第63話 誤解

スグルにとって久しぶりのカミヤでの朝。自分のベット、自分の枕という最高の環境の中心地よい睡眠ができた


「むにゃむにゃ」


んーもう朝かな・・・


「むにゃむにゃ」


ん・・なんだろう。隣になぜか違和感が


「え・・・」


ナナさんがいるんですけどおおおおおおおおお


「あの・・・ナナさん?」


ここ俺の部屋だよな・・まずいこの状況は。何とかしないと・・・


「ちょ・・起きてくださいナナさん」


しかし、ガチャンというドアの開く音とともに想定しうる最悪なことが起きてしまった


「お兄ちゃん朝だよー」


「あ、おは───」


ガチャンという音とともにアリスは俺の言葉を遮るように風のごとく消え去っていった


「終わったあああああああああ」


「朝からどうしたのかなー」


俺の悲鳴によってナナさんはようやく覚醒した


「いやこっちのセリフですけど」


「なんのことかなー」


ナナさんは相変わらず知らん顔してやり過ごそうとする。イビルスでは毎晩一緒に寝ているが全く何も起こらないため一緒に寝ることに何の抵抗もなくなってしまった。ただ、ここでは話が違う


「いやあ、一人で寝るのが怖かったかなー」


「子供か!」


こうして久々のカミヤでは地獄の朝がスタートした






「初めまして、私はイビルス国の戦士長 ナナです。外交上の希望通り私がイビルスからの戦力としてお役立って見せます」


アリスの誤解を解いた後、昨日十分でなかったナナさんの自己紹介が行われた。それにしてもナナさんがイビルスの戦士長というのは初耳だ。戦士長が具体的にどういう役職かは知らないが・・


「加えて魔王ロキ様からスグルの護衛を任されていますのでどうぞよろしくお願します」


パチパチとみんなはナナさんを優しく迎える


「ねえ、ちょっと待って」


「どうしたアリス」


「護衛だからって一緒に寝るのは違うんじゃない。てっきり恋人同士かと」


アリスは自分の知らないところでスグルが取られてしまったことに腹が立っていた。さらに関係が曖昧なところに妹として納得がいってないようだ


「いや、これはナナさんの癖で・・・」


「は、毎日一緒に寝てたの?」


っまずい、口が滑った


アリスは目を細めてスグルを睨む。周りはこの件にあまり関わらないようにしようとそそくさと逃げていく。ナナはどうすればよいか分からず同じく逃げていく


「ごめんなさい」


「謝るとかじゃないから、アリスに相談してよね」


この後必死の弁明でなんとか誤解は解けたがアリスは絶対に認めないからねと意地を張ってしまった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る