コンプ厨の俺が「終わらない神ゲー」を完クリします

天かす入りおうどん

第1話 コンプ厨のお話

コンプ厨の俺が「終わらない神ゲー」を完クリします。



皆さんは"コンプ厨"というゲーマーの事を知っているだろうか。

名前の通りどんなゲームも完全クリアをしないと気が済まないいわば病気のゲーマーである。



"どんなゲームにも終わりはある"



例えばRPG。これは単純。ストーリーやクエストを全てクリアしたら終わり。


例えばソシャゲ。ソシャゲはどんどん新キャラ新アイテムが追加されていくがそれらを全てコンプリートしたら終わり。全キャラコンプ全アイテムコンプで追加を待つ状態が完クリだ。


完クリを達成すると、ゲームの全てを制覇したという達成感と征服感で脳内麻薬が大量に発生する。

つまり中毒だ。


だが、1つのゲームしかやらないゲーマーでもそれを成し遂げるのはとても難しく苦労がいる事だろう。


しかし、それを悠々と成し遂げるものがここに1人。



-初めまして!俺の名前は天方了(あまかたりょう)。少し普通では無い高校生だ!

何が普通じゃないかって?

それは俺がアマチュア最強ゲーマーって事だね!


俺は小さい頃から沢山のゲームをこなして来た。その全て"完クリ済"。

見てよこの俺が今やってるゲーム。


これはソシャゲで"モンスターハッサム"って言うんだけどこれもあと今日の昼に来たガチャ限定の新キャラ、"ナタンモ"をゲットしたらやる事は無くなる。


クエストも全クリ、キャラも全取得済み、ランクもカンスト、つまり完クリさ!


この為にずっとガチャ石を貯めてたからね。楽勝さ。


ちなみに俺は"できるだけ無課金勢"だ。

課金限定のキャラだったり追加パックとかは買わざる負えないけどそれ以外は買わない。無課金でコンプが1番きもちぃ〜からね!


っとこーしてるうちに確定演出だ。


ガチャ龍の目が光り金色の卵を吐き出す。

そしてその卵が豪華な演出で孵化していく。

紫色の可愛らしい女の子が姿を現した。

"ナタンモ"だ。


はい!これで再再再再再完クリ!追加が来る度にやってるからもう何回目だ?って感じ。

やっぱりきもちぃ〜!!!

体にまとわりつく全ての蟠りが抜け何もかもから開放されたような気持ちになる。

さながら肩こりに効く薬のCMだ。


「はぁモンサムも終わったしなんか良い神ゲー無いかなー」


最近の悩みはもっぱら良いゲームが無いこと。

流行りのゲームは"ほぼ"全て完クリしているからだ。


俺は全世界で1番のユーザー数を誇るsnsであるTwit(ついっと)で情報を求めた。

実は俺はこのsnsでは少し有名で友達も沢山いる。いわゆるTwitor(ついっとぉ)と呼ばれる者だ。


まぁ現実では友達は……ね?

俺はこのフォロワー3万人のアカウントで呟いた。


『モンサム完全クリアしました〜!

なのでまた新しいゲーム募集します。神ゲー無いですか?』


すると、すぐに「かぐや」というアイコンが昔話のかぐや姫の萌えキャラになっているアカウントからリプライが飛んできた。


『ゲンテンオブムーンクエイクとかどうですか!?最近じわじわ人気になって来てますよ!』


ゲンテンオブムーンクエイクか…俺ももちろん知っている。頭文字をとって通称"無限"。


2.3ヶ月前にリリースされた完全没入型VRゲームである。

知っている情報はそれだけ。他は全て謎のゲーム。

やって見る価値はあるか…。


実を言うと、無限をプレイしている俺の唯一と言ってもいい友人にそのゲームは面白いのかと聞いたことがある。

返答は即座に帰ってきた。


『神。それだけ。』


ふっ…笑わせてくれる。この俺が神ゲーと認めるに値するか見定めてやる。

まぁ俺のお眼鏡にかなうか…な…?


と、強がってるだけだが心の中はもう無限でいっぱいだった。

好奇心には逆らえない。

そうして俺は近くのおもちゃ売り場が併設されている電気屋へ走った。


その時俺はまだ気付いていなかった。




このゲームの"裏"について……



--続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る