第4話 吸血鬼とは?①
吸血鬼とは?
【世界が世界であるために】
ドワーフ。
ホビット。
ヒト。
オーク。
コボルト。
ゴブリン。
ライカンスロープ。
デーモン。
蒼穹を羽ばたくワイバーン。
大地を踏み鳴らすベヒモス。
大海を泳ぐリヴァイアサン。
禽獣草木。
生きとし生ける者。
この世界は数多の生命に満ち溢れている。
女神さえも目を覆う程、醜悪なる生命に。
優しさも愛も涙も生まれながらにして欠如された生命共は、奪い、奪われ、憎み憎まれ、殺し殺される関係しか識らぬ。
ワイバーンやベヒモスやリヴァイアサンはヒトを喰らい尽くし、ヒトは野獣を喰らい、野獣は同胞同士で奪い合う。
愛の反対が無関心ならば、憎しみの反対は何であろうか?
その問いの答えを出す者は未だ嘗ていない。
だが、此れだけは揺るがない。
女神が創り給うた世界が永遠の楽園であるためには、他者に関心を抱かぬ愚者は一匹の例外も
一瞬の慈悲も赦されず、滅ばねばならない。
【概要】
吸血鬼とは何者であるのか? 簡単に説明すれば、嘗て、生きとし生ける者を愛していたが、とある悲劇によって、生きとし生ける者達にとって不倶戴天の敵へと堕落しながら、
故に総てが灰燼に帰すことを是とする闇の存在である。
【吸血鬼達の精神】
傲岸不遜にして驕慢。倨傲にして慇懃無礼。優雅にして破壊的。己を除く森羅万象を拒み、弄び、そして、愛している。
家畜として性奴隷として。
敵として伴侶として。
【吸血】
血液とは生命の象徴である。生命とは傷つけ合う野卑な存在である。然し、それ故に血液の味は極めて甘美であり、血液は美しい深紅色の輝きに満ちている。吸血鬼は、この世界において唯一無二であり、生命を敵対者と認識し、先天的に生命の血を欲する吸血衝動が先天的に備わっている。
【真相】
世界が楽園であるためには、現在世界を支配している生命はいてはならない。生きるためならば他者を簡単に殺すためだ。
真祖とは、己自身ごと生命を滅ぼそうとする世界の意志によって生み出された存在で、世界そのものであるため、世界を変える能力を持たない人間や吸血鬼が殺すことは不可能。他者に関心を抱かず、何処迄も利己的な生命を敵対者と認識している。真祖は、醜悪なる生命が犯した大罪さえも癒そうとする愛と慈悲の化身たる光のモノ達とも敵対しており、極一部の良識派を除けば、超越者にさえも冷酷である。超越者に歯向かう者共を赦さない人狼族とは敵対しており、互いに多くの犠牲を出しながら、幾度となく戦争を繰り広げてきた。
【死徒】
真祖たちが生み出した奴隷階級に当たる種族。
早い話、眷属である。
あるときは性奴隷として
またあるときは吸血衝動を満たすための非常食として健気に主につくす。
真祖と異なり、太陽光を浴びれば一瞬で死んでしまう。ニンニク、野薔薇の蔦、十字架、聖餅、護符、十字架にも非常に弱い等弱点だらけの種族であり、超越者でも何でもない人間の幼児にすら条件を満たせば簡単に敗北してしまう。強大な魔力を生まれながらにして得ている鬼族や天狗族といった強敵との相性は最悪であるためか、我が国においては真祖自らが相手と対峙することが多い。
我が国の死徒も人間の生き血を主食としているが、真祖が手に入れた生き血を分けてもらえる上に、日本がより凶暴・強大な怪異が群雄割拠する危険地帯である以上、目立って活動することは難しい。よって死徒は人間の前には滅多に出てこないので表向き日本には吸血鬼伝説は無い。
※かの『ゲゲゲの鬼太郎』の作者 水木し○る氏や『化物語』に吸血鬼を登場させている西尾○新氏にさえ日本に死徒と呼ばれる吸血鬼がいる事実を知られていない。
【人狼族との関係】
上述ように険悪の一言に尽きる。
ドラゴン
悪しき魑魅魍魎、この世ならざる者共の頂点に立つ種族。
西洋のドラゴンと東洋の竜、どちらも同じように見えるかもしれませんが、大きく違います。
最大の差は、ドラゴンは邪悪な敵ですが、竜は神だということです。つまり、ドラゴンを退治するのは良いことです。けれど、竜を退治するのは、正当な理由がなければいけません。
元は、どちらも自然の豊穣神だったのですが、西洋ではキリスト教のおかげで、それ以外の神がすべて悪魔か怪物に貶められてしまいました。
【ドラゴンの足の数】
ドラゴンとは、ギリシャ語のドラコン(蛇を含む大型水棲獣)から来た言葉です。このため、最初のドラゴンには足がありませんでした。翼もありません。神話に登場するドラゴン蛇の怪物として描かれることが多いのです。その後、トカゲのような怪物へと姿が変わっていき、足が4本になり、翼が生えます。そして、これがドラゴンの代表的な姿となります。中世になると、ワイヴァーンのように足が二本のドラゴンも現れました。ですから、世界中には様々な姿、形をしたドラゴンの伝説があります。一般には4本足で羽根のあるドラゴンが最強で、羽根がなかったり足が足りなかったりするドラゴンは、少々ランクは落ちるとされます。
ただし、東洋の竜の場合は違います。東洋の竜のランクは、爪の数で決まります。爪が5本のものを五爪の竜といい、皇帝のみが意匠として使える最高ランクの竜とされます。
【吸血種の王にして魔族の王こそ吸血竜クエレブレ】
この世の運命を司る因果律はすべての命が幸福に生きる為に存在しています。しかし、何者かによって因果律を歪められた不幸を運命づけられた者は己を奈落へと追いやった森羅万象への憎しみから恐ろしい魔物となってしまいます
それが、闇の血族……即ち吸血鬼です。
そして、闇属性のドラゴンである吸血竜クエレブレと吸血鬼は同じ吸血種に属しており、属性も同じで、吸血種の頂点に立っているという共通点まであります。
吸血ドラゴン(スペイン)
昔からスペインにすみついている吸血ドラゴンは「クエレブレ」ともよばれて、ひどく恐れられている。
ふつうは、暗い森の中や洞くつにすみ、ものすごく深い地底の湖のところに巣をつくっているが、はらがへると出てきて、人間や家畜を襲い始める。しかし、ぜったいに肉は食べず、生き血だけしか吸わないという。
たいじしようとしても、うろこがかたくてピストルのたまもとおらないので、殺すこともできない。そして、獲物がないと墓場の死体をあらして、死人の血だけを吸いとってあるくという。
また、この吸血ドラゴンは年をとると、スペインから飛びさって北極の氷山にすみつき、世界中から財宝をたくさん集めて、いつまでも見はっているという。
※吸血竜クエレブレはドラゴンの一種です。クエレブレ以外にも多種多様なドラゴンがいます。 そのドラゴンの詳細な種類をご覧ください。
ドラゴンのうち代表的なもの
羽根・手足両方なし
ヒドラ
ラドン
ペルセウスの倒した海の怪物
ピュトン
カドモスの倒した大蛇
イルルヤンカシュ(ヒッタイト神話)
八岐大蛇(日本神話)
ヨルムンガンド(エッダ)
手足無し・翼あり
ケツアルコアトル(アステカ神話)
ニーズへグ(古エッダ)
2本足・翼ありのドラゴン
ワイバーン
邪悪な飛竜。英国の伝承にも登場し、武勇の象徴として紋章に使われることも多かった。傷ついた少女の精神世界にある "沼" と呼ばれる場所に生息している。一体の翼と二本の足、尖った尾を持つ。古くは毒蛇を意味する『ワイバー』と呼ばれていた。
特殊な分類のドラゴン
ティアマト(エヌマ・エリシュ)
ナーガ(インド神話)
※ティアマトもナーガも、上半身が人間(つまり腕が2本)で下半身が蛇
4本足・翼なしのドラゴン
ファヴニル(ヴァルスンガ・サガ)
イツァムナー(マヤ神話)
竜(中国神話・日本神話)
6本足・翼なしのドラゴン
タラスク(黄金伝説)
吸血鬼の特徴
感染:ヴァンパイアに噛まれて死んだ者はヴァンパイアになる。実は、ギリシャの吸血鬼ヴリコラカスなどの特徴で、ヴァンパイア本来の特徴ではない。けれど、物語に使うと面白くなるので、多くの創作で取り入れられている。
青白い肌:死者なので、血の気の少ない青白い肌をしている。伝承のヴァンパイアは血を吸って赤黒い肌だが、バイロン卿の顔色が悪かったのが原因でこうなった。
鏡:ヴァンパイアは鏡に映らない。これは、あまり一般的な特徴ではない。しかし、映像的に見栄えがするので、映画で採用されて有名になった。
霧になる:霧のような形態になって、わずかな隙間からでも部屋に侵入する。元々は、地面に埋められた棺桶から脱出するための能力だった。
銀の弾丸:狼男と同じく、銀の弾丸で死ぬとも言われる。だが、伝承では、吸血鬼は銀を恐れて避けるが、銀で殺すことはできない。つまり、銀は吸血鬼避けの力があった。
十字架や聖水:これも、映画で作られた弱点。確かに聖なるものに弱いという例もあるが、得に十字架や聖水というキリスト教由来のものに弱いということはない。
流水:ヴァンパイアは、舟や橋を使わないと、流れる水(川とか)を越えることはできない。これは、古い伝承で、逆に創作ではあまり使われない。
ドラゴンの特徴
色や大きさ、性質や気性にかかわらず、『D&D』のドラゴンは、典型的な西洋のドラゴンの造形をしているーーーーーー長くしなやかな首、ワニのような頭、大きく開く口、やや湾曲した鋭い爪、頑丈な四肢と鉤爪、鞭のような長い尾、幅広な2枚の革上の翼。もちろん、どのドラゴンも空を飛ぶことができる。
『D&D』のドラゴンに共通する身体的特徴に関して、ひとつの例外といえるのが、ゴールド・ドラゴン(金竜)で、ときに中国の竜の典型のような姿で描かれるーーーーーーつまり、胴体がより長く、翼がない。
ドラゴンの年齢
ドラゴンの年齢は、ごく若齢から老齢までさまざまであるーーーーーー老齢のドラゴンでは、400歳を超える。当然ながら、ドラゴンの年齢によって、その強さや大きさ、破壊力、狡猾さは大きく異なり、それは牙や鉤爪、息によって敵に与えられるダメージの程度に反映される。
ドラゴンの言語力
ドラゴンの知能は、一般には平均的な人間と少なくとも同等であり、なかには人間よりずっと利口なものもいる。どのドラゴンも竜語を話すことができ、多くはほかの言語も知っている。彼らは社交的で、噂好きでさえあり、会話のやりとりを楽しんでいる。ーーーーーーたとえ彼らの最終的な目的が、会話の相手を前菜にすることだったとしても。もともと好奇心の強いドラゴンは、相手のキャラクターが知っていることや話そうとしていることを何でも聞きたがるため、しばしば会話を長引かせて命をつなごうとする作戦に誘導される。
ドラゴンと魔法
まるでブレス・ウェポンと毒牙では十分な脅威にならないとでもいうように、多くのドラゴンは、魔法の呪文をかけることもできる。ここでもやはり、ドラゴンがこの能力をもっているかどうかは、ドラゴンの知能や年齢によって決まる。ただし、ドラゴンには、その身体的形状からすでに十分な破壊力があるため、呪文は自分の姿を隠したり、不運にもドラゴンに遭遇してしまった者たちを幻惑したりするために使われる。
悪のドラゴン(悪竜)
『D&D』でおもに悪役やモンスターとして働くドラゴンは、クロマティック・ドラゴン(色彩竜)と呼ばれる。このクロマティック・ドラゴンに遭遇したーーーーーーそして宿題をきちんとやってきたーーーーーーキャラクターは、少なくとも自分が直面しそうなブレス・ウェポンの種類や、相手の知能レベルを知ることができる。
クロマティック・ドラゴンの多くは、一生をかけて財宝の山を築き、それを執拗に守ろうとする。なかには、地元住民から生贄などの捧げ物を差し出させ、そうした捧げ物ーーーーーーーあるいはその残骸をーーーーーーを、収集物の一部として貯め込むドラゴンもいる。
悪のドラゴンは、たとえ相手が同じ種族であっても、縄張り意識が非常に強い。また、高齢の悪竜の場合、大抵はほかのドラゴンとの決闘によって受けた傷跡がある。一方、小型の色彩竜が別の種の大型ドラゴンに遭遇した場合、相手に殺されないように逃げるのが鉄則だ。また、クロマティック・ドラゴンは、殺したドラゴンの肉を食べるーーーーーーただし、普通は自分と同色のドラゴンの肉は食べない。
ブラック・ドラゴン(黒竜)
ブラック・ドラゴンは、ドラゴンのなかでも愚かで卑しい竜で、ごく遠縁の野生の蛇にもっとも近いとされる。暗く湿った場所に潜み、生い茂る木々の葉で遮られた沼地や、ほどよく暖かく、十分に水が得られる深い洞窟を好む。太陽光線が彼らに特別な害を及ぼすわけではないが、日光を嫌う。寒冷地は苦手で、温暖な環境を好む。成体のブラック・ドラゴンは、全長約9メートルにもなる。戦いにおいては、たとえ自分より弱い相手、あるいは無防備な相手であっても、待ち伏せ攻撃を好む。ワニのように目と鼻孔だけを外側に出し、ほぼ完全に潜水することができる。泳ぎに長けているため、空中戦よりも地上戦や水中戦を得意とする。
ブレス・ウェポンは腐食性の酸で、口から吐き出された呼気は、周囲約18メートルに及ぶ。
オルロック伯爵
最初にして最高の吸血鬼映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』。ドラキュラならぬオルロック伯爵は、映画製作者までも破滅に追いやる魔物だった。
悪魔を思わせる尖った耳、裂けた口の端から覗く鋭い牙、異様な鉤爪の備わった長い指、400年にも渡る年月を生きてきたオルロック伯爵の外見は、人が悪夢に見る怪物の姿そのものだ。1922年、フリードリヒ・ウィルヘルム・ムルナウが制作したドイツ映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』は、『吸血鬼ドラキュラ』の筋立てをほぼそのままに、舞台をロンドンからドイツのブレーメンへと換骨奪胎した世界最初の吸血鬼映画である。
1838年、ブレーメンに家を買いたいという伯爵の要請を受けてトランシルヴァニアの古城へと向かって不動産務めのトーマス・ハッターは、宿で手に取った『吸血鬼の書』という書物に「1443年に、不死者が生まれる」という記述を見つける。彼の顧客であるオルロック伯爵こそが人間の血を吸って生きながらえている不死者であることを知ったのは、彼が迷信を笑い飛ばした僅か数日後のことだったが、時既に遅く、伯爵は東ヨーロッパ各地にペスト菌をばら撒きながら海路を経てブレーメンへと上陸してしまう。市民が次々と伝染病に倒れる中、生還したハッターが持ち帰った『吸血鬼の書』から、ブレーメンを襲う恐怖の正体と、それを打ち倒す方法とを知った婚約者のエレンは、その身を犠牲にしてオルロック伯爵を滅ぼし、ブレーメンはペストの恐怖から救われる。『吸血鬼ノスフェラトゥ』は?おぞましい吸血鬼を演じたマックス・シュレックの好演と、白黒による色彩表現の限界を超えた映像美によって無声映画初期の傑作に数えられているが、原作の版権所有者であるフローレンス・ストーカーの起こした裁判に敗訴したため、運良く保存された数本を除く全てのフィルムが焼却の憂き目に遭い、ムルナウ自身も破産したという。
フランシス・ヴァーニー卿
三文雑誌の誌面を血潮で満たす、扇情的な単語の羅列と乱暴な筆致が吸血鬼ヴァーニーの一代記を煽り立てる。
吸血鬼ヴァーニー
国王ジェームズ1世を処刑し、英国に共和制をしいた護国卿オリバー・クロムウェルの死後、1660年の王政復古により大英帝国の王座を取り戻したジェームズ2世の治世下で、墓場から蘇った1人の吸血鬼が闇夜に紛れて暗躍し、見目麗しい女性を毒牙にかけては高貴な血で喉を潤していた。
騎士の装いの下に蒼白な肌と尖った牙を匿すフランシス・ヴァーニー卿は、ジョン・ポリドリのルスヴン卿がかくりつした、厭世的で酷薄な夜の貴族というイメージを、ブラム・ストーカーが創造したドラキュラ伯爵へと橋渡しする役目を担った、吸血鬼の元型的な存在である。
凝視する鉛のような大きな眼と鋭く尖った牙を持つ長身の吸血鬼の物語は、血潮と流血とを惜しげなくぶちまけて、絶え間ない刺激と興奮を読者に与える必要から支離滅裂な内容になっており、吸血鬼ヴァーニーの前身ひとつをとっても、子供を殺害して竜騎兵に射殺されたモーティマーという人物であったり、自殺したことで神の恩寵から見放されたマーマデューク・バネスワースであったりと矛盾したエピソードが乱立する有様だ。
吸血鬼ヴァーニーは太陽に弱く、昼の間は物陰や屋内に身を隠し、街が艷やかな喧騒に包まれる夜になると活動を開始する。名前や身分を様々に変え、時には美女を襲い、時にはロマンチックな冒険行に身を投じる吸血鬼ヴァーニーは、全220章868頁にも及ぶ長編小説の中で銃弾を撃ち込まれ、心臓に杭を打たれ、首を締め上げられて幾度となく死を迎えるのだが、その死骸は月の光を浴びる度に蘇り、犠牲者の前に再びその不吉な姿を現すのである。
冒険と破滅、そして月光による蘇生という展開の物語がエンドレスで繰り返された果てに、イタリアのヴェスヴィオス火山へと赴いた。人生に倦み疲れた吸血鬼ヴァーニーは、灼熱の噴火口に自らの身を投じ、呪わしい復活のサイクルの終止符を打つのである。
クルースニク
クレスニクともいう。東欧の伝承に登場する善の精霊。吸血鬼狩人の集団。白い胞衣(羊膜)をかぶって産まれた子供や12人兄弟の12人目がなるとされ、一定の年齢に達すると仲間たちに迎えられる。赤い胞衣をかぶって産まれたクドラクをはじめとする吸血鬼や魔女の仇敵で、地域や共同体の禍福をめぐって火災や動物の姿に変身して激しく争うのだという。
エムプーゼ(イタリア)
イタリアの吸血鬼エムプーゼは、ふしぎな魔力をもっていて、その姿もいろいろに変身する。それというのも、エムプーゼは、ウシやウマやイヌなど、その生き血を吸った動物や人間そっくりの変身できるからだ。
暗黒の女神カーリ
暗黒の世界からあらわれた女神カーリは、3000年もの昔からいまなおインドで恐れられている。
もともとは、人間にとってすばらしい愛の女神であったが、人間があまり約束をやぶったりウソをつくので、ついにおこった女神カーリは、半人半獣の姿となって恐ろしい妖怪と化してしまったのだ。
それで女神カーリは、子ヒツジやブタをいけにえにささげろと人々に命じ、その血をすすったという。とくに赤ん坊や子供の生き血が好きなので、いけにえをささげると、財宝のありかをおしえてくれるという。
生ける死者
神話・伝説上の血を吸う怪物達と共に、古代ギリシャの風土がもたらした生ける死者は、後の吸血鬼伝説を形成するルーツとなった。
・ヴリコラカス
ラニアやエムプーゼといった血を吸う怪物達の伝承が伝わるギリシャには墓場から蘇った生ける死者、ヴリコラカスの伝承がある。「墓場から蘇った人」という意味を持つその名称はスラヴ地方においては狼人間の呼び名でもあり、狼人間が死後に吸血鬼となるという伝説と合わさってやがて吸血鬼を意味する名称になっていく。古代ギリシアにおいては、新たな魂を得て墓場から蘇ったというだけの、危険性がそれほど高くない亡者であったヴリコラカスは、やがてギリシアにも伝播したキリスト教の影響下で邪悪な性質を与えられ、孤独な死を迎えた者、不適切に埋葬された者、洗礼を受けなかった者の死体が生者へと復讐するため
に蘇りの人間を襲って生き血を啜る吸血鬼へと変質していった。ヴリコラカスの体は腐敗していないものの、全身が硬化し、体の其処彼処が膨張している。関節は曲がらず、膨れ上がった体の中には悪魔が入り込んでいる。夜になると墓場から這い出し、自分の家の扉を叩いて家族を呼び出そうとする。ヴリコラカスの復活を防ぐためには?その死骸を灰になるまで焼き尽くさなければならない。
こうしたギリシアのヴリコラカス伝説には、その温床となったエーゲ海のサントリーニ島の土壌が関係している。東方正教会には、埋葬した遺体を3年後に改葬するという習慣があったが、防腐剤としても用いられる石炭分が多く含まれるこの土地に埋葬された屍体は腐りにくく、掘り起こされた屍体が生前の姿を保っていることが少なくなかったからである。
バルカン半島やイギリス、スカンジナビア半島などヨーロッパ各地に伝わっていたこのような生ける死者についての土着の伝承は、11世紀の頃になるとキリスト教と結びつき、第2回リモージュ会会議の折には、破門された騎士の死体が墓場から離れた場所で幾度も目撃されたという事例が、カオールの司教により報告されている。
参考文献
『幻想用語辞典』
『図解吸血鬼』新紀元社
『ドラゴンの教科書 神話と伝説と物語』紀伊國屋書店
『シナリオのためのファンタジー事典 知っておきたい歴史・文化・お約束121』SBクリエイティブ株式会社
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