【書籍化決定】俺はこのモンスター溢れる世界をスキル『ガチャ』で生き抜く

海翔

第1話 俺にだけ見えるステータス

「う〜ん、もう少し寝かせてくれ〜」


俺はいつものようにスマホのアラームを止めようとして、眠い目を無理やり開いてスマホ画面をタップする。


「あれ? なんだこの画面。こんなゲームやったかな」


いつもなら時刻が表示されているだけの画面になぜか、見慣れぬゲームのステータス画面が表示されている。


能瀬 御門

LV1

HP10

ATK5

VIT5

INT3

AGI6


スキル『ガチャ1』


「うん? 俺の名前? LV1? こんなゲームやってないな。AGIは平均以上か、いやそれよりINT3って……」


ステータス画面を確認してみると俺の名前とレベル1の表示。そして各種ステータス。なんとなく標準5っぽいけどINTが3ってゲームでも悲しくなる。

だけどそれ以上におかしいことがある。ゲームなのに俺の本名が表示されている。大体のゲームで使う名前は自分の名前をモジって『アモン』で統一してある。俺がゲームする時に本名をフルネームで使った事は1度もない。

それにゲームにしてもスキルの欄がおかしい。

スキル『ガチャ1』ってなんだよ。

そんなスキルのゲームなんか聞いたことがない。

もちろんガチャの意味はわかるが、このRPGっぽいステータスの中でスキル『ガチャ』って違和感しかない。

『ガチャ1』と表示されているので『ガチャ』レベル1の意味だろうか。


「いや、こんなことをしてる場合じゃない!」


スマホの画面の表示に見入ってしまったが、こんなことをしている場合じゃない。学校に行く支度をしないといけない。

俺はスマホから目を離し急いで身支度をして、母親が用意してくれた朝ごはんを急いで食べる。

いつも通り父親と妹は先に出てもういない。

今日は金曜日だ。今日一日やり過ごせば、週末は好きに遊べる。


「それじゃあ、行ってきま〜す」


俺はスマホをポケットへ仕舞い込み家を出た。

電車の中で再びステータス画面を開くが、結局これがなんのゲームなのかわからない。

最初アプリなのかとも思ったが、どうも違うようで該当するアプリは見つからず、不思議な事にステータスが待ち受け画面のようになっていた。

なにかやばいウィルスでも感染したかと思い、慌ててネットで検索してみたが、今日付で何件も同様の症状の書き込みを見つけることができたが、結局これがなんなのかはよくわからないまま学校に着いた。


「よっ、おはよう。聞いてくれよ〜、なんか俺のスマホがおかしいんだけど」

「おう、御門。おかしいってどうしたんだ?」

「それが、朝起きたら待ち受け画面がこんなのになってたんだ」


そう言って俺は同じクラスの岡島にスマホ画面を見せる。


「ん? これがどうかしたのか? 普通じゃね?」

「いや、このステータス画面みたいなの普通じゃないだろ」

「ステータス? なに言ってるんだ? 朝から変な冗談か?」

「冗談とかじゃないって。これおかしいだろ」

「おいおい、大丈夫か? 普通に待ち受けだろ。俺をからかってんのか?」

「……」


話が噛み合わない。岡島の表情を見る限り冗談を言っている感じでもない。

もしかして岡島にはこのステータス画面が見えてないのか?

いや、でもネットには結構な件数書き込みがあったぞ。

いったいどういうことなんだ?

訳のわからない状況に、慌てて他のクラスメイト数人にも確認してみたが、岡島と同じような反応を示し、明らかにこのステータス画面を認識していないようだった。

なんなんだこれ。

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