親を養うために勤めているだけの私の方が、幾分か幸せだと思う。
私が勤める会社はブラック、なのだろう。
でも私はそれに、すがるしかない。労働時間をキッチリ守る会社よりも、給料が良いから。沢山お金が欲しいでも休みも沢山欲しい、と言う人達は贅沢だと思う。
休んだ分だけ収入は減るし、残業した分だけ収入は増える。皆んな暇そうなお金持ちに憧れを抱きすぎなのだ。そんな都合の良い世の中ならば、苦労はしない。
だから私は会社のこの現状に感謝している。会社が私の労働時間を誤魔化してくれるから、両親に美味しいものを食べさせる事が出来る。会社が沢山働かせてくれるから、たまの休みに私は贅沢をする事が出来る。
生活保護を貰って細々と生きるなんてまっぴらだ。私は働けない両親に恩返ししたいし、自由に生きたい。
それでも、疲れはする。
だから似たような境遇の鯱狗オサムくんを観て、癒やされるのだ。
アンラッキー7としての活動の他に、オサムくんはライブ配信なんかもしてくれている。毎日十七時から始まるその配信だけど、深夜一時までの八時間も配信してくれるんだから、私にとってはありがたい。こんな社畜の私でも残業中の隙間時間に視聴する事ができる。
(はあ……。オサムくん、ホント可愛い。お仕事をしながらアイドルしてるのに、疲れた顔を一切見せないし、肌も綺麗でうっとりしちゃう。アフターファイブから観てるような恵まれた人達よりも、私の方がオサムくんを、わかってあげられる……)
イヤホンの外から他の人達がキーボードを叩く音が聴こえた。
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