ジパング伝記 太平洋戦争編

三浦淡路守

鈴木貫太郎 大日本帝国内閣総理大臣 所信表明演説より

 帝国議会議員諸君、そして国民の皆様、この度組閣の大命を賜りました鈴木貫太郎であります。

 ご承知の方も多いと存じますが、私はこの七十余年の生涯の多くを一介の帝国海軍軍人として過ごしてきたのであり、政治経験は持たない者であります。

 そのような私が内閣総理大臣大任に当たることは、少なくとも平時であればはなはだ不適格であったことでしょう。

 あるいは現在においてもそうであるかもしれません。

 

 二度目の欧州大戦の勃発と我らが盟邦の危難を救わなければならないという、この非常時において、非才魯鈍の身ではありますが、天皇陛下の信任と大統領閣下、帝国議会、国民の皆様の負託に応えるべく、生涯最後の御奉公と思い定め、身命を賭して任に当たる所存であります。

 

 我が内閣の使命は、何においても今次大戦における勝利であります。

 ナチス政権の不当な侵攻によって始められたこの戦争を一日でも早く、我々の勝利で終結せしめ、平和で自由な世界を取り戻さねばなりません。

 そのために必要な施策の第一は……


[昭和一四(一九三九)年一〇月三日 貴衆両院合同会にて]

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