第39話 兎佳子の逆葬儀 4
「緊急回避は俺の能力でなんとかする。“疾走する
「10メートルが限界」
「連続使用は?」
「出来ない。多分、体感だけど30秒から50秒くらいはおかないと無理……って、なにも考えずに来たの!?」
「ん? ああ」
「
「まあな。でも、俺と
根拠のない自信。
「乗れ」
「手ぇ放すけど、足でしがみつけるか」
いつもの逆葬儀のときとは違う、生足が
「よっ」
——”
フリーになった手を上下に振り切ると、5メートル四方の風呂敷が現れた。
「“疾走する
「でも、この距離は届かないよ」
「連続使用してくれ」
「だから——」
「やれるようにしてやる」
「俺がどれだけお前のことをわかってるか、見せてやるよ」
ニヤリと口角を吊り上げる。
——“疾走する
「行け!」
「嘘!?」
「嘘じゃない!」
うろたえながらも
次からは方法を変えた。
「いったいどうなってるの?」
「ほんとな、すげージャンプするよな」
「そうじゃなくて、なんで連続発動出来るの?」
「俺の”
「あー……」
「さて、ここで問題なんだが、“疾走する
「やったことないよ」
「そうか」
「でも……
あのデートのときのように大人びたやわらかいまなざしで、しかし純朴な少女のように頬を赤らめて言葉が紡がれた。
「ああ」
「でも落ちたら死ぬね」
上空に10メートル。連続発動で
「
「掴めなかったら?」
「たとえ落ちても俺が絶対に死なせねえ」
「わたし一人だけ生き残っても嬉しくないよ」
「犠牲になるつもりはねえよ。あと、お前が必ず掴めよ」
「え」
「俺は風呂敷を手放せねえからな」
今まで二人で黄泉津ノ
「さあ、行くぜ」
10メートル先で、
だんだん高度が増していく。白一色の世界でもそれはわかった。
空には大きな月が輝いていた。
しかしそれを見ても
「月、綺麗だね」
そんな言葉を言う余裕すらあった。
そして月は落とされた。上昇する二人に向かって落ちてくる。
高速で上昇するムササビ対、落下する直径100メートルの月。それがお互いに一歩も譲らずぶつかり合う。今回は摩擦ゼロで滑っていくのではない。月に大きな穴が開いた。そして月が通り過ぎたあとに、二人を包んだ風呂敷はまだそこに在った。
二人はさらに上昇を続ける。
距離が一気に詰まり、ついには目の前にまで来ていた。驚愕に目を剥く
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