040 チーム完成
6年生の5月。
全国小学6年生硬式野球選手権大会開幕直前。
俺は自分が考えたスターティングメンバー表をすなお先生に渡していた。
瀬川兄弟への指導とその成果を見て野球への造詣が深いと思ったらしく、少し前からアドバイスを求められるようになったのだ。
冷静に考えると小学生にそれは……とも思うが、初めての担任ということで指導に不安があったのだろう。
野球に狂った世界の教師とは言え、専門って訳じゃないからな。
まあ、俺としては好都合だったので何も問題はない。
「……正樹君にピッチャーを譲っていいんですか?」
「はい。大丈夫です」
表を見て尋ねてきたすなお先生に、迷いなく頷く。
正樹の実力を疑っての問いかけではない。
野球の花形に自分を据えなくていいのか、という確認だ。
チームへの貢献度を鑑みての質問だろう。
だが、現状では誰がどう見ても正樹がエースピッチャーだ。
今やチームメイトもそう認識している。
「分かりました。これで行きましょう」
そうして放課後のクラブ活動の前。
グラウンドでオーダーが発表される。
「1番ショート鈴木茜。
2番セカンド浜中美海。
3番キャッチャー野村秀治郎。
4番ピッチャー瀬川正樹。
5番ファースト瀬川昇二……」
6年の集大成に、しかし、文句の声は上がらない。
総員12名と人数が減ったのもそうだし、この5人以外は本気ではないからだ。
他のクラブ活動に移るより内申点が高いから残っているだけ。
まあ、打撃にせよ、守備せよ。最低限のことはしてくれるので別に構わない。
主要メンバーのステータスは以下の通りだ。
まずは俺。
☆成長タイプ:マニュアル
☆体格補正値 -20%
☆年齢補正値 -10%
残り経験ポイント45
【Bat Control】
1000(SS+)
【Swing Power】
1000(SS+)
【Total Agility】
1000(SS+)
【Throwing Accurate】
1000(SS+)
【Grabbing Technique】
1000(SS+)
【Pitching Speed】
170
【Total Vitality】
1000(SS+)
【Pitching Accurate】
1000(SS+)
ポジション適性へ⇒
変化球取得画面へ⇒
スキル取得画面へ⇒
その他⇒
これに加えてキャッチャーのポジション適性をカンストさせ、関連のスキルもいくつか取得している。
バッティングピッチャーをやるために、変化球も一通り会得しておいた。
……次にあーちゃん。
状態/戦績/▽関係者/プレイヤースコープ
・鈴木茜(成長タイプ:マニュアル) 〇能力詳細 〇戦績
BC:600 SP:600 TAG:600 TAC:600 GT:600
PS:120 TV:600 PA:600
残り経験ポイント:31 好感度:100+/100☆
ステータスは減少対策で控え目。
【経験ポイント】はほぼスキルに使用しており、ショートのポジション適性はカンストさせた。見た目以上に強い。
続いて美海ちゃん。
状態/戦績/▽関係者/プレイヤースコープ
・浜中美海(成長タイプ:マニュアル) 〇能力詳細 〇戦績
BC:600 SP:600 TAG:600 TAC:600 GT:600
PS:120 TV:600 PA:600
残り経験ポイント:48 好感度:83/100☆
こちらもステータスは抑え気味。
あーちゃん程ではないが、スキルをいくつか取得している。
セカンドのポジション適性もカンストだ。
で、瀬川兄弟。まずは弟。
状態/戦績/▽関係者/プレイヤースコープ
・瀬川昇二(成長タイプ:マニュアル) 〇能力詳細 〇戦績
BC:600 SP:600 TAG:600 TAC:600 GT:600
PS:120 TV:600 PA:600
残り経験ポイント:3 好感度:53/100
【超晩成】の影響で、基礎ステータスに反して1番弱い。
ファーストの適性はカンストさせたが、スキルは守備寄りのものだけピックアップした形。攻撃面は心許ない。
そして問題の正樹。
状態/戦績/▽関係者/プレイヤースコープ
・瀬川正樹(成長タイプ:マニュアル) 〇能力詳細 〇戦績
BC:1000 SP:1000 TAG:1000 TAC:1000 GT:1000
PS:170 TV:1000 PA:1000
残り経験ポイント:24 好感度:62/100
基礎ステータスはカンスト。
ポジション適性も次の通り壮観だ。
・瀬川正樹
〇能力詳細
▽ポジション適性
センター:SS+
レフト:SS+ ライト:SS+
ショート:SS+ セカンド:SS+
サード:SS+ ピッチャー:SS+ ファースト:SS+
キャッチャー:SS+
先発:SS+ 中継ぎ:SS+ 抑え:SS+
更に怪我のリスクが比較的低いとされる変化球もいくつかカンストさせている。
チェンジアップ、ワンシーム、ツーシーム、カットボール。
タイミングをずらす球と、小さく鋭く曲がる変化球だ。
ボールの縫い目や握り方の違いだけだから、比較的故障しにくいと聞く。
このステータスだけでも既にヤバい。
しかし、小学生の大会に臨むに当たって真にヤバいのは補正値。
【超早熟】の効果で彼は小学生にしては体格がいい。いや、よ過ぎる。
既に大人のようになっていた。
そのため、補正も外見相応。
今が全盛期といった様相だ。
具体的にはカンストしている俺が補正後で球速120km/h弱のところ、彼は補正後で球速153km/hとなる。
前世で小学生最速は140km/h弱だったはずだから異常極まりない。
レジェンドの魂を持った投手よりも小学6年生時点では速い。
世界最速。どころか、アンタッチャブルレコードになるだろう。
俺がキャッチャーとなった理由もここにある。
ピッチャーがどれだけ凄くても、捕れなければ意味がない。
逆にしっかり捕ることができるのなら、このスペックが小学生の大会で猛威を振るうことになる訳だ。
かなりの差をつけられてしまった昇二は少し可哀想だが……。
【生得スキル】的に、彼が輝くのは遥か先の話だ。
その辺り、日々最低限のフォローはしているつもりだ。
しかし、まずは目の前の大会に注力しなければならない。
世の中に衝撃を与えるために。
「さあ、軽く日本一を取りに行くとしようか」
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