第9話 妖怪とは?①

 科学では解明不可能な超自然的な存在、あるいは現象のこと。特定の場所、時間、行為と結び付けられていることが多い。民俗学では、彼らを本来の信仰や存在意義が失われた零落した神々と定義することもある。明治時代の学者井上円了は妖怪をいたずらなど任意的な原因の「偽怪」、恐怖や誤認が原因の「誤怪」、これらに当てはまらず解明できない「真怪」に分類している。

【妖怪の肉体について】

 妖怪は不可視の霊的な存在などではなく物理的な肉体を持つ "人とは異なる文化や風俗で生きる異種族" である。そのため、触れようと思えば簡単に触ることができ、銃弾も有効。



鬼火

暗い夜に浮遊する正体不明の怪しい火。各地でさまざまな名前で報告されており、九州の八代海や有明海に見られる不知火(しらぬい)、高知城下や海上にあらわれる遊び火などが知られている。

隠身

神などの人の肉眼では見えない存在。

書籍姫

東京・四谷の全勝寺の境内に関東大地震で崩壊するまで墓があった正体不明の読書好きのお姫さま。墓に耳をつけると朗読している書籍姫の声が聞こえてきたという。墓前のお堂にある本はだれでも自由に借りられたが、期限内に返却しないと毎晩書籍姫が夢にあらわれて催促するという都市伝説もあったとか。


"わたし" とは親友の間柄である。


物の怪

人に取り憑き病気にしたり命を奪ったりするとされる死霊・生霊・妖怪の類。平安時代の文献に頻出する。彼らは、平安時代より我が国の闇に潜む伝説の大妖怪、夜行さんの命令にのみ従う。

夜行さん

声質:迦陵頻伽

容姿:仙姿玉質

一人称わたくし

CV能登麻美子

解説:大晦日の夜になると、首の切れた馬に乗って、夜行さんという大妖怪がやってくるという。

清らかな心を持たず、不正や過ちばかり犯す問題のある人格の持ち主でありながら、夢を抱き、夢のために努力する人間=咎人を殺すために人里に現れる。何時頃から存在する妖怪なのかは不明だが、晩年の藤原道長を苦しめたという怨霊は彼女が操っていた。

【容姿】

能面のような顔をした無機質な美女。

最低限の呼吸音すら発さず、その顔にはいかなる表情も浮かばない。

【活動目的】

『夢のために努力する人間』に対する殺意のみで行動している。些事に構うこともなければ、清楚な外見通り、他の大妖怪のように男に溺れることもない。夜行さんとは、妖怪などという生易しい存在ではなく、夢のために努力する人間へのなのかもしれない。




夜行さんの語った仏教用語


愛染明王

愛欲や執着を悟りに変える王

阿逸多

十六羅漢の一つ

伊舎那天

十二天の一つ。

阿羅漢

悟りを得て尊敬を受ける人。

庵主あんじゅ

尼僧。

安養浄土あんにょうじょうど

仏の国。

閼伽あか 

仏に供える水。

阿含あごん

シャカの説いた教え

朝路

早朝のお勤め。朝事。

一闡提いっせんだい

仏になる素質のないこと。

因縁

仏教の根本原理の一つ。

恁麼いんも

問いかけの言葉。いかに。

有縁

仏の道に関係のあること。

有待

人の身。迷界。

閻魔

地獄の王。死者.死神の統率者。

億劫おっこう

非常に長い時間。

永遠。

開眼

仏像に目を入れ魂を迎える儀式。

渇仰かつごう

あつく信仰すること。

恪勤かくごん

怠らず勤める。

勧進

寺院の建立に寄付を集めること。

猊下げいか

高僧への敬称。

化仏けぶつ

仏がこの世に姿を表すこと

苦界

生死の苦しみを受ける人間の世界。

験者

加持祈祷をする僧。

懈慢界けまんかい

この世と浄土の中間の世界。

諡号しごう

死後、生前の行いを尊んで贈る名。

此土しど

この世。原世。

慈悲忍辱

憐れみと耐える事。

曠劫こうごう

非常に長い年月。

劫初ごうしょ

この世の始まり。


薩埵さった

命あるもの。特に人間。

所化

仏や菩薩に教化されるもの。

遷化せんげ

高僧が死ぬこと。

聖教しょうぎょう

シャカの教え

施無畏せむい

仏教で人々を救うこと。


都市伝説にて語られている日本現代怪異

(出典:日本現代怪異事典)


 猿壁十字路の幽霊

茨城県つくば市内にある一見何の変哲もない十字路に現れるという怪異。この場所では、夜になると白い服を着た女の幽霊が現れて、車の通行を邪魔するため事故が多発するのだという

並木伸一郎著『最強の都市伝説3』に載る。

 ラーメンの女

おかっぱ頭で青いジャージを着た赤い目の女という容姿をした怪異で、なぜかラーメンの丼を持っているという。またこの女と出会った少年が走って逃げたところ、女はただ歩いているだけにも関わらず少年と一定の距離を保ったままついてきたとされる。水木しげる著『妖怪目撃画談』に載る。

初出は角川書店『怪』第21号

ラッパを吹く少年

愛知県犬山市にある入鹿池にまつわる怪異。この池には真夜中にラッパを吹く少年が出現し、この少年に遭遇すると肩が重く、体がだるくなるという

不思議な世界を考える会『怪異百物語10』に載る。


 押し入れ小僧

押し入れに背を向けて座っていると人間を押し入れに引き摺り込んでしまうという怪異。

 ゲバチ

ある中学校に現れたという、灰色のスーツを着て眼鏡をかけている人間の姿をした怪異。名前の由来はゲバチという魚に似て頭部が大きく、角ばっているためとされるが、この怪異の姿は特定の人間にしか見えないという。

またこの姿を見た三人の生徒は苦手だった教科の成績が劇的に上がったが、それから一年後、ゲバチを見たのと同じ日に一人が事故で死亡し、さらにその一年後にもう一人が死亡、さらに一年後の同じ日に最後に残った一人も事故に巻き込まれ、最終的にゲバチを見た生徒全員が死亡してしまったという。学校の怪談編集委員会『学校の怪談スペシャル1』に載る。このゲバチに定められた死を回避することは不可能なようで、どんなに注意を払っていても、家に横倒しになったクレーン車が激突する、校舎にヘリコプターが墜落するなどの予想外の事故によって死亡すると語られている。

 太古の動物

話を聞いた人間の元に現れるという。その話は以下の通り。遥か昔、地球上にとても奇妙な姿をした動物がいた。この動物の種族はその姿を嫌った人間の祖先により皆殺しにされてしまった。そしてその太古の動物の最後の一匹は、死ぬ間際に「絶対に呪ってやる」と言い残したという。そして、これは現代の暦で言えば二月一四日のことでありこの話を聞いた人間は二月一四日の夜に夢に現れたこの動物により、何かとてつもない恐怖を味わわされるという。また、それが原因で精神に異常をきたしてしまう者もいるとされている。

 くろづめ

ある学校に八月二八日に出現するという怪異で、これに話しかけられて振り向いたり答えたりしてしまうと殺されてしまう。そのため話しかけられたときは走って逃げなければならないという。

 黒い女

東京都のある小学校の七不思議の七番目を知ると、黒い帽子、黒い服の長髪の女性の姿をした怪異が殺しに来るという。マイバースデイ編集部編『心霊体験大百科』に載る。著者命名。七不思議をすべて知ると現れるのか、それとも七番目の不思議が固定されていてそれを知ると現れるのかは不明。

【た】

ターボババア

高速道路に出現し、走る車を四つん這いで追いかけてきて、追いつくと横にピッタリとついて並走するという老婆の怪異。その背中には「ターボ」と書かれた紙が貼ってあるという。

この話は学校の怪談編集委員会編『学校の怪談大事典』に載る。また渡辺節子他編著『夢で田中にふりむくな』には「ターボばあちゃん」という名前でほぼ同様の話が載るが、舞台は兵庫県の六甲山となっている。また同書には「着物の老人」という名前で、福岡県の出現したという四つん這いで車を追ってくる老婆の怪異が載っている。この老婆は灰色の着物を着ており、ものすごい速さで車を追いかけ、追いつくとその後ろのガラスに飛びついて車をスピンさせて事故を引き起こしたとされる。

他に山口敏太郎著『日本の現代妖怪図鑑』には、これが進化するとハイパーババアになるという話が載る。

ハイパーババア

ターボババアが進化し、さらなるパワーとスピードを手に入れた老婆の怪異

山口敏太郎著『日本の現代妖怪図鑑』に載る。

 タイコばばあ

太鼓の音と共に現れる白髪で大きな籠を背負った老婆の怪異で、これに捕まると河童のところに連れていかれ、河童の餌にされてしまう。

松谷みよ子著『現代民話考1』に載る。一九四二、三年頃の飛騨、つまり岐阜県において現れたという。またこの話中では河童は「ガオロ」と呼ばれている。

竹竹さん

ある学校の保健室に近いトイレに現れるという怪異で、そのトイレの一番奥の個室の前で三回回って二〇回ノックし、「竹竹さーん」と呼ぶと「なあに」と不気味な声が返ってくるという。

常光徹著『みんなの学校の怪談 赤本』に埼玉県からの投稿として載る。

抱きついてくる老婆

あるトンネルに現れたという老婆の怪異。夜中に通るとそこから出られなくなるトンネルがあり、その中を車で走っていると、上の方から何かが落ちてきた。上を見てもなにもないのでそのまま走っていると、突然車体の前方に老婆が抱きついてきて前が全く見えなくなってしまったという。

不思議な世界を考える会『怪異百物語8』に載る。

【て】

低級霊

心霊にまつわる怪異。死後もこの世に留まり、人間に対し悪事を働く霊魂のこと。

人の霊の他に動物霊を指すことも多い。

 一般的に知られる低級霊という存在を説明すると先のようなものになるが、元々は心霊主義で使われていた言葉のようで、その場合は天狗や妖精などの低級な自然霊も指すようだ。

デカチャリ

一九八〇年に千葉県船橋市に出現したという怪異で、全高2メートル近い巨大な自転車に乗り、小学生を追いかけ回していたとされる怪人

山口敏太郎著『ホントにあった呪いの都市伝説』などに載る

【と】

トイレ小僧

兵庫県神戸市西須磨小学校に一九四五年頃現れたという怪異。便所に住み着き、悪い子どもの尻を下からペロリと舐めたという。

 松谷みよ子著【現代民話考7】に載る


動物霊

心霊にまつわる怪異。その名の通り人間以外の動物の霊のこと。人間に取り憑き害を与えるといった話や、可愛がっていたペットの霊が死後会いに来る、といった話が多い。

 現代では一般的に使われる言葉だが、元々は心霊主義で使用されていた用語だと思われる。通俗的に使われる場合も、心霊主義用語として使われる場合の低級霊として扱われていることが多い。


東京ビッグマウス

体長三〇~四〇センチある巨大なネズミで、主に東京都渋谷区の渋谷駅付近に出没する。普段は餌にされるはずのカラスを襲うなどの行動が目撃されているというが、巨大化した原因は不明である。

並木伸一郎著『最強の都市伝説2』に載る。


花子さんのハンカチ

山形県のある小学校に伝わる怪異。この学校では、トイレに入っていると「赤いハンカチと青いハンカチ、どっちがいい?」と花子さんが訪ねてくる声が聞こえることがある。このとき白と答えるとトイレットペーパーが伸びてきて全身に巻き付き、赤と答えると真っ赤な水が流れるという。花子さん研究会編『帰ってきたトイレの花子さん』に載る。

パンドロ

明確なことは伝わっていないが「パンドロ!」と言うと追いかけてきてパンツを奪う怪異であるという。

不思議な世界を考える会編『怪異百物語3』に載る。名前は「パンツ泥棒」が略されたものと思われる。

小さいおじさん

文字通り体が異様に小さい中年男性の姿をした怪異。身長は八センチから二〇センチほどで姿はさまざま。

小さいおっさんと呼ばれることも多い。

二◯◯◯年代初頭に芸能人の間でかたられはじめ、ブームとなった。小人が存在するという都市伝説や学校の怪談は古くから存在するため「小さいおじさん」という名前で呼ばれ始めたのはいつ頃からなのか定かではない。

 侍トンネル

神奈川県鎌倉市の山奥にある、今は使われていないトンネルにまつわる怪異。このトンネルの中にはなぜか侍の絵が描かれており、その絵を見るためにトンネルに入ってた人間はトンネルから出てきた際に倒れてしまうという。その体には刃で切られたような傷跡が数多生じており、人がこのトンネルを通り抜けるたびに侍の絵に色がついていくという。

不思議な世界を考える会編『怪異百物語10』に載る。

 くびなしきこり

ある教室のドアの前に現れるという怪異で、教室のドアを開けた人間の首を切り落としてしまうという。

愛知県からの投稿として、常光徹著『学校の怪談7』に載る。

 切り子さん

ある学校に現れるという怪異で、その学校の四階の二番目のトイレの前に行き、「切り子さーん」と呼ぶと、そのトイレに住んでいる切り子さんが現れて首を切断されるという。

常光徹著『学校の怪談D』に、新潟県からの投稿として載る。

 おふろ坊主

上半身が人間、下半身がロボットという姿の怪異で、夜の八時頃に風呂場に出現し、お湯をかけてくるという

常光徹著『学校の怪談8』に載る。

 ヒラノ

隙間から出現するという怪異。あらゆる隙間から人間を覗き、襲いかかって人間を殺してしまうという。TBSのテレビ番組USO!?ジャパンの公式ホームページの掲示板に二〇〇一年六月二日に書き込まれた怪異。

 魔女カトリーヌ

ある特定の魔方陣を描くと降臨する魔女とされる怪異。召喚すると富と名誉を与えてくれるが、その召喚者が死亡した場合その富と名誉によって培われたものをすべて回収し消えるという。そしてこれは人の人名も回収、つまり召喚したはよいがそのまま魔女によって殺害される可能性を持っているということで、これを阻止するためには魔女の欲求通りに生け贄を捧げるしかない。

 インターネット上の「都市伝説まとめwiki」でのみ存在が確認された怪異。

名前の由来は不明だが、歴史上で魔女と呼ばれた「カトリーヌ・モーヴォワザン」という人物がいる。通称「ラ・ヴォワザン」と呼ばれた彼女は十七世紀フランスの黒魔術師で、毒薬の製造や販売に関わり、それらは数々の毒殺事件の原因となった。また彼女は黒ミサ(神に反発し、悪魔を崇拝する儀式)にも精通しており、毒殺事件のために火刑に処せられた際には最後まで神への謝罪を行わなかったという。

パクパク

千葉県のある学校に伝わる怪異で、四時四四分に給食室に現れ、おいしいものをたくさん食べさせてくれるが、その目的は子どもを太らせて食べるためなのだという。常光徹著『学校の怪談9』に、千葉県からの投稿として載る。午前・午後のどちらの四時四四分に現れるのかは不明。『ヘンゼルとグレーテル』の魔女のような怪異である。

 ヌシ

ある中学校に伝えられる怪異で、学校の屋上から転落しそうになった人間を助けたり、侵入した泥棒の体に糸を巻き付けて捕まえたり、といったことを行い、生徒たちに慕われていた。その正体は足の長さが一メートル以上もある巨大な黒蜘蛛だったという。常光徹著『学校の怪談B』に載る。

みどりガッパ

緑色の肌をしており、豊かな乳房をゆらしながら現れるという妖美な河童族の美女の姿をした怪異で、夕方「河童のお姉さんと遊びましょ♪」と男性に声をかけてくることがある。これに「うん」と答えてしまうとどこかに連れていかれて強姦されてしまい、逆に否定の返事をするとその場で殺されてしまう。それ以外にも少しでも返事をすると逃げられなくなってしまうため、彼女が出たらいなくなるまでずっと黙っているとよいという。マイバースデイ編集部編『わたしのまわりの体験現象1000』に載る。

ねずみばばあ

ある保育園に現れたという怪異で、世界中の鼠を集め、巨大化させることができるという。

学校の怪談編集委員会編『学校の怪談16』に、岩手県水沢市(現奥州市水沢区)からの投稿として載る老婆の怪。

ねし

ある学校に出現するという怪異で、人間の肉や骨を食うという。

マイバースデイ編集部編『学校の恐怖伝説』に載る。


ともみ

チェーンメールにて出現した怪異の一種。

学校のプールで溺死した少女の霊のようで、死んだ後もその苦しみを味わい続けているらしく、助けを求めてメールを送っているらしい。また助ける方法がわからない場合は一定の人数にメールを回さなければならないが、そうしなければ午前二時にともみから電話がかかってくるという。

午前二時に電話が来てどうなるのかは不明。

とんぼの間

群馬県にある山の家という合宿施設にある部屋の名前。この部屋では夜、子牛ほどもある巨大なカマキリが人の腕を食ったり、大蛇が現れたり、枕の中から虫のような小さな声で「助けて」という声が聞こえたりするのだという。これは、この施設を建設した際に犠牲になった虫たちの仕業ではないかと伝えられている。

常光徹著『学校の怪談3』に載る。

ドラキュラの牙

ある学校の奥から二番目のトイレに現れるという怪異で、そこにはドラキュラの牙が置いてあり、その牙に触ってしまうとトイレから出られなくなってしまうという。飯島古晴著『子供の民俗学』に載る。


トーテムポールの怪

石川県のある学校に伝わる怪異。この学校の西側、校舎と塀とに挟まれた狭い場所に、かつて卒業生たちによって作成されたトーテムポールがあった。このトーテムポールに願い事をすると叶えてくれるが、他人の不幸を願うとそれを願った人間にも害があったとされる。また、トーテムポールの重なった顔の中から、目から血を流した顔を見つけると、三日以内に不幸になるという話も伝わっている。しかし、少年たちがこの粗末にある買われるトーテムポールをきれいに掃除したところ、このトーテムポールから邪気は消えたという。花子さん研究会編『トイレの花子さん3』に載る。他にも実業之日本社『怪談&都市伝説DX』には、ある小学校の七不思議として、校門近くのトーテムポールが馬鹿笑いしており、これを見た生徒がトーテムポールに怒られたと言う話が載る。また同著者の『幽霊&都市伝説DX』にはz卒業生が作ったトーテムポールが午前四時になると笑い出すという怪が載る。


時計泥棒

兵庫県姫路市にかつて存在した旧制姫路高校にまつわる怪異。この旧制学校には白陵寮という寮があった。ある時間、寄生たちが授業に出るために寮を開けている隙に泥棒が入り、そしてただ時計ばかりを盗まれるという事件が発生した。

そのため生徒たちが自警団を作り見回りをしていたところ、ある日その時計泥棒が現れた。そのため自警団たちがそれを追いかけていると泥棒が便居に逃げ込んだため、寮生たちは戸を開けようとするが内側から押さえ付けているのか開かない。そのため道具などを持ち出してやっとのことで戸をこじ開け、寮生たちがトイレの中を覗くと、そこには首を吊って死んでいる泥棒の姿があった。しかもその体からは無数にコチ、コチと時計が時を刻む音が聞こえてくる。寮生たちが恐る恐るその上着を脱がせてみると、その男の両腕には肩の付け根までびっしりと時計が巻き付いていた。それからシンと静まった夜更けにその便所に入ると、時計がコチ、コチと時を刻む音が必ず聞こえるようになったという。

どっぺちゃん

一九九五年一◯月のこと、ある小学5年生の少女が学校の中の2ヶ所で同時に目撃された。それから数日後、少女がそのことを友人に話すと、それは「どっぺちゃん」という怪異で本人がどっぺちゃんと出会っていたら死ぬところだったという。

水木しげる著『妖怪目撃画談』に載る。

名前:わたし

一人称:わたし

原典:都市伝説

二人称:あなた

種族:怪異

口調:雪りんご世界の例に漏れず非常に幼く可愛らしい。

CV不詳

好きな物:みんながすき

【備考】ひだりの へやから わたしの あたまが きてるよ  うしろ  みないでね

【解説】

人工物・自然物問わず高い場所に腰掛け玉を転がすような声で本を朗読している人外の少女。


【容姿】

浮世離れした美貌。雪を欺く肌をしている。

【彼女の朗読を聞いたら】

・醜悪奸邪な者

特に無反応。

・善性の強い天衣無縫な者

『上手だね』って褒める


嫌いなもの:わたしをひとりぼっちにしたこの世界

【体質】

鏡に姿が映らない。

身体をバラバラにできる(?)

【解説】

迦陵頻伽の声で本を朗読する黒服の可憐な女の子

雪のように白い肌をしている

非常に女の子らしい綺麗な口調で話す

モデルさん並みに背が高い。

優しくて人懐っこい性格で誰に対しても極めて婉娩聴従に振る舞う。

【異性に関して】

女の子に好意的な態度を取る男の子であれば、誰であろうとお婿さんにしたがる

寂しがり屋で引っ込み思案。靉靆たる夜ノ世界を独りぼっちで生きることを苦しみ、にんげんさんとおともだちになることを望んでいる。とても慈悲深く、怪我をしたにんげんさんの痛みを食べてくれたり、心の清らかなにんげんさんに "祝福" をくれる。

【容姿】

【その正体】

我々が住んでいる世界は世界であるために果たすべき最小単位を放棄し、孤独に苦しむ少女たちを造ってしまった。その大罪を罰する為に生まれた存在

怪異としての伝承

出身地:日本・京都

【この世界への意志】

思想そのものは善良な少女故に誰かを傷つける邪悪なる言魂が跋扈し、誰かをひとりぼっちにしてしまう冷たい世界を憎んでおり、いずれは全て壊そうとしている。

【戦闘能力】

普段は穏やかな感情で封じているが、秘められた力を開放すれば五條悟でも、敵わない。

【備考】

同名の怪異が登場する廃墟の壁に関する有名な都市伝説との具体的な関係は不明。


なお、書籍姫と仲が良いらしい。


わたし

インターネット上に語られる怪異。ある小学生が友人とともに廃墟に肝試しに行った際のこと、その二階の扉の前に「わたしは このさき へやに いるよ」と書かれているのを見つけた。しかし昼間であったこともあり気にせずそのまま進んでいくと、今度は分かれ道の突き当り、壁に「わたしは ひだりに いるよ」と記されていた。そこで友人とともに彼が左に進むと今度は「あたまはひだり からだは みぎ」とある。その時点で友人は半狂乱になって逃げ出したが、もうひとりはその先に何があるか確かめるべく、右の部屋に向かって進んだ。すると突き当りの壁に「わたしのからだはこのしたにいるよ」と書いてあり、さらに下を見ると、「ひだりの へやから わたしのあたまがきてるよ うしろにないでね」という言葉が。

 彼はついに恐ろしくなり、窓から飛び降りて逃げ、それ以降その廃墟には近づかなくなったという。

 主にインターネット上で語られる怪異で、コピペとして電子掲示板などで流布されいるものが見える。また怪談のタイトルとしては「廃墟で肝試し」という名前が使われていることが多い。二〇〇一年にはすでに語られていたようだが、恐らく初出はさらに遡ることが可能と思われる。

 このままでも十分に怖い怪談であるが、さらにこの話には隠された意味があるとされる場合がある。元のコピペではこの廃墟の中には何者かによってひらがなによる文章が何カ所にも記されており、必ずかぎかっこの後には「と書いてあった」という文章が使われている。

 しかし最後の「ひだりの へやから わたしの あたまが きてるよ うしろ みないでね」という文章にだけはその言葉がなく、この台詞は下を見た際に頭のない体が言葉を発しているという解釈が成り立つようになっている。そのため、意味がわかると怖い話の一つとして扱われることも多い。

イケモ様

ある池を守る幼い神様とされる怪異。「あきよへほ、あきよへほ」「きよへ」などの言葉を発する。幼いが故に常に寂しさに苛まれる神であったことから、かつては池を守ってもらう代わりに里から子供を生贄として捧げていたが、時代が下りその習慣が失われたため、自ら里へ下りて子どもを攫うようになったという。また連れてきた子どもは逃げられないように足の筋を切り、ずっと側に置くのだと伝えられる。

イサルキ

 兵庫県のある小学校に出現したという怪異。善神真っ黒な人間といった姿をしている。

狼男

狼男の伝説は日本各地のあらゆる文化圏にたくさんあり、狼男はしばしばベルセルクと同一視された。ただし、同じ象徴体系だったわけではない。

実際、このオーディンの祭司戦士は、亡霊ではなく経験豊富な戦士で、戦闘中の血気さやどちらかというと狂暴さで狼と比べられた。

 狼男はむしろヨール祭の時にこの世に戻ってくる死者の世界に属している。また正義や名誉がもう帰ってこないので、自分たちの境遇を受け入れようとしない死者と混同されている。長い冬の月の間、生者の畑や家に出没するドヴラグは、もっぱら深夜に現れるこうした死者から作られている。したがって、狼男の出現は、死者の王国にいまだ入れない人々の霊と関係している点で、宗教の次元では、北欧・ゲルマンの信仰を反映している。


ヨルムンガンド


神々によって深淵の海に投げ込まれたヨルムンガンド。彼はやがて大地を囲むほどに成長し、雷神トールの宿敵となった。


・大地を呑む大蛇


大蛇ヨルムンガンドは、悪神ロキが女巨人アングルボザとの間にもうけた3兄妹の1人である。神々に害をなすと考えられ、生まれてすぐに海に投げ込まれたが死なず、海の中で成長を続けたのだという。最終的には人間の世界ミズガルズを含む大陸を一回りして自分の尾を咥えるほどに成長したため、ミズガルズ蛇とも呼ばれていた。

 ヨルムンガンドについて特筆すべきなのは、雷神トールとの因縁である。

それらの記述は「詩のエッダ」の巫女の予言や「ヒュミルの歌」でも語られているが、ここではより内容のまとまった『スノッリのエッダ』の記述を紹介しよう。

 かつて巨人ウートガルザ・ロキを訪問したトールは、幻術によってヨルムンガンドを大きな灰色の猫と思い込まされた。彼はウートガルザ・ロキとの勝負の一環としてこの猫を持ち上げようとするが、実際には世界規模の大蛇を持ち上げきれるはずもない。トールの目に映ったのは、かろうじて片足を持ち上げた猫だった。後にこのカラクリを聞かされたトールは、恥をかかされたと思いヨルムンガンドを釣り上げるために巨人ヒュミルを訪れるのである。トールはここで見事にヨルムンガンドを釣り上げるが、怯えたヒュミルによって釣り糸を切られたために止めを刺すことはできなかった。

最終戦争ラグナロクにおいて、ヨルムンガンドは強大である巨狼フェンリルと共に神々の世界に押し寄せた。その際、地上は彼の起こす大津波に洗われ、空と大地は彼の吐く毒に覆われたのだという。



ヴァルグ

「安らぎを奪われた狼」。ゲルマン社会では、追放された者はこのように呼ばれ、社会の埓外で生きなければならなかった。誰かに処罰されることはなかったが、合法的に抹殺される危険にさらされたのである。


参考書籍

難読漢字選び辞典

幻想用語辞典

日本現代怪異事典

図解北欧神話

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