第17話 夢

夏の夜


人混みを抜けて見上げた


オレンジ色の花火


私の隣で君が


小さな声で何か言ってる


そしたら私は笑っていた




起きたら泣いていた


頬に手をやると冷たい水が


通り過ぎてこぼれ落ちる


今見た夢のように


まだ日が昇ったばかりの四時だ


正夢ならな ――なんて考えてしまう


少しがっかりしている自分がいた


ただの幻だと


そんなことは分かっていたけど


それでもいいからもう少しだけ二人でいたかった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る