第14話 試験

 

 前期試験がそろそろ目前に迫る。うちの学校は、前期と後期の二回の試験だ。


 35点以下で赤点となり追試験を受ける。追試験を受けたくはないので学生は必死に頑張る。


「あっくん。スマッシュシスターズやろ!」


「そんなことをやっている場合ではない!」


 ‥‥‥。


「なんだ!その何回もホバリングするロボット!ずっる!」


「っふっふっふ。甘いな、下回避がなってないぞ! あっくん」


 画面には多種多様なゲームキャラクターが乱闘騒ぎで映し出される。


 そんなこんなで、時は経ちーー高校生活初めての試験が終わる。色んな意味で本当に終わる。


 ‥‥‥結果はそこまで良くなかった。ゲームしているのはまずかった。試験前日、参考書を一夜漬けしたが当日絶望した。


 赤点、3個‥‥‥。


 あれ?やばくない?中学では赤点などのシステムはなく。点数が低かったら走らされた思い出くらいしかない。



 余談だが、外面完璧超人のはる姉よりゲームと共に生活しているふゆ姉の方が頭は良い。


 掲示板にはプライバシーもへったくれもない一位から十位までの順位が学年ごとに張られるのだが、よく同じ名字の夏樹なつき‥‥‥ふゆがあり、ドキッとする。


 おかしい‥‥‥ゲームを一緒にしていたはずのふゆ姉と同レベルではなく一歩、いや十歩も先に進んでいるのか。


「なんでふゆ姉は頭が良いの?」


「あっくん。馬鹿にしてる?」


 ふゆ姉は顎に手を置き考える素振りをする。コナンくんが事件を考える時みたいだ。漫画に影響されている。


「強いていうなら、外人のV Cボイスチャットでなに言われてるかわからないのが嫌だった。あと英語のゲームをやりたくて英単語やらDiscordやってたら覚えた」


「ふむふむ」


「国語は小説読んでたら行ける、それに何年日本人やっていると思うの?あとMMORPGのチャットでネカマかどうかの高度な心理戦をやっていたら小説の感情読み取りなんて造作もない」


 あれ、案外ゲームって良いことあるのか?


「数学は公式を覚える作業ゲー。こんなのスマホのアプリの低確率のランダムドロップ作業の百倍簡単。だってあるものを覚えるだけだもん。暗記科目は授業聞いてたら覚えた」


 全てゲーム基準なのが凄いが‥‥‥。はる姉は別にそこまで頭は悪くはないものの、ふゆ姉がずば抜けて頭が良い。


 ふゆ姉は英語、数学、国語、暗記科目は好きな範囲だととてつもなく強い。


 はる姉は、国語は強いが総合ではふゆ姉には勝てない。



 親たちはふゆ姉のゲームを辞めさせると、反対にテストの点が悪くなるのではないかと心配し親はゲームを無理やり辞めさせることができない現状でもある。



 さて、勉強するか‥‥‥。

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