第10話 エロ知識の真実

 美咲に胸の先端をいじられた俺。彼女の性知識は、友達でブラコン仲間の優希ちゃんに教えられたようだ。


これ以上美咲の行動がエスカレートしたら、止められる自信がない。

優希ちゃんが余計なことを言わないように、クギを刺したいが…。



 夕食後、美咲の部屋に戻る俺達。俺は優希ちゃんの連絡先を知らないので、美咲に訊くしかないな。


「美咲。悪いが、優希ちゃんの連絡先を教えてくれ!」


「どうして?」

当然の疑問だな。


「優希ちゃんがお前に余計なことを教えるから、さっきあんなことをしたんだろ? そうならないように、厳しく言っておきたいんだよ」


「…それなら教えない」


やはり正直に言ったのは、マズかったか…?


「優希ちゃんとHなお話をするのが楽しいのに、邪魔しないでほしいな…」


「話だけなら良いんだ。俺を実験台にしなければな」

男だろうと女だろうと、手を出すのはヤバいんだよ!


「聴いた話が本当か、確認したくなるでしょ? 身近な男の人はお兄ちゃんしかいないんだから、仕方ないよね?」


『彼氏に頼めよ』と言いかけるところだったが、思い留まることができた。

美咲は自身をと認めている。


そんな妹が、彼氏を作るとは考えにくい。言っても無駄なことは、言わないほうが良いよな。どう解釈されるかわからんし。



 「ねぇ、お兄ちゃん。さっきの言い方だと、実験台になりたくないんだよね?」


「当然だ」

俺は妹に責められたい欲求はないからな。


「でも、あの時大きくなったよね? 大きくなったってことは、実験台を受け入れたんじゃないの?」


「それは違う。確かにいじられて気持ち良かったが、心は受け入れていないぞ」

次やられたら、マジで止めると思う。


「『心と体は別』ってやつかな…」

突然、よくわからないことをつぶやく美咲。


「それも優希ちゃんの受け売りか?」


「そうだよ。優希ちゃんのお兄ちゃんが読んでたエロ本に、書いてあったんだって」


「エロ本!?」

それはまだ読んじゃダメな奴だろ。…俺もだが。


「優希ちゃんのお兄ちゃん、高卒で就職した時に家を出て、1人暮らしをしてるみたいなの。といっても遠くに住んでる訳じゃないから、フラっと帰ってくることがあるんだって」


「へぇ~」


「ある時、お兄ちゃんの部屋の押し入れに何かを入れる音を、隣の部屋の優希ちゃんが聴いたみたいなの。それを不思議に思ったみたいでね。お兄ちゃんが帰った後に押し入れをチェックしたら…」


「エロ本が入ってたってことか?」


「そうらしいよ。『何でわざわざ家に持ってきたんだろう? あたしにわざと読ませようとしてる?』とか言ってたね」


そんな訳ないだろ。多分だが、片付けるまで実家の自分の部屋の押し入れを仮置き場にしたんじゃねーの? それで、後で回収する予定だったんだろ。


…って、この話結構重要じゃないか! 優希ちゃんはエロ本により、18禁の知識を得ている。その知識は、美咲にも伝わる訳で…。



 「お兄ちゃん、何かに気付いた顔してるね。実験したいことは他にもあるの♡」


夕食は済んでいるので、後は風呂に入って寝るだけだ。

風呂以外に逃げる理由がない。…と思ったが、あるじゃないか!


「何を実験したいかは知らんが、夜更かしすると明日の学校に差し障るぜ」

真面目な美咲が、遅刻のリスクを負ってまで実験することはないはず。


「何を言ってるの? お兄ちゃん。明日は土曜日だよ」


急いでカレンダーをチェックする。…本当だ。


つまり、実験する時間はいくらでもある訳で…。俺、ピンチかも。

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