わすれないで

希藤俊

第1話 くまき

大好きだった

いつも一緒だった


嬉しいときや哀しいとき

元気なとき病気のときも


初めて会ったのは

ずいぶん前になるね


ボクを見かけたとき

ちっちゃなキミの顔は

嬉しそうに輝いていた


そのときからずっと

親友だったもの


起きているときも

寝るときもいつも一緒


ボクはねキミの笑顔が

とっても好きだったんだよ


キミはどんどん大きくなって

だんだん一緒に

遊べなくなっちゃったね


勉強もあるし

友だちとの遊びもあるし

テレビも見なくちゃならないし


忙しいんだから

しょうがないんだけどね


もうずいぶん時間がたったから

ボクはもうボロボロ

よごれて汚くなっちゃった


今は遊んではもらえない

キミの机の上の

すみっこに座っている


でもねボクはいつも見てるよ

大好きなキミのことを


だって心配なんだ

さびしそうな顔をしたり

かなしそうな顔をしてると


今はキミのことを

なぐさめてあげられないけど

いっつも応援してるよ


ボクの名前はくまき

大きなクマのぬいぐるみ


ちょっとさびしいけど

忘れちゃってもいいけど

ずっとずっと

ここに置いておいてね


汚くてボロボロだけど

キミとの楽しい想い出が

体いっぱいつまっているから


そしてそして

いつまでも  ずっと


キミだけを見ていたいから・・・・・

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