第2話 俺が代わりに出ます!

 

 メンバーの淳史あつしが事故を起こした……


 突然の衝撃的な知らせに一瞬、頭が真っ白になる。


 しかし気を失っている場合じゃない、俺は何よりも重要なことを聞いた。


「それで、淳史あつしさんの容態はどうなんですかっ!?」


「どうやら両脚を骨折してしまったようですが、命に別状はないようです。しかし、しばらく活動は無理ですね……」


「そ、そうですか……命に別状がなくて良かった……」


 とりあえず、最悪の事態を回避できた俺は大きく安堵のため息を漏らす。


 この報告を聞いて、和彦が俺の胸倉を掴んだ。


「良くねーよ! クソマネッ! どうすんだよっ、もうライブ始まっちまうぞ!」


 大切なライブ。

 俺が作った歌もダンスもパートが分かれていて、揃ってないと絶対に完成しない。


「そうだよ! 今回のライブは大きなチャンスなんだ!」

「これで俺たち『シャーロット』の今後が決まる!」

「何とかしろよ、クソマネ!」


 メンバーがいつものように俺を頼る。

 そうだ、俺はいつだって彼らの問題を解決してきた。

 今回も俺が何とかするんだ。


 俺は必死に考えを巡らせる……。

 淳史あつしのパートの歌もダンスも完璧に覚えている人物……それは一人しかいない。


「――俺が淳史あつしさんの代わりに出ます」


 俺の決断に場は騒然となった。


「はは……お前が? 無理に決まってる!」

淳史あつしの人気分かってんのか?」

「お前なんかに代わりが務まるはずねーだろ!」


「でも、居ないよりはマシです! それに……他に良い方法がないですよね?」


 そう言うと、彼らは押し黙った。

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