第19話 兎佳子の強さ 2
「お疲れ様、ローギ」
「おう」
グローブをほどきながら、タオルで汗を拭く。
コーチから
観戦者たちは
振り返ると、
「なんでだ!」
「なんでテメェはそんなにつえぇんだよ! くそっ! なのに」
「そう言えば、さっきから自分のことを強いとかコーチのことを弱いとかって、やたらと気にしてましたよね。でも、別に俺は強くないっすよ」
「ああ!? テメェなめてんのか? オレは全国大会優勝者だぞ! それを倒したんだからテメェは強いだろうが!」
「だから、強いってなんなんっすか。
そのとき
グギチッ!
鈍い音が響いた。
「ぅぁああああが! ああが!」
遅れて
まだやまぬ絶叫にも構わず、
拳を送り合うボクシングの間合いではない。相手の腕の内側で肘を振り抜いて顎を砕く、超インファイターの間合い。
クリンチで防御行動を取るのがボクサーの本来の動きだが、そのクリンチを取ろうとする間合いから肘鉄は振りかざされる。これには対応できない。当然だ。ボクシングで肘打ちは反則なのだから。こんなときどうすれば良いかと言うハウトゥーがない。
体重差を利用して無理矢理圧し掛かろうとしたところへ、ヘッドバット。距離が離れる。
フィストブレイク、肘鉄、関節技。ボクシングにはない技術を打ち込まれ、成す術もない。
「おい!」
声と共にそれは止まった。否、
「この人、ローギに暴力振るおうとしたよ?」
「
「セニヤマ! ちゃんとグローブ付けようね。指怪我しちゃうよ」
それはもうすでに起きてしまったことであるが、
「
「俺はリングの外でも強い人間になりたい。アンタは、どうかリングの外に出ないでください。そうすりゃいつまでも上手さを自慢していられる」
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