第19話 剣聖
あと一冊・・これを読み終わったらこの国で手に入る知識全てが揃う。
アリスは宮殿内にある図書館で本を読んでいる
襲撃の際、警備が厳重になるのは国王の近辺。図書館に本来の目的があるなど検討もつかないだろう
アリスは本をページをサラッとめくるだけ。絶対記憶を持つものにとって本を読む必要はない
この世界の成り立ちをある程度把握できた。あと、お兄ちゃんが心配だから早く終わらして亡命の準備しよ。
「お嬢さん、見ない顔だね。いったいそこで何をしているのかな」
入口から剣を腰に掛けた美男子がアリスに近づく
さすがに見つかってしまったみたいだね
「アリスねぇ、道に迷っちゃってね、本さんがいっぱいあったから読んでいたの」
アリスは道に迷ってしまった幼い少女を演じる
「そうかい、君みたいな小さい子供が好きな絵本はなかったでしょ。僕ですら理解できない本があるっていうのに」
男は明らかに警戒している
嘘が無理やりすぎたかな。まあ最後の本は読み終わったし・・・
「お兄さんは、もしかしてあの有名な剣聖、アリウス・クラリスさんですか」
「周知していただけるなんて光栄だね。どんな理由があるのか知りませんが大人しくしていただければ僕の権限で君の安全の保障は約束できるよ」
好戦的なのかと思ってたけど、結構やさしいのね
「アリウスさんは紳士なのですね」
「それは、僕の提案を受け入れてくれる、ということでいいかな」
この人とはまた、どこかで会えそうな気がする
「お断りします」
「そっか、じゃあ少し手荒にいかせてもらうよ」
アリウスは腰の剣に手を当てる
相手の剣に対して私はリーチの短い短剣、受けることに集中だね
アリウスは剣を抜きアリスに襲い掛かる。だがアリスはその猛攻を二本の短剣でいなす
「やるね、君、私の剣をそんなナイフで受け流されるなんてショックだよ」
剣聖ってだけあって少しきついな・・
「君の実力ならぜひ私の右腕として活躍しないかい」
「お断りさせてもらいます」
足止めだけでも大変。もう少し剣聖の情報があれば・・
「すこし外の様子も気になるから、これで終わらせてもらうよ」
ビシっ
アリスの受けが間に合わず剣の峰が首に当たる
「峰打ちだから死にはしないよ、少し眠ってて」
念のため拘束魔法をかけておこう。いったい外で何が起こっているのだろうか。陽動か、コロニアス様の命が目的でないなら・・この少女しかり、目的が謎である。
「この少女を見張っていてください」
「「はっ」」
僕の部下に見張ってもらえばより安全だろう。ただ、この少女は僕と同様、実力を隠していたような。まあ、心配しすぎか・・それよりもこれは・・・
「アリウス様、。ライン監獄内の囚人が一斉に解放された件ですが私たちでが手に負えません」
「了解した。城の門に警備を集中させてください。確保は難しいので殺すことを第一目標としましょう」
「「はっ」」
これは確実に陽動だな。ただ逃がすわけにもいかない。やられたよ
そろそろかな。気絶したふりがバレてなくてよかった
アリスはゆっくりと目を開ける
峯打ちの威力を殺したのははっきり言って賭けだった。ただ、拘束魔法をかけられたうえ二人の兵士に見張られている。まあ、拘束魔法は簡単に外せるから―
「貴様どうして動ける」
「いやあ、それは女の秘密ですよ」
試作品だけど、あれを使ってみよ
「このままではアリウス様に見せる顔がなくなってしまう、取り押さえるぞ」
コロンっ
「なんだこれ」
少女の手からこぼれ落ちた丸い物を不思議そうに見つめる
ピカっ
「「うっわああああああああ」」
そんな直接目を開いて見ちゃだめだよ
試作品の閃光手榴弾が上手くきまったようだ
トン、トン
「アリウス様に、また今度お会いしましょう、って言っておいてね」
あっ、手刀で気絶させたから聞こえてないかも
役目を終えたアリスはスグルを探しに動き出した
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます