第06話 30過ぎれば魔法使い
魔法とは、貴き血が流れし者に魔力と属性素養があれば使える術式。
との定説が主流。
華がある属性攻撃魔法は、貴き血が流れし者だけが使えるものと誇っている。
術式の型として、球、矢、盾、槍、場とある。
初級でボール。
中級でアローとシールド。
上級でスピア。
特級でフィールドの範囲系。
属性としては、派手な火系が最高とされている。
次いで雷系、風系、水系、土系となる。
ちなみに、氷系は水系の派生で氷の属性素養のあるものが少なく、正当な評価がない。
他の魔法もあるが、区別として魔術と呼ばせられている。
代表が回復魔術。
神聖系で教会などの司祭や修道士が習得している。
他には、支援魔術の強化や弱体化などの魔術があるが、下々の者が習得するモノ。
魔法としては特殊扱いになっている。
冒険者や、傭兵などが好んで利用している。
そんな感じらしい。
それでは、帝国第二王子 セッカード・ア・ネクスードの属性は氷属性。
第一王子の火属性の対極。
もともと氷の属性素養のある者が少ないのと、火の相克で弱属性なので評価が低い。
それ故に、下に見られる傾向がある。
「アイス・ボール」
拳大の氷ブロックが手元に現れ、フッと無音で的に飛んでいく。
バキッと的にあたり、凍結する。
初めて、魔法を使ったときは感動して、踊りまくったものだ。
魔法の知識に飢えた俺は、辞書ほどの手引書を読みまくったよ。
ボールは初級魔法で、最低の1魔法力で拳大の属性魔力の塊を飛ばす術式になる。
依然のセッカード唯一の魔法でアイスボールがそれになる。
属性の氷玉ですらなく、冷気の塊を相手に投げつけひるます程度の威力だった。
どうも、氷玉にならない。
製氷される氷がイメージされるのか、氷ブロックになりやすい。
なので最近は、
「アイス・ロック」
バキバキッと的を凍結させる。
1魔法力で氷ブロック6個生成され、散弾のように飛んでいく。
ゲームやアニメなどの知識にもある様に、この世界の魔法もイメージで決まるのは確定のようだ。
術としては、利用するにも伝承するにも、型として均一化するのが便利なのだろう。
今まで特に支障がなかった。
また、文章や口伝での継承なので、イメージも湧きづらい。
例外が発生しにくく、発展が滞ったのだろう。
ただ、そうすると以前のセッカードは、素質があったようだ。
氷玉ではなく、冷気を出したのだから。
「アイス・ミスト」
周囲に冷気をばらまく。
これで、暑く寝苦しい夜ともサヨナラだ。
それと、もう一つ気づいた事がある。
「アイス・トルッネエーーーッド!」
拳大の星型の氷の粒を含む竜巻が、ゴゴゴッと渦巻く。
そして、中心から大きく外側に竜巻が広がり始める。
俺の手前まで広がり拡大を止める、数秒間高速回転。キラキラと綺麗だ。
回転が止むと、氷片をパラパラと落下させ、フッと静寂になる。
魔法力を多めに使う、範囲攻撃だ。
もともと魔法力が多い体の様だが、クラッときた。
魔法力切れの兆候だ。
最後にスピア系を複数生成したら、吐き気を催した。
3D酔いのような感じだ。
限界まで魔法力を消費したので、今日の訓練は終わり。
よし、これでまた最大魔法力量が増えるだろう。
実は、そんな定説もこの世界には無い。
最大魔法力量は生まれた時に決まり、高貴な者ほど高い。
何歳になろうが、ほとんど変化しないというのが定説だ。
だが、他のラノベの定説だと違う。
実際違った。
ステータス確認したら最大魔法力量(MP)は増えていた。
「フフッ」
失笑、精神年齢30歳の少年魔法使い10歳様。
キャラ作りは迷走中だ。
バキバキバキィ!ズドン!
いけない。
範囲攻撃の魔法で抉った木が倒れた。
「…ぁ!」
「………ぉぃ!」
ガヤガヤ。
兵士たちが来たようだ。
見つからなければ、どうという事はないのだよ。
離宮の内庭で、魔法の練習はやめようと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます