【12/20発売決定】 俺はこのモンスターあふれる世界をスキル〈ガチャ〉で生き抜く ~最初に出たのは美味しいパンでした~
海翔
第1話 俺にだけ見えるステータス
「う〜ん、もう少し寝かせてくれ〜」
俺はいつものようにスマホのアラームを止めようとして、眠い目を無理やり開いてスマホ画面をタップする。
「あれ? なんだこの画面。こんなゲームやったかな」
いつもなら時刻が表示されているだけの画面になぜか、見慣れぬゲームのステータス画面が表示されている。
能瀬 御門
LV1
HP10
ATK5
VIT5
INT3
AGI6
スキル『ガチャ1』
「うん? 俺の名前? LV1? こんなゲームやってないな。AGIは平均以上か、いやそれよりINT3って……」
ステータス画面を確認してみると俺の名前とレベル1の表示。そして各種ステータス。なんとなく標準5っぽいけどINTが3ってゲームでも悲しくなる。
だけどそれ以上におかしいことがある。ゲームなのに俺の本名が表示されている。大体のゲームで使う名前は自分の名前をモジって『アモン』で統一してある。俺がゲームする時に本名をフルネームで使った事は1度もない。
それにゲームにしてもスキルの欄がおかしい。
スキル『ガチャ1』ってなんだよ。
そんなスキルのゲームなんか聞いたことがない。
もちろんガチャの意味はわかるが、このRPGっぽいステータスの中でスキル『ガチャ』って違和感しかない。
『ガチャ1』と表示されているので『ガチャ』レベル1の意味だろうか。
「いや、こんなことをしてる場合じゃない!」
スマホの画面の表示に見入ってしまったが、こんなことをしている場合じゃない。学校に行く支度をしないといけない。
俺はスマホから目を離し急いで身支度をして、母親が用意してくれた朝ごはんを急いで食べる。
いつも通り父親と妹は先に出てもういない。
今日は金曜日だ。今日一日やり過ごせば、週末は好きに遊べる。
「それじゃあ、行ってきま〜す」
俺はスマホをポケットへ仕舞い込み家を出た。
電車の中で再びステータス画面を開くが、結局これがなんのゲームなのかわからない。
最初アプリなのかとも思ったが、どうも違うようで該当するアプリは見つからず、不思議な事にステータスが待ち受け画面のようになっていた。
なにかやばいウィルスでも感染したかと思い、慌ててネットで検索してみたが、今日付で何件も同様の症状の書き込みを見つけることができたが、結局これがなんなのかはよくわからないまま学校に着いた。
「よっ、おはよう。聞いてくれよ〜、なんか俺のスマホがおかしいんだけど」
「おう、御門。おかしいってどうしたんだ?」
「それが、朝起きたら待ち受け画面がこんなのになってたんだ」
そう言って俺は同じクラスの岡島にスマホ画面を見せる。
「ん? これがどうかしたのか? 普通じゃね?」
「いや、このステータス画面みたいなの普通じゃないだろ」
「ステータス? なに言ってるんだ? 朝から変な冗談か?」
「冗談とかじゃないって。これおかしいだろ」
「おいおい、大丈夫か? 普通に待ち受けだろ。俺をからかってんのか?」
「……」
話が噛み合わない。岡島の表情を見る限り冗談を言っている感じでもない。
もしかして岡島にはこのステータス画面が見えてないのか?
いや、でもネットには結構な件数書き込みがあったぞ。
いったいどういうことなんだ?
訳のわからない状況に、慌てて他のクラスメイト数人にも確認してみたが、岡島と同じような反応を示し、明らかにこのステータス画面を認識していないようだった。
なんなんだこれ。
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