第6話 桜咲く

今年もまたやってきた


暖かくて気持ちのよい風が頬をかする


それが合図


ああ 春が来たんだと感じる


今日も窓から見える あの何千という数の桜


それはとても美しくて儚いものである 


人知れず去っていき いつか忘れられ また思い出す


そしてそのたびに少し悲しくなる


その姿は私達と似ていた


別れがあって 出会いがあるように


懐かしいことが蘇り 新しいことに興味を持つように


また新しい命が生まれて すぐになくなってしまうように


咲いたかと思うと すぐに散ってしまう




あの花びらが落ちたとき


どこかの誰かの小さな生命が消える


あのつぼみが咲いたら


どこかの誰かの小さな生命が生まれる


そう思うと 桜も人も美しい


どんなに長いときがたっても


どんなに辛いことがあっても


私はまた君に出会うだろう


きっと桜は咲き誇るだろう


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