第6話 思惑

「今日は優秀な助っ人二人がいるので、少し森の奥まで進んでみましょう!」


優秀なんて少し照れるな、最初は不安だったけど、アリスは人を見る目があると、マルスのリーダーシップ性を見て思った。


「そこで止まりなさい、人間、おとなしくしてれば楽にしてあげるから」


突然、コウモリの翼を生やしたような少女が現れる。少女は宙に浮き、いつでも攻撃してきそうだ


アリスと同い年くらいの子だろうか


異様な空気に危機感を覚える


「名前くらい名乗ったらどうなの」


おいおい、アリス、結構強気だな。こういうのあまり刺激しちゃダメなやつでしょ


「魔王の一人、ルミナ・スプレッド」


思いのほか、少女はアリスの質問に答える


魔王って、いきなりボスイベントですか・・・そもそも魔王って何人もいるものなのか


「やばいよ、あれ吸血鬼の女王じゃん」


「リーダーあれやらないと」


マルスが言ってた秘策か何かだろうか。こうなったら全力でアリスを守るしかない


「アリスさんとスグルさんが前衛に、私たちは後衛に、私の合図で戦闘を開始します」


逃げれそうもないから戦うのか


「よっしゃあ、やってやるぜ」


不死者の大王の支配地域に吸血鬼の女王がいるのか謎だったが、今はそんなこと考えている暇はない


「それではお二方ともあとはよろしくお願いします」


なぜか背後に悪意を感じた。しかし、もう遅かった


「は」


マルスが俺とアリスの肩に手をかけた途端、全身が痺れて動けなくなった。


「どお@¥$#‘―」


頬の感覚も失われ喋ることができなくなった。間接視野でアリスの様子をうかがうと同様に動けなくなっていた。


「最低ね、同じ人間同士なのに」


「今のうちに逃げますよ」


マルスたちは手慣れているかのようにスグル達を囮にし森を抜けるため走る


あいつら裏切ったな、ちがう神谷スグル今考えることはそんなことじゃない


「失礼ね、囮に群がるのは知恵のない魔物だけなのに。先に殺すのはあなたたちだよ」


ルミナは逃げた冒険者たちに照準を合わせる。


「紅血の雨」


放たれた血の雨は鉄の防具を貫き三人はその場に倒れた。


―やばい、このままじゃアリスが危ない、動け、動けよ俺のカラダぁ!


スグルの強い思いもむなしく体は動かない


「残念だったわね、同じ人間に裏切られるなんて。せめてもの情けに楽に殺してあげるわ」


ルミナは二人のもとに少しずつ近づく。そして―


「えっ!」


ルミナの下に突如として魔法陣が現れツタがルミナを縛る


先程まで動くことのできなかった少女は不敵な笑みを浮かべ立ち上がる


「作戦成功!残念賞だよルミナちゃん」


急にアリスは立ち上がり小銃でルミナの足を撃ち抜いた。一体なにが起こってるんだ


「なぜ動ける・・・」


「いい質問だね、これはアリスがこの世界にきて―」

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