2024.04.04 初めてのお見送り
数日前に祖母が亡くなった。通夜・告別式無しで、今日は直葬のみのお見送りをしてきた。
101歳という年齢で、老衰であり、娘・息子が見守るなか、最後も苦しむことなくスゥッと逝ったということで、親族の中では悲しみというよりは「無事にお見送りできた」という感覚も強い。
今回のお見送りは、息子にとっては「人の死がわかってから、初めて」の経験となる。一昨年の秋には「どうして人は死ぬんだろう」ということを連日訴えて声を上げて泣いたり、不安定になって暴言が増えたりという時期があった。その後初めての経験になる。
何度か葬儀に参列したことはあるが、その時、息子はよくわかっていなかった。
私が昔、父方の祖父の式に参列した時のことを思い出す。
父は、自分の父親を亡くした悲しい気持ちが、子供がいるということでだいぶ救われる、と呟いていた。
自分に子供がいると、親をもし見送る立場になったとしても、少し違ったりするものなのだろうか? となんとなく考えてきた。
この数日私が感じていたのは、もし私の父か母が亡くなれば、息子の辛さは相当なものになるだろうということだった。保育園の送迎や小学校の送迎など、ほぼ毎日のようにじいじ・ばあばと一緒の時間を過ごしているからだ。どちらかというと、私は自分の悲しみよりも、息子の辛さをどうにかしたいという気持ちのほうが強くなるかもしれない。悲しみを「息子を大事にしたい」という方向に向けていくのかもしれない、と思った。
本日お見送りしたのは父方の私の祖母だったのだが、ある時から会う事がなくなってしまって、生まれた息子を紹介する機会もないまま今日を迎えたので、息子は故人とは今日初めて接することになる。
何日かかけて、不安定にならないか確認しながら、少しずつ息子に伝達していく。
お葬式で踊ってはだめだよ、亡くなった事を喜んでいるみたいに見えちゃうからね、とか。お箸でお骨を二人で同時に骨壺に入れるんだよ、とか。だからご飯のときに二人で同じ食べ物を箸で持ってはいけないんだよ、とか。夫と私とで、お見送りのときのマナーを教えていく。
骨壺はどのような大きさなのかを知らない息子は、たぶんかなり大きいものを想像していた。「思っているのよりは小さいものだよ」と、夫がかなり落ち着いた声のトーンで教えていた。
息子は不安定になることなく、一定の興味を持って話を聞いていた。
「101歳だと、生き切ったって感じがするね。がんばったねって感じだね」
というと、息子は「だよねー」と。
「一昨年は、淳君(仮名)、永遠にどうして生きられないのって言ってたのにね」
と言うと、
「ねー、そうだよね」
と淳自身が穏やかに答える。
会った事のない、曾祖母の葬儀。会った事がないからこそ、息子は、ぎりぎり穏やかにいられたのかもしれない。
私が親族に挨拶をしている間、夫が息子の耳元で説明をし、必要であれば直前のリハーサルをし。花を供え、お坊さんの声に合わせてきちんと手を合わせ、心を込めている様子が見られた。お骨を箸で私と一緒に壺におさめるときも、初めての経験を「きちんと経験」している様子がわかった。
大往生なので穏やかな見送りで、わかるように泣いている人もいない中、息子はたぶん静かに泣いていた。何度か目を覆って、擦って、黙っていた。周りを見て悲しいのがわかった、ということではなくて、これがどういうことなのかを理解したうえで泣いていたようだった。
「わかったうえで」、こんなに、うまく息子が参列できると思っていなかった。この二年ほどの成長がとても嬉しく、夫が(葬式のマナーにかぎらず)教えてくれることが有難かった。
それにしても……自分が同じ年齢だったころに、息子ほどものがわかっていたような記憶がない。
息子は「説明されていないことを、暗黙の了解で理解する」のが難しい。それは感じるのだが、同年代の子たちと今までうまく話せなかった分、大人との会話が多く。(九歳になってやっと、支援級やデイの同年代の子と話したり、遊ぶようになったので、「友達と遊ぶ・レベル1!」「大人と話す・レベル22!」みたいな感じだ)
好奇心が強いので、答えられそうな大人を選んで「どうして?」「どうして?」と聞いてくる。
知りたかったことを説明された場合にはかなり飲み込みが早いから、うまく色々なことを説明する人間や、興味によりそって調べ方を教えてくれる人間が、息子の周りに増えてくれた場合、かなり成長するのではないだろうか。
理系のことやゲームについては夫に聞いているようだが、私は……う~ん? 息子の好奇心を満たせる得意分野は無いような。作文も興味なさそうだし、演劇も興味なさそうだしな。ピアノや歌もそこまで……星占いやタロットは、息子は興味ないしな。
理数系息子から見たら、理系パパと、「オバケを信じているし、占いとかもやってる怪しげなママ」じゃな。私は勝ち目ないよなぁ……。
なにか、得意分野を増やしたいところだ。
あ、料理そのうち教えるか。料理自体は得意じゃないけど、手抜きのしかたなら結構知ってるし(笑)そうだ。包丁や火を使わないでできる手抜きレシピをもっと増やそう。
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