真冬の朝日

あのとき美味しかったりんご


今では味すら分からない



大好きだったお母さんの手料理


今では嫌いなのかも分からない



あのときお母さんとはぐれて迷子になった


今では自分自身が迷子 行方不明



あのとき「いい子じゃなきゃダメだ」って思った


今では私がなにか 私は誰なのか それすら分からなくなった



期待に応えたいだけだった


何も言えなくなった


どうしてこんなにも苦しいのか




「お母さん、私、音楽をやりたいの」



「             」



「私、音楽はもうやめるよ」



何かが壊れる音がした

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