プロゲーマーを目指していた俺、妹はアジア最強の配信者でした。

第2話 嘘だと言ってくれ……

「ああ、俺の携帯が！！」

　彩音は落ちて、画面にヒビが入ってしまったスマホを俺に渡した。

「はい、お兄ちゃん！！」

「あ、ああ……　ありがと、それより聞き間違えだと思うからさっき言ったこともっかい言ってもらってもいい？？」

　俺がそういうと、彩音は自分のスマホを開いて自分のアカウントのところを見せてもらった。

「自慢じゃないけど本当だよ、ほら〜」

　スマホを見ると、確かに最高ランクでアジア１位と記載されていた。

　（まじかよ　昨日ボコられたの彩音だったのかよ…… 　正直妹に負けて悔しい…… ）

　（ということは、昨日サブアカウントで喧嘩売ったのは……）

「そ、そうか…… すごいな、さすが妹だ　俺も『あ』さんのファンでさ、昨日の配信見てたんだ」

「そうなの？？　嬉しい〜」

「う、うん　なんかさ配信の途中、僕の偽物みたいなのにタイマン申し込まれてたじゃん」

「そうだね〜　めっちゃ強かったけど勝ったんだよ〜」

「そうか、これ俺の偽物だからね！！」

　俺がそういうと、彩音は頷いた。

（絶対知らん人だと思ってたから、サブ垢で喧嘩売ったなんて言えん、墓までこの秘密は持っていく……）

　俺は心の中で、そう誓った。

　しばらく歩いていくうちに、学校についた。

「んじゃあね、お兄ちゃん」

　彩音は俺に手を振って、中等部の校舎へ行った。

　俺も手を振った後に、高等部の教室へと向かった。

(なんでこんな進学校選んじゃったのかな〜 まあ進路なんて決める気なくて指さしたとこ受験したらまさか合格とは…… )

(こんなんでラッキーが起こるくらいならソシャゲのレアキャラ当たってくれよな)

　そんなことを考えていたら、教室についた。

（俺のこと知っている奴は…… 多分ないか…… よかった〜）

　多分俺のことを知っている奴もいるだろうが、元々影が薄かったので多分誰も覚えていない。

　黒板を見ると、自由に座ってくださいと書いていたので、窓側の1番隅っこの席に座った。

(やっぱここよな〜 落ち着く〜)

　俺は誰とも話すこともせず、スマホを開いた。

　いつも通り、まずはソシャゲのログインから始める。

(お、イベント開始日が今日だったのか〜)

　そんなことを考えてゲームを1人でしていると、前の席のやつが俺の携帯を覗き込んだ。

「へ〜 君もドラレンやってるんだ、今おもろいよね〜」

　俺は急に話しかけられたので、ビックリして椅子から落ちそうになった。

　体制を崩した俺を茶髪の男が支えてくれた。

「び、びっくりした」

「悪いな、急に話しかけてしまって……」

「いや、大丈夫だよ」

　俺がそういうと、彼は自己紹介を始めた。

「はじめまして、俺は『櫻井東寺』だ　君は？？」

「加賀美悠也だ、よろしく」

　東寺が手を前に出してきたので、僕達は握手をした。

「ところで、悠也、お前もドラレンやってるのか？？」

「いや、俺は別なゲームが忙しくてあんまやれてないんだよ」

「そうなのか？？お前のパーティー見せてくれよ」

　東寺がそう言ったので、俺はモンスターBOXを見せた。

　俺のBOXを見て、東寺はビックリした。

「ええ、レアキャラのレインボードラゴンに盗賊ブルー、天災の大天使までいるのか！！」

　俺には、目を輝かせている東寺が不思議だった。

　正直、こんなのガチャをそんなに引かずに無課金でも手に入れるものだった。

(別にこんなの、配信者だと10体は持ってるからな……)

「なんか褒めてくれてありがとう、東寺のパーティーも見せてくれよ」

　俺がそういうと、東寺はスマホを見せてくれた。

　内容を見ると、予想通り初心者〜中級者くらいのパーティーだった。

　構成は大物配信者のテンプレ、後はオリジナルパーティーだがバランスが悪く、あまり攻略には向いてない感じたった。

「どうだ？？　悠也」

(正直言って雑魚パーティー、だけど楽しみ方は個人の自由だしここは……)

「いや、いいパーティーだと思うよ！！」

　俺がそういうと、東寺は喜んだ。

「ほんとか？？上級ダンジョンに勝てないのは俺のパーティーじゃなくて、実力か！！よし、リベンジだ！！」

　東寺が上級ダンジョンに入った瞬間、教師が黒板の前に来た。

「みんないるな、んじゃあこれから入学式だから生年月日順に並んでいくぞ」

　俺たちは並んで入学式会場へ向かった。

(あのパーティーじゃ、上級ダンジョンは勝てないって言えばよかったかな……)

　俺はそんなことを考えて歩いていった。

　入学式では学校のカリキュラム、休みや部活、校則などについて話された。

　特にこれと言って思うことは無かったので流して聞いていると、いつの間にか終わった。

　教室に戻り、ホームルームで明日の予定を話されたあとに解散となった。

「なあ、悠也 上級ダンジョン2回蘇生アイテム使ったが勝てたぜ！！」

「おお、おめでとう」

　東寺が嬉しそうに言って喜んでいた。

(上級ダンジョンはランク上げの周回ダンジョン、それに激レアの蘇生アイテムを2回使うのはもったいないが本人がいいならいいか……)

　心の中でそう思っていると、東寺はマルチダンジョンの招待を俺に送った。

「一緒にダンジョンやろうぜ！！」

　東寺から送られてきたのは今回の新イベントだった。

　今回のイベントはランキング形式で全ての試合が大切、俺は帰ってからパソコンにあるサブ垢とスマホアカウントで高順位を狙うつもりだった。

「わ、わるい 今日一緒にやる人がいてさ〜」

「そっか、なら今度やろうな〜」

　俺は東寺と別れ、家へ帰った。

※後書き

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