第22話 お互いが知りたい事
悠と工藤真理愛の公園での会話の続きです。
なお、話中に聞いた事のあるワードが出て来ますが、現実の組織、団体とは一切関係ありません。
宜しくお願いします。
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「じゃあ、俺から話すね。
俺が普通の人より物事を早く理解出来ると分かったのは一才の頃。両親と話が出来た。何か色々言っていたけど比較出来ないのでそれが当たり前と思った。幼稚園に入った頃には、高校の勉強は終わっていてもうその時には、普通に大人の人と話が出来た。小学校入る頃には大学の規定科目の勉強も終わっていた。
こんな事出来たのは、父さんが俺の頭の発達の速さからギフテッドだと思って学習をさせてくれたから。
学術会議に目を付けられたのは、俺が中学三年の時初めて受けた全国統一知能選手権で総合一位になった時。初めて受けた中学三年生が数学、物理それぞれで一位を取るなんて過去無かったらしいから。
父さんが、そんな俺を心配して隣町の父さんも通っている武道場に連れて行ってくれた。表向きは、将来守らなければいけない人が出来た時の為と言っていたけど、本当は俺が苛めに会う可能性が高いので護身目的じゃなかったのかと思う。
案の定、俺を見る他の生徒の目は、奇人か変人みたいな扱いだったけど、仲良くしてくれた子もいたので、その流れで中学卒業出来て、今の学校に入った」
「そうなんだ。じゃあ、相当もてたんじゃない?」
「いや、ほとんどが変人扱い。告白なんてされた事ない。顔もこんなんだしね。もてなかったよ。苛めも多かったけど相手が幼稚だったから簡単にやり返せた。まあ、小学校時代から一緒の芳美と中学から一緒の絵里が俺の友達ってくらいだ」
「ふうん、どんな将来を見ているの?」
「まだ決めていない。ただスタンフォード大位には行きたいと思っている。そこから考えても遅くないし」
「スタンフォード大って今世界で一番人気のある大学じゃない。すごーい。私からは雲のはるか先、アンドロメダ銀河より遠いわ」
「面白い事言うね。確かにその銀河は地球から二百五十万光年あるから確かに遠いけど良く知っているね?」
「あっ、どっかのアニメの受売りだったんだけど。あははっ」
「そうか、後、俺の瞳の仲にある悲壮感なんて凄い事言うけど、俺は普通の目をしていないのかな。目付きが悪いからそう見えるんじゃない」
多分、彼女の言っている事は事実だろう。でも本当の事は言えない。
「まあ、こんな所」
「一人暮らししている理由聞いていない」
嫌な所突いてくるな。
「まあ、色々事情が有ってさ。流石にこれは人には言えない」
友坂さんは知っているようだけど、私位ではまだ教えて貰えないか。どうしたら知る事出来るのかな?
「今度は、工藤さんの事教えて」
「うん、私の家は…。家は元々は山口県の名家で、お父さんは今警察庁長官やっている。お兄さんは財務省に勤めている。お母さんは、今は専業主婦だけど現役で司法試験受かっている。全員帝都大卒。だから私も行かないといけない」
「それは凄いな。いわゆるエリート家系だね。だからいつも成績が良いんだ」
「坂口君に言われると馬鹿にされている感じがする」
「ソンナコトナイヨ」
「なんで棒読みなの?」
「あははっ、でもそれだけじゃ、なんかなあ。もっと色々教えて、家族でのイベントとか」
「そうだなぁ。我が家はそんな感じだから、皆で旅行とか行かないし後は…。一昨年の夏、お兄さんが、大けがをして長い間、入院していた事かな。
階段から落ちたなんて言っていたけど、そんなんで両腕、両手首、両足が折れて、顔が原形とどめない位酷い事にはならないわ。兄はあくまで長い階段を転げ落ちたと言っていたけど」
えっ!まさか、でも…。いやあり得ない事はない。こんなに身近にいるなんて。…確かめようがないけど。
「ふーん、お父さん警察庁長官でお兄さんが財務省のお役人かあ、すごいなあ」
「坂口君から見たら、他愛無い事でしょう」
「そんなことないよ。ねえ、俺ももっと工藤さんの事知りたくなった。もっと深く知りたい。友達プラスアルファ位になれないかなあ」
「えっ?!そ、それって。もしかして?」
「うん、思っている通りだよ。まあ、今は友達のままで良いけど。もっと一杯話したい」
「じゃ、じゃあ。明日からお昼一緒に食べてくれる?そうすれば一杯話せる」
「うーん、偶には良いけど、お昼は一人で食べたいな。日曜日は会ってもいいよ」
「分かった。じゃあ週二位ね。あっ、後さ。真理愛って呼んでくれるかな」
「いや、流石にそこまでは…ごめん」
「あははっ、ちょっと急ぎ過ぎたか」
俺はその後、工藤さんと一緒に昼食を食べて別れた。彼女からもっと詳しく話を聞きたい。
もしかしたらきっかけがつかめるかもしれない。それと学術会議の人の中には警視総監と知り合いの人もいた。あそこのサイバーセキュリティ対策室なら、結構な深度までアクセス権限が有るはずだ
警察庁だとこちらの名前が割れるかもしれない。警視庁と警察庁なら、まだ人事的に壁が有る。次の小委員会の時聞いてみよう。
翌月曜日、俺はいつもの様に教室に入った。
「悠おはよう」
「おはよう絵里」
「坂口君おはよう」
「おはよう工藤さん」
なんか、工藤さんの悠に対する言い方が馴れ馴れしいんだけど。日曜日なんか有ったのかな?
午前中の授業が終わり、昼休みになると
「坂口君、お昼一緒に食べない?」
「何言っているの工藤さん、悠はお昼は私と一緒に食べるのよ」
「ねえ、最近、坂口君をめぐって友坂さんと工藤さんの争いが凄くない?」
「私もそう思う。でも坂口君じゃあなあ」
「何言っているのよ。顔は怖いけど坂口君ともし一緒になれば億万長者も夢じゃないわよ」
「あっ、そうか。じゃあ私も」
「「うるさいわね!」」
「「ひっ!ごめんなさい」」
私と工藤さんが悠とのお昼を言い合っている内にくだらない事を言い始めた女子を偶々偶然に工藤さんと同時に同じ言葉を言ってしまった。
「うーん、絵里も工藤さんもごめん。今日は一人で食べたいんだ」
「えーっ、悠でもー。ねえ、食べれる日あるでしょ」
「うん、坂口君。決めよ」
「あっ、もうこんな時間、早く行かないと定食が無くなる。じゃね。二人共」
あーぁ、悠行っちゃったあ。なんで工藤さんこんなに悠に絡んでくるのよ。
「ねえ、工藤さん、最近、悠と仲良いんだけど、彼と何か有ったの?」
「別に、友坂さんには関係無いわ」
「「ふん」」
私、工藤真理愛。予想以上に友坂さん、坂口君に近付こうとしている。彼女は中学からの友人。坂口君もこの人の事は、大切だと言っていた。
この人は坂口君の瞳の中の暗闇を知っている。なんとかこの人以上に坂口君と仲良くならないと。
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面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価★★★頂けると投稿意欲が沸きます。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
次回以降をお楽しみに。
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