これまでのアイチョロ

 やっほ~! 私、リーシャ!

 ちょっとばかりお久しぶりってことで、これまでの話を振り返ってみるわね。

 あ、勿論

「ちゃんと覚えてますけど?」

 って人は、先に進んでもらってOK!


 こほん。


 私は、水城乃亜。

 マーメイドテイルっていう駆け出しのアイドルをしてたの。

 ある日、私はファンの一人に刺されて、気が付いたら知らないベッドで寝てた。

 見たこともない場所。

 見たこともない私……って、私、誰よ!?


 そう。私はリーシャ・エイデルっていう伯爵令嬢に転生してたんだ。

 このリーシャって子が、引き籠りだったみたいで!

 義母や義妹にいじめられて、心閉ざして部屋も閉ざしてたみたい。

 でもさ、中身、私になっちゃったじゃない?

 義妹からのいじめもなんのその、私は私がやりたいことをし始めた。


 私の元婚約者だったアルフレッドと義妹アイリーンの婚約披露パーティーで、私はすんばらしい踊りダンスを披露した。(自画自賛!)

 場を仕切るのも人の目を集めるのも、私にしたら造作もないこと。

 そしたら私、人気出ちゃって、アイリーンには懐かれるわ、アルフレッドとその兄であるランスに求婚されるわで、しっちゃかめっちゃか。挙句、私主催の舞踏会を開催してほしいって依頼まで来た。


 ……私主催の?

 んふふふ、これって絶好のチャンス!

 ってなわけで、私はこの世界に、アイドルグループを作ることにした次第! アイリーンもランスもアルフレッドも、巻き込んじゃえ! 覚悟なさい!


 最初の公演で大バズり!

 それをいいことに、私、ブティック「リベルターナ」でノアって名前のブランド出して服作ったり、下着の開発したり……こうなってくると欲しくなるのはスポンサーよ。

 ……てなわけで私、マクラーン公爵という人物に、マーメイドテイルのスポンサーになってほしいと直談判!

 私たちの舞台を見たマクラーン公爵、快諾!

 マクラーン公爵の息子ケインがアイリーンに一目惚れ!

 わぉ!

 そのまま勢いに乗せ、オーディション開催!

 ケインを含め、色とりどりの新人たちが入り、どんどん面白くなってきた!


 マクラーン公爵との縁で野外コンサートをやったの。新人たちのデビュー戦でもあったんだけど、これまた大成功!

 でも、そんな私たちを遠くから眺める『その人』には気付かなかった……。


 ある日、リベルターナのタリアに呼び出されて行ってみたら、ノアの売り上げアップのためにまたコンサートをやってほしい、ってお願いだった。タルマン公爵家で、是非に、って。タリア、最初から決まってた話みたいになってるな!?

 でもせっかくなのでその、タルマン公爵家に行ってみることにした私、そこでとんでもなく失礼な男と出会う。

 それが、野外コンサートを見ていた男、ルナウ・キディ。

 キディと名の付く人は、王家の人間なんだって!

 ん? なんでそんな人がタルマン公爵家に??


 公爵未亡人であるミズーリが、キディ家の人間だったからだっていうんだもん、びっくりよ!

 ルナウはミズーリの甥で、ミズーリの父でありルナウの祖父であるキディ公爵の命で時々こっちに来てるんだって。そんな時、偶然私たちの舞台を見た。

 そして何故か、私に言い寄ってきたのよ……。

 でも、そんなルナウを私はけちょんけちょんにしてしまい、結果、泣かせた。

 ええええ!?

 私、悪くないわよねっ??


 なんだかんだ卑屈になってるルナウを見かねたアイリーンが、ルナウを仲間メンバーにしたらどうかと言い出した。王族とか関係なしに、ルナウをルナウとして扱ってくれる場所、仲間。彼にはそれが必要だ、って。

 それとは別に、王都進出の鍵としても見逃せない、って言ったアイリーンの目の輝きは今でも忘れない。魔女みたいだったもん……。


 でも、結果的にルナウを巻き込んだことは正解だったと思う!

 だって本当に、王都で公演できることになったんだもの!


 ただ、王都から護衛のために迎えに来てくれたのが、何故か王室騎士団の皆様で、更に気になることを言われたの。

殿がお待ちですよ」


 は? ナニヲイッテルノカ、ワカラナイヨ。


 ここから私たち、どうなるのよ!?




注:リーシャの語りであるため、気恥ずかしいのかアッシュの名前が一度も出てきませんこと、お詫び申し上げます。音楽家でリーシャにベタ惚れのアッシュもちゃんといます。(作者)

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